家持ちで子どもがいない夫婦こそ真剣に遺言書を書いた方がよい理由

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「死んだ息子の財産をもらう権利があるの」と義理の母は言った。

嫁姑バトル

まだ30代。

夫が突然の事故で亡くなったのが9月のことでした。

慌ただしく葬式も終わり、ようやくほっと一息ついたときに、義理の母親がやってきました。

「〇〇(息子の名前)は遺言書なんて、書いてないわよね」

自分と義理の母親の仲は悪く、そもそも義理の母親は自分との結婚には反対でした。

夫が1人で住宅ローンを借りて一戸建てを建ててからも、積極的にやってくることはありませんでした。

そんな義理の母親から「遺言書」という言葉を聞いて、びっくりしました。

「たかしの財産は、この家くらいなのね」

一戸建ての家・土地の名義はすべて夫になっていました。

当然、自分のものになると思っていました。

子どももいなかったので、必要最低限の保険にしていた結果、かけていた団信(団体信用保険)は住宅ローンの返済に消え、終身保険も葬式代程度でした。

そして、こう言いました。

「私には、死んだ息子の財産の一部をもらう権利があるの。ご存じ?」

「!?」

子どもがいない場合、法律上の相続人は「配偶者」と「親」

子どもがいる場合、法律上の相続人は、「配偶者(妻・夫)」と「子ども」となります。

しかし、子どもがいない場合には、法律上の相続人は、「配偶者(今回は妻)」だけだと思っている人が多いです。

それは、違います

法律上の相続人には、順位が決まっています。

配偶者は必ず相続人になれます。

一方、それ以外の人も相続人になれます。

  • 第1順位:子ども
  • 第2順位:亡くなった人の両親(いなければ祖父母)
  • 第3順位:亡くなった人の兄弟姉妹

つまり、子どもがいない場合には、法律上の相続人は、「配偶者」と「亡くなった人の両親」になるのです。

法律上の相続人

財産が欲しいのではなく、嫌がらせのため?!

「それってどういうことですか? まさか、この家を相続するおつもりじゃ・・・」

「そのとおりよ」

「そんな・・・(絶句)」

「このまま、息子をとられただけじゃなくて、息子の財産まであなたに渡すわけにはいかないわ!」

(そんなの、嫌がらせじゃない・・・)

怖っ(*_*;

義理の母親がこういうことを言い出すときは、嫁姑の間で仲が悪いときに起こっているわけですが、別に財産がほしいのではなくて、嫁にこのまま財産だけ渡るのが許せないという人もいたりします。

実際にあります。

義理の母親はどれだけもらえる?

さて、「死んだ息子の財産の一部をもらう権利はあるの」と言っていますが、どれくらいもらうつもりなのでしょうか?

実は、法律上、もらう取り分(=法定相続分)は決まっています。

法定相続分

配偶者が2/3、亡くなった人の親が1/3です。

義理の父母がともにいる場合は、1/3を2人で分けるので、1/6ずつになります。

ただし、これはあくまで法律上の分け方であって、話し合い(遺産分割協議)によって決めることもできます。

しかし、遺産分割協議は、相続人全員が合意する必要があります。

こういうこじれている場合は、話し合いがまともに成立しないことも多かったりします。

やむなく、法律どおりに分けるケースもあります。

そんな話し合いを遺された妻が行うだけでも、精神的には大変です。

義理の母親と共有した場合の問題点

例えば、法律どおり、配偶者2/3、義理の母1/3で一戸建てを相続した場合、家も土地も共有になります。

登記簿謄本には、次のように書かれます。

共有持分

まさか、こんなところで義理の母親と同居することになるとは(‘Д’)

家を売却しようにも、共有している人の同意がなければできません。

共有になってしまうと、自分のものではないのです。

「遺言書」が重要な理由

というわけで、対策としてよく言われるのは、遺言書です。

今回のような場合は、特に嫁姑のトラブルが予想されるので、「夫の遺言書」は書いておいた方がいいですね。

なお、遺言書があったとしても、「遺留分(いりゅうぶん)」という権利は義理の母親にあります。

これは、法定相続分の1/2なので、今回のケースでは1/3×1/2=1/6です。

しかし、遺言書があるケースでは、遺留分まで権利を主張するケースはぐっと減ります。

というのも、あくまで遺留分は「金額的な権利」なので、「1/6相当のお金」を渡してしまえば解決してしまうからです。

つまり、家・土地を共有することができないということで、やらないケースがあるからです。

亡くなった人に両親も祖父母もいない場合は「兄弟姉妹」が登場!

うちは大丈夫。

もう義理の父親も母親もいないから、と思っている場合も、要注意です。

  • 第1順位:子ども
  • 第2順位:亡くなった人の両親(いなければ祖父母)
  • 第3順位:亡くなった人の兄弟姉妹

第3順位の兄弟姉妹が待っているからです。

これまた、義理の姉とか妹と仲が悪くてもめるケースはあって、他に財産があるじゃないかと、家に乗り込んできたとか、いろいろな話がありますので、ご注意ください。

遺産分割協議で義理の兄弟姉妹とやり合うなんて、想像するだけでもうんざりですね。

なお、第3順位の場合は、遺留分がないため、遺言書をちゃんと遺しておくことで、無用なトラブルを防ぐことができます。

生命保険の「受取人」は必ず変更しておこう!

結婚を機に、たいていの人は生命保険の受取人を配偶者にしていると思いますが、もし、そうでなかったら、必ず変えておきましょう。

というのも、独身の時には受取人を両親のどちらかにしている場合も多く、そのまま、という人がときどきいます。

生命保険は、遺言とは別世界です。

なぜなら、生命保険は「受取人」という形で、自分が死んだときに遺す人があらかじめ決まっているからです。

遺言書に全財産を譲ると書いていたとしても、生命保険の受取人には影響がありません(そのため、極端な場合を除いて、遺留分にも影響はありません)。

「預貯金」も夫婦で分けておこう!

もう1つおすすめなのが、夫婦で預貯金をわけておくことです。

夫の預金は、夫婦でがんばって稼いだものだと思っている人がいますが、法律上は「夫のもの」としかいいようがありません。

それなのに、夫の預金口座にたくさん残してしまうと、悲劇です。

相続になった後、分け方が決まるまでは、原則として、引き出すこともできません。

普段から、自分の通帳にはあまり貯金がなくて、夫の通帳に残っているような場合は、注意が必要です。

支払い方法を考えて、自分にもお金が残っている状態にしましょう。

ちなみにこれは、「離婚」するときにも有効です。

最後に

お金のトラブルは、起こってからでは遅いことが多いですが、たいていのものはあらかじめ、「ちょっとした知識」を持ち、実際に「対策」すれば、防ぐことができます

学校ではこういう知識は教えてくれません。

なんで教えてくれないの!と嘆いても、知らないで損するのは自分です。

学校にもそんな義務はありません。

1万円札に書かれている福澤諭吉先生も、「天は人の上に人をつくらずってアメリカの人は言うけど、現実は、自分で勉強しない人間は損するよね」と『学問のすゝめ』で書いています(だから学問をすすめるわけです)。

自分の手で、損しないお金の知識をつかんでください。

少しでも、このブログがそのお役に立てれば幸いです^^