2017/02/190 Shares

10万円超でも医療費控除を「年収の高い人」がやると損をする場合

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結論:「年収が高い方」という常識は、常に正しいとは限らない

医療費控除

この記事では、医療費控除でよくある常識を疑ってみたいと思います。

<前提条件>
鈴木太郎:年収400万円
鈴木花子:年収120万円
※子どもはいない

太郎さんは日本の平均的な年収あたりです。

花子さんはパートとしての年収です(会社の手当てなどは出ないので、社会保険を考慮して130万円にならない程度に働いています)。

そして、今年は年間医療費が「12万円」になりました。

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平成29年1月4日記事更新

>>>図解でわかる!医療費控除の確定申告書の作成方法【平成28年版】

もあわせてお読みください。

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10万円超なら「年収が高い方!」と言われるもっともらしい理由

常識では、「10万円を超えたら年収(所得)が高い方でやりましょう!」といわれることがあります。

・・・実は、私もそう思い込んでいましたし、税理士の間でも常識の1つです。

これは、所得税の税率が所得に応じて、

5%→10%→15%→20%→23%→30%・・・

と増えていく「累進税率」という制度になっているので、税率の差の分だけ得をする、という説明がなされます。

つまり、所得税率が20%の人は、所得税率が10%の人よりも、2倍得するというわけです。

でも、本当に年収が高い方が有利なの?

今回は、「所得税・住民税簡易計算機」を利用して、計算してみました(27年版ですが、28年も基本は同じです)。

計算過程は無視していただいても結構です。

<太郎さん>
年収400万円
給与所得控除144万円
差引 266万円(1)

社会保険料控除56万円(年収×14%と仮定)
配偶者特別控除21万円
基礎控除38万円(所得税の場合)
控除合計 115万円(2)

(1)-(2)=所得金額151万円

所得税率は所得金額195万円以下のため最低の5%です。

細かい調整が入りますが、「所得税・住民税簡易計算機」を使うと次のようになりました。
医療費控除1
いろいろ書いてありますが、ざっくり言えば、

所得税・復興特別所得税:77,000円
住民税:158,500円

となります。

一方の花子さんは、社会保険料の支払いはないのでシンプルです。

<花子さん>
年収120万円
給与所得控除65万円
差引 55万円(1)

基礎控除38万円
控除合計 38万円(2)

(1)-(2)=所得金額17万円

花子さんも所得税率は所得金額195万円以下のため最低の5%です。

細かい調整が入りますが、「所得税・住民税簡易計算機」を使うと次のようになりました。
花子さんの医療費控除前の所得税・住民税

結果、花子さんは、

所得税・復興特別所得税:8,600円
住民税:24,500円

となります。

・・・あれ?

この場合は、2人とも所得税率は「5%」になりましたね。

税率の差はないことになります。

医療費控除は「給与所得控除『後』の金額」で運命が分かれる。

だったら、夫で妻でも同じ・・・と言いたいところですが、実際に医療費控除ができる金額を計算してみましょう。

医療費控除は、

(1)10万円

(2)総所得金額等×5%

のいずれか少ない方がハードルとなります。

つまり、10万円を超えた分しか医療費控除の対象とならない、という考え方は、間違いです。

では、「総所得金額等」は何?となりますが、給料しかもらっていな人は、「給与所得控除後の金額」をいいます。

勤め先からもらう源泉徴収票のこの部分を見てください。

源泉徴収票

この金額をもとに計算してみましょう。

<太郎さん>
年収400万円
給与所得控除144万円
差引 266万円

266万円×5%=総所得金額等133,000円>100,000円
よって100,000円

年間医療費120,000円-100,000円=20,000円まで控除可能
医療費控除2
※「所得税・住民税簡易計算機」の下の方に入力する欄があります。

一方、花子さんはどうでしょうか?

<花子さん>
年収120万円
給与所得控除65万円
差引 55万円

55万円×5%=27,500円<100,000円
よって27,500円

年間医療費120,000円-27,500円=92,500円まで控除可能
医療費控除3

<医療費控除が可能な部分>
太郎さん:20,000円
花子さん:92,500円

あれ? 花子さんの方が控除できる金額が多いですね。

しかも、医療費控除できる金額が7万円以上違いますね。

給与所得控除後の金額で、運命が分かれます。

これは、どちらかが年収310万円以下であれば、ハードルが10万円未満になるためです。

さて、税金はどうなった?

太郎さんがもし医療費控除をすると、
医療費控除4

<医療費控除前>
所得税・復興特別所得税:77,000円
住民税:158,500円

<医療費控除後>
所得税・復興特別所得税:76,000円
住民税:156,500円

節税額 ▲3,000円

一方、花子さんがもし医療費控除をすると、
医療費控除5

<医療費控除前>
所得税・復興特別所得税:8,600円
住民税:24,500円

<医療費控除後>
所得税・復興特別所得税:3,900円
住民税:15,100円

節税額 ▲14,100円

<節税額の比較>
太郎さん  ▲3,000円
花子さん ▲14,100円

このように、花子さんがした方が、1万円以上も多く節税になる場合があるということになります。

医療費控除は「支払った人」が行うため、花子さんが医療費を支払っていれば、花子さんが医療費控除ができます。

まあ、誰が払ったかなんて・・・ゴニョゴニョ。

「年収103万円以下」だと効果なし

ちなみに、今回の話は大前提として、妻も「ある程度の税金」を払っている必要があります。

例えば、年収103万円以下で所得税も住民税もそもそも払っていないのであれば、医療費控除ができません。

年収103万円から120万円までの方も、「所得税・住民税簡易計算機」を使ってシミュレーションしてみて下さい。

なお、産休や育休の場合、つまり、1年のうち数か月しか給料をもらっていないようなときには、同じように医療費控除を夫より妻がした方がよい場合が出てくるかと思います。

手続きは「確定申告」で!

年末調整では医療費控除はできないですよね。

「給与所得の源泉徴収票」と「医療費の領収書」をもとに確定申告をすることになります。

最後に:自分のことは自分で計算しよう!

最後になりましたが、年収が500万円、600万円となってくると、どこかで損得が逆転するかと思いますし、そもそも子どもがいるとまた違った結果になる可能性もあります。

お伝えしたかったのは、「自分でシミュレーションしないと結局、何が得かはわからない!」ということです。

シミュレーションソフトを使って、自分でも計算してみてください。

→ 所得税・住民税簡易計算機

※なお、税金の具体的な計算(医療費控除の計算、比較など)は、無料であっても税理士にしかできません。コメント欄等でご相談をいただいても、法律違反になるため、お答えできませんので、あらかじめご了承ください。

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