2017/02/190 Shares

同居老親等(父母・祖父母)の老人扶養控除をする場合の注意点と所得の見積額

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「年金をもらう親」を扶養にしている場合の年末調整はどうする?

扶養控除

年末調整で「扶養控除」を受ける場合には、16歳以上のお子さんを扶養にする場合もあれば、逆に、自分の親や祖父母を扶養にする場合もあります。

特に両親が年金をもらっている年齢の場合、他に収入もなければ、扶養控除の条件である「生計を一」かつ「所得38万円以下」に該当することがあります。

地方に住む両親でも仕送りしていれば可能!

この場合、別居しているとしても、毎月、仕送りをしているような場合には、「生計を一」にしていると認められて、扶養控除ができる場合があります。

国税庁:地方に住む両親を扶養控除の対象とする場合

Q3
従業員が地方に住む両親を扶養しているとして「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出してきた場合、会社(源泉徴収義務者)はそのことを何らかの書類により確認する必要があるでしょうか。

A3
別居している者を扶養控除の対象とするためには、常に生活費、療養費等の送金が行われているなど「生計を一」にしていることが必要となります。

法令上、源泉徴収義務者に対してこれを証明する書類等を提出することまで必要とされているわけではありませんが、正しい扶養控除の計算を行うためには、銀行振込や現金書留により送金している事実を振込票や書留の写しなどの提示を受け確認することをお勧めします。

特に、「いくら」仕送りしたらOKという金額的な基準はありませんが、明らかに別々に独立して生活していると認められる場合には、扶養控除の対象外となるため、注意が必要です。

また、絶対に書類を提出しなければならない、というルールはありませんが、職場によっては提示(見せるだけ)を求められるケースもあるでしょう。

扶養親族になれる「親」の年収と所得の見積額の計算

【1】 年金収入のみの場合

親を扶養していることで、扶養控除を受けるためには、所得が38万円以下である必要があります。

つまり、年末調整で「所得の見積額」の欄を書くときにも、38万円を超えるようであれば、その人は扶養控除の対象外です。

まず、結論を書くと、生計を一にしている年金収入のみの親が扶養控除の対象になるのは、次の場合です。

  • 65歳未満の親:年金収入108万円以下
  • 65歳以上の親:年金収入158万円以下

なぜ「65歳」を境に2つに分かれているかというと、年金の所得の計算が、65歳以上になると優遇されるからです。

【65歳未満の場合】

年金収入108万円まで70万円を差し引くため、108万円-70万円=38万円≦38万円

となり、最高で年金収入108万円までとなります。

【65歳以上の場合】

年金収入158万円まで120万円を差し引くため、158万円-120万円=38万円≦38万円

となり、最高で年金収入158万円までとなります。

また、遺族年金や障害年金は、所得税がかからない「非課税」のため、「扶養控除」の判定上、収入に含みません。

例えば、自分の母親が、「父親の遺族年金」と「母親自身の年金」で暮らしている場合には、「母親自身の年金」だけで、上記の年金収入以下になるかどうかを確認してみてください。

※健康保険の方では遺族年金も収入とみなされるため、全く別のものとして考える必要がある点、ご注意ください。

【2】 年金収入+給与収入の場合

母親が、年金だけでなく、パートで少し働いている場合はどうでしょうか。

生計を一にしている、という前提で所得の条件だけ考えてみます。

例えば、年金収入は30万円の見込み。給与収入は100万円の見込みだとします。

年金収入は、65歳未満なら70万円を、65歳以上なら120万円を差し引きましょう。

【65歳未満】

30万円-70万円<0円 よって所得0円

【65歳以上】

30万円-120万円<0円 よって所得0円

今回は30万円なので、いずれにしても所得は「0円」ですね。

給与収入は、年収103万円以下の場合は、65万円を差し引きましょう。

100万円-65万円=所得35万円

そして、この2つを合計します。

年金所得「0円」+給与所得「35万円」=所得の合計35万円

所得の合計35万円≦38万円

というわけで、条件を満たすため、扶養控除の対象となります。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「所得の見積額」には、計算された「35万円」と記載します。

扶養控除1

年金収入と給与収入がある場合には、このように、それぞれ「差し引き」して、合計した金額が38万円以下がどうかで判定します。

逆に言えば、

  1. 65歳未満で年金収入が108万円を超える人は対象外
  2. 65歳以上で年金収入が158万円を超える人は対象外
  3. 給与収入が103万円を超える人は対象外
  4. 年金収入(70万円または120万円控除後)と給与収入(65万円控除後)の合計額が38万円を超える人は対象外

となります。

扶養控除で節税できる金額は?

さて、扶養控除といっても、いくつか種類があります。

【1】 老人扶養親族(同居老親等)

昭和22年1月1日以前生まれ(70歳以上)の親や祖父母を扶養している場合で、かつ、「同居」しているときに、「58万円」の控除ができます。

所得税・住民税を合わせて、ざっくりいうと、8万円~10万円の節税ができます。

同居老親等

なお、同居しているかどうかは、住民票に名前が書いてあるかどうかというよりも、「実態」で判断されます。

次のように同居しているか微妙な場合でも、認めてくれる場合があります。

国税庁:「同居」の範囲(長期間入院している場合)

【照会要旨】

同居老親等の「同居」については、病気の治療のため入院していることにより所得者等と別居している場合であっても、同居に該当すると聞きましたが、1年以上といった長期入院の場合にも同居に該当しますか。

【回答要旨】

病気の治療のための入院である限り、その期間が結果として1年以上といった長期にわたるような場合であっても、同居に該当するものとして取り扱って差し支えありません。

ただし、老人ホームなどへ入所している場合には、その老人ホームが居所となり、同居しているとはいえません。

例えば、最近、同居しはじめたものの、まだ手続きが遅れて親の住民票を移していないとしても、実際に「同居」しているのであれば、同居老親と言えるでしょう。

逆に、本当は同居していないのに、同居していると見せかけるために住民票を移すような行為は・・・ただの脱税ですよね?

【2】 老人扶養親族(同居老親等以外)

【1】と異なり、同居していない場合が該当し、「48万円」の控除ができます。

所得税・住民税を合わせて、ざっくりいうと、7万円~9万円の節税ができます。

同居老親等以外

なお、病気の治療のために入院していることで別居している場合は、その期間が結果として1年以上といった長期にわたるような場合であっても、同居に該当するものとして取り扱って差し支えないとされています。

ただし、老人ホーム等へ入所している場合には、同居しているとはいえません。

【3】 一般の控除対象扶養親族

一般

【1】と【2】以外の場合ですので、昭和22年1月2日以後生まれの親や祖父母を扶養している場合に、「38万円」の控除ができます。

所得税・住民税を合わせて、ざっくりいうと、5万円~7万円の節税ができます。

兄弟で母親を扶養することはできない。

当たり前といえば当たり前なのですが、兄も弟もそれぞれ母親を扶養しているので、扶養控除を兄も弟も使おうというのはできません。

国税庁:兄弟で扶養している場合の扶養控除

Q5
郷里にいる母の生活費を兄弟で送金している場合、兄弟のうちだれが母を扶養控除の対象とすることとなりますか。

A5
兄弟のうち、だれか1人だけが扶養控除の対象とすることができます

したがって、たとえ兄弟が均等に送金している場合であっても、兄弟がそれぞれ重複して控除の対象とすることはできません。

あくまで、1人だけですよ、ってことですね。

詳細記事 ゼロからわかる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書き方

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