2017/02/191 Shares

「早生まれ」の子どもの親は扶養控除と児童手当でダブルで損してるかも!?

ここが変だよ!早生まれの不公平問題

早生まれ
日本には、「年(暦年)」と「年度」という2つの考え方があります。

  1. 年(暦年)・・・1月~12月
  2. 年度・・・4月~翌年3月

普段、あんまり気にしていないかもしれませんが、実は、大きな問題があります。

それが、税金の世界の「扶養控除」と手当の世界の「児童手当」における早生まれの不公平問題です。

例えば、

  1. 「平成27年」=平成27年1月~平成27年12月
  2. 「平成27年度」=平成27年4月~平成28年3月

ということで、「平成27年4月~平成27年12月」生まれの場合は、「平成27年」であり、かつ、「平成27年度」なのですが、「平成28年1月~3月(※)」の早生まれの場合は、「平成28年」と「平成27年度」なり、年と年度が1年ずれてしまいます。

この皆さんが知っている常識が、実は、扶養控除と児童手当のダブル損を生みます。

※正確には、平成28年1月2日から平成28年4月1日生まれですが、それは後でご説明します。


第1の損:税金の「扶養控除」で損!

扶養控除はどうやって判定するのか?

扶養控除については、昔は0歳のときから減税ができたのですが、「手当」を支給するから15歳以下のいわゆる「年少扶養親族」については、対象外となりました。

逆に言えば、16歳以上の子ども(=扶養親族)は、扶養控除の対象です。

はい、ここで問題です。

子どもが16歳かどうかは、いつ判定するのでしょうか?

正解は、その年の12月31日現在の年齢です。

そうです。「年末」です。

所得税は、1月1日から12月31日までの「年(暦年)」を計算するための期間としているためか、扶養控除については、12月31日時点で判定するようになっています。

実は、1月1日でも滑りこみセーフ

なんと! じゃあ、1月1日に産まれたら損だね・・・ええ、そう思うでしょう。

でも、年末調整の資料を書いたことがある人は、知っているかもしれませんが、「1月1日」生まれでも対象です。

「平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の場合
扶養控除

ややこしいのですが、民法では、誕生日の前日の24時に年齢が上がります。

「誕生日の0時ではない」という点がミソです。

1月1日生まれの人は前日の12月31日に年齢が1つ上がります。

そのため、扶養控除の判定の観点からは、

  • 早生まれの子ども=1月2日~4月1日生まれ
  • 遅生まれの子ども=4月2日~1月1日生まれ

となるのです。

ここまではいいでしょうか?

1月2日以後に産まれると1年分損!

さて、「平成13年1月1日生まれの子ども」は、平成28年12月31日に16歳になるため、平成28年分から扶養控除の対象にすることができます。

逆に言えば、平成28年の場合、平成13年1月2日以後に産まれた子どもは、 扶養控除の対象にできないのですね。

同じ学年なのに、

遅生まれ(平成13年1月1日以前生まれ)の子どもをもつ親

⇒平成28年に扶養控除38万円OK

早生まれ(平成13年1月2日以後生まれ)の子どもをもつ親

⇒平成28年に扶養控除は0円

このように、扶養控除で早生まれの子どもを持つ親は損をしているのです。

なんと、ふつうは1年分の損が取り返せない!

いやいや、neronaさん。

確かに今年はできないかもしれないけど、来年は16歳になるから来年からできるんでしょ。

1年遅れで、まあ、ちょっとは損しているように見えるかもしれないけど、長い目で見れば同じことでしょ。

・・・と考えたくなりますが、本当にそうでしょうか?

扶養控除は、年収103万円の壁があります。

もし、子どもが高校を卒業して浪人をせずに大学に進学し、留年することなく4年間で卒業して、新社会人になれば、4月入社になります。

正社員になれば、その年の年収は103万円を超えるケースが多いでしょう。

遅生まれ(平成13年1月1日以前生まれ)の子どもをもつ親の場合
控除の時期(年齢)  控除
平成28年(16歳)  38万円
平成29年(17歳)  38万円
平成30年(18歳)  38万円
平成31年(19歳)  65万円
平成32年(20歳)  65万円
平成33年(21歳)  65万円
平成34年(22歳)  65万円
平成35年(23歳)  4月から社会人で✖
※年齢は12月31日時点
※19歳から22歳までは65万円控除

38万円の控除:3回
65万円の控除:4回

早生まれ(平成12年1月2日以後生まれ)の子どもをもつ親

控除の時期(年齢)  控除

平成28年(15歳)  ✖

平成29年(16歳)  38万円
平成30年(17歳)  38万円
平成31年(18歳)  38万円
平成32年(19歳)  65万円
平成33年(20歳)  65万円
平成34年(21歳)  65万円
平成34年(22歳)  4月から社会人で✖
※年齢は12月31日時点
※19歳から21歳までは65万円控除

38万円の控除:3回
65万円の控除:3回

社会人になるのは、「年度」単位が一般的ですよね。

ストレートにいけば、早生まれの子どもは、22歳時点での「65万円」の扶養控除がないまま社会人になります。

1年遅れで長い目で見れば同じ金額ならまだ許せると思いますが、実は、1年分損をするのがこの制度の致命的な欠陥です。

 

第2の損:「児童手当」で損!

もう1つ、児童手当もひどいことになっています。

そもそも15歳未満の扶養親族を廃止した理由は、「手当」を支給するというのが理由でした。

しかし、手当の目的は、現在の児童手当も、当時の子ども手当も、「中学校修了時までの子育ての支援」なんですね。

「児童手当」のスタートは0歳からですが、15歳に到達してから最初の年度末(3月31日)までの間の児童が対象となります。

例えば、高校1年生でも、早生まれの人は、前の年の12月末時点では15歳なので、扶養控除がないことは、先程ご説明した通りです。

しかも、児童手当は中学卒業(=15歳に到達してから最初の年度末)に打切りなので、ありません。

この結果、「早生まれの高校1年生」は、扶養控除もないし、児童手当もないという不公平な状況になります。

いや、ただの「ウソつき」ですよね。

税金の方で15歳以下の扶養控除をやめるのは手当を支給するからだという理由は、早生まれの子どもをもつ親にとっては、「ウソ」になってしまうのです。

それにもかかわらず、いまだに放置されています。

毎月、同じ数の子どもが産まれるとすれば、早生まれの子どもたちは「4分の1」います。

年少扶養控除を廃止して、手当に変えることによって、「4分の1」の子どもたちの手当(あるいは扶養控除)がカットできた・・・なんてこと考えてないですよね??

扶養控除と児童手当は23万円の損失!?

どれだけ損をするのか、計算してみます。

「扶養控除」がないことによる損は、次の2つです。

  • 65万円(所得税:特定扶養控除)×所得税率(5%~45%)
  • 45万円(住民税:特定扶養控除)×10%

もし、所得税率が10%だと仮定すると、

65万円×10%=6万5千円

45万円×10%=4万5千円

合計11万円

となります。

「児童手当」がないことによる損は、中学生の場合なので月1万円です。

月1万円×12月=12万円

となります。

合計すると、23万円ですね。

所得税の税率が20%くらいの人なら、30万円くらいの損になります。

この問題、誰も気づいていないの?

この話題を出すと、「早生まれの子どもを産む親の自己責任だ」なんてことを言う人がいてびっくりしますが、制度の欠陥を個人の自己責任に転嫁してはいけません。

こんなもの、いくらでも制度を変えれば対応できるのですが、変わらない状態が続いています。

この問題は、最近始まった問題ではなく、昔からあった問題です。

この件については、平成22年の「第174回国会 財務金融委員会」という公式の場でも、とある国会議員の方が問題ありと質疑を行っています。

それからもう一点は、早生まれの子供の問題なんです。

資料の5ページの表を見ていただきたいんですが、子供が高校1年生のときと高校卒業年に問題が発生するんですが、とりわけ扶養控除が廃止されるため、高校1年生の子供が早生まれの場合は全く所得控除が受けられなくなる。

同学年で12月末までに誕生日を迎える子供は、特定扶養控除の上乗せ部分が廃止されるために所得税で38万円に減額はされるが、扶養控除を受けることはできる。

つまり、早生まれの高校生だけが、子ども手当も扶養控除も受けることができないこれはおかしいんじゃないでしょうか。

同じ高校1年生でこういう差別が発生する理由を説明していただきたい。

これに対する当時の回答は、全く納得できるものではなく、さらに、今後検討すると言われながら6年が経っています。

配偶者控除を含めた所得控除の大改正が議論されています(平成29年度税制改正でも見送られようとしています)。

この「早生まれ不公平問題」も、同時に解決されることを祈るばかりです。

今年の年末調整の準備はできましたか?

⇒ 平成28年版*年末調整で失敗しないための特集

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