源泉徴収と年末調整はなぜ必要?最低限知っておきたい基礎知識

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ゼロからわかる源泉徴収と年末調整!

毎月の給料から所得税が天引き(=源泉徴収)され、年末になると年末調整が行われます。

なぜこのようなことをするのでしょうか?

この記事では、源泉徴収と年末調整についてご説明します。

「源泉徴収」とは?

会社員や公務員など給料や賞与(ボーナス)をもらう人は、毎月の給料や賞与から「所得税」があからじめ天引きされています。

源泉徴収

これが、「源泉徴収(げんせんちょうしゅう)」です。

勤務先は、源泉徴収した所得税を翌月10日までに税務署にあなたの代わりに納めています。

そのため、普段、税務署とかかわることは、まずありません。

「年末調整」とは?

年末調整の必要性

しかし、この源泉徴収する所得税の計算は、概算(ざっくり計算した金額)であり、しかもちょっと「多め」に天引きされています。

また、生命保険料や地震保険料を払っていたり、年の途中で結婚したりすると、本来負担する所得税より多めになっている可能性がありますが、こういう事情も源泉徴収では反映できませせん。

そこで、1年間が終わった時点、つまり「年末」に、本来払うべき所得税をちゃんと計算して、毎月源泉徴収された所得税との差額を還付したり、足らなければ徴収したりと、「調整」する必要があります。

年末調整の仕組み

これが「年末調整(ねんまつちょうせい)」です。

つまり、給与をもらう私たちからすれば、年末調整といえば、必要な書類を提出して、払いすぎた税金が還付されるのを待つだけの手続きといえます。

一方、勤め先は、必要書類を集めて、税金の計算をして、期限まで(翌年1月10日または20日)に税務署に納税したり、税金の計算結果を報告(翌年1月31日まで)をして、給与をもらう人たちには差額を還付(不足の場合は徴収)をするため、結構大変です。

しかも平成28年分からマイナンバー(個人番号)制度がスタートして、年末調整でもマイナンバーを回収することになったため、今年の年末調整はいつもよりさらに手間が増えています。

本来払うべき所得税が少ない=還付!

例えば、

  • 1年間で源泉徴収した所得税:12万円
  • 本来払うべき所得税:11万円

だとすると、1万円、多めに払い過ぎたことになります。

源泉徴収と年末調整

このため、1万円を「還付」してもらえます。

年末調整で「不足」する原因は?

逆に、本来払うべき所得税が13万円のときもあります。

こういうときは、13万円-12万円=1万円が不足しているため、後日、給料から追加で天引きされていたりするので、とてもブルーな気持ちになりますね。

なぜこういうことが起こるのでしょうか?

原因として考えられることは、次のようなことが原因で、本来払うべき所得税よりも、源泉徴収する所得税が少なくなってしまう場合です。

  • 毎月の給料の変動が大きい
  • 給料に占める賞与の割合が大きい
  • 年の途中で離婚して配偶者控除がなくなった
  • 扶養している子どもの情報が間違っていた

また、次のようなことが原因になることもあります。

  • 勤め先が行う毎月の源泉徴収の計算が誤っていた
  • 勤め先が行う年末調整の計算が誤っていた

いずれにしても、不足しているときは、どうしてそうなったのか、勤め先に聞いて確認しましょう。

年末調整でできる「控除」は?

年末調整がすぐれている点は、多くの「控除」が会社によって計算できる点です。

控除は税金を減らしてくれるので、控除を漏れなく行うことが「節税」につながります。

給与をもらう人の所得税の計算式は、次のとおりです。

(給与収入-給与所得控除)-所得控除=A

(A×税率)-税額控除=所得税

給与所得控除は、給与収入に応じて誰でも控除できるものです(おおよそ次の計算式で求められます)。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 12,000,000円以下 収入金額×5%+1,700,000円
12,000,000円超 2,300,000円(上限)

所得控除は、税率をかける『前』の部分を減らします。

税額控除は、税率をかけた『後』の部分を減らします。

年末調整でできる主な所得控除

  • 基礎控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 障害者控除
  • 寡婦控除
  • 寡夫控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除

年末調整でできる主な税額控除

となります。

年末調整でできない「控除」は?

一方、年末調整ではできないのが次の控除です。

年末調整でできない所得控除

  • 医療費控除
  • 雑損控除
  • 寄附金控除(ふるさと納税)

年末調整でできない税額控除

  • 住宅ローン控除1年目
  • 寄附金税額控除

なお、「ふるさと納税」も寄附金控除の一種で、年末調整ではなく確定申告で行うものです。

ただし、5か所以下の自治体に寄付をする場合で確定申告をしないときには、「ワンストップ特例」を使うことで、ふるさと納税を受けることができます。

この場合には、自治体から送られてくる申請書類を提出する必要があるので注意しましょう。

最後に:年末調整はお得な制度?

源泉徴収と年末調整の仕組みは、第2次世界大戦が終わった昭和22年(1947年)から、当時は税務署の職員が足らなかったために始まったものです。

これにより、

  1. 勤め先に税金計算をしてもらうため手間が省ける
  2. 勤め先が税金を集めるため税金のとりっぱぐれがない

という2つの大きなメリットがあるため、それから、70年近くも続いている仕組みです。おそらく、これからも続くことでしょう。

独立して、個人事業者・フリーランスになってみるとわかりますが、実は、勤め先というのは税金の計算・申告を代わりにしてくれる「税理士」のような役割を果たしています。

当たり前のように勤め先にやってもらっていることは、個人事業者・フリーランスになると、自分でやるか、税理士にお金を払ってやってもらうことになります。

事業の規模にもよりますが、税理士に頼むと10万円以上かかったりすることもあります。

そういう意味では、勤め先に年末調整をやってもらうこと自体が、お得ともいえるかもしれません。

ただし、自分の払っている税金についての関心が薄くなってしまうというデメリットもあるので、年末調整が終わったら、源泉徴収票をよく見て、正しく税金が計算されているか、控除の漏れがないかは、確認したいところです。

今年の年末調整の準備はできましたか?

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