2017/02/190 Shares

やってはダメ!家の持ち分を夫婦平等に分ける前に知っておきたい贈与税の知識

家を建てたら、税務署から1枚の紙がやって来た!

税務署から郵便

「え! 何これ! 税務署からお尋ね!!」

家を購入・建築をすると、税務署から「お買いになった資産の購入価額などについてのお尋ね」という書類が届く場合があります。

次のような様式の用紙が届きます。

税務署のお尋ね

出典:三井不動産リアルティ「 お買いになった資産の買い入れ価格などについてのお尋ね

お尋ねが来た人は、税務署に贈与税について疑われている!

このお尋ねですが、すべての人に届くわけではありません。

でも、来た人は「税務署から疑われている」と思ってください。

特に家の建築や購入の場面で多いのが、夫から妻への贈与親から子への贈与に対して、贈与税がかかるのではないかと税務署が考えている場合です。

税金を払わないといけないのに払っていない可能性があるから、それを調べるために税務署からお尋ねが来たのです。

いきなり訪ねて調査をするのが理想ですが、家を建てたり買ったりする人はたくさんいますし、税務署も人で不足で暇ではありません。

そこで、こうやって書類を送って調査をしているのです。

実は、これも立派な、税務調査の1つです。

さて、ここでいくつかの素朴な疑問が浮かぶかもしれません。

なぜ税務署は、私が「家を建てたこと」を知ってるの?

このお尋ねは、住宅ローン控除の確定申告すらまだしていないのに来ることがあります。

・・・というより、ちょっと怖いですよね。

税務署が着目するのは「不動産の登記情報」です。

あなたが登記をすると、その情報は税務署でも確認しています。

不動産の登記情報(登記簿謄本・全部事項証明書)を見れば、その家を誰が買ったのか、家を建てたのかがはっきりわかるからですね。

夫から妻への贈与税の例

家の持ち分を夫婦平等にしたら贈与税なんておかしいでしょ!

例えば、建物と土地の取得費用が3000万円かかるとしましょう。

当然、お金を用意する必要があります。

「夫」が自己資金と住宅ローンを合わせて3000万円全額を用意したとします。

ところで、自宅を新築・購入すると、不動産登記をします。これは、自宅の所有者を登録する制度です。

司法書士の先生から「持ち分はどうしますか?」という質問を受けて、「夫婦のものなんだし、夫婦平等に半分ずつしましょう」と答える方が結構多いです。

しかしこれが、大きな落とし穴に落ちる原因となっています。

夫から妻への贈与1
ところが、このように資金の負担登記上の持ち分が異なってしまいます。

夫が100%資金を負担したのに、登記上の持ち分は50%ずつで夫1500万円相当、妻1500万円相当をもっていることになり、つじつまがあいません。

これを税務署は、こう考えます。

夫から妻への贈与2

つまり、登記上は夫が1500万円分、妻が1500万円分取得したことになっているわけですが、妻はお金の負担がないため、夫から1500万円をもらった、つまり、夫から妻に1500万円分の贈与があったと考えます。

1500万円分の贈与に対する贈与税は、450万5千円となり、なんと30%ほどになります。

このような事情があり、「お尋ね」の中では、どうやって妻は資金を調達したかを聞きます。

まあ、最近は、妻が年収500万円、夫が年収300万円みたいなケースもよく見かけるので、そういう場合は、妻の持ち分を多くしておかないと、バランスがおかしいですよね。

なお、司法書士の先生は、税金のプロではありませんので、「夫婦で半分ずつにしてください」と言ったら、そのようにしてしまいます。

しかし最近は、「税金のこと、大丈夫ですか?」と聞いてくれる司法書士の先生も増えてきたのですが、中には登記の報酬を浮かせるために「自分」で登記して失敗しているケースもあるので、まあ、気をつけましょうね。

この3000万円は、実は夫婦で半分ずつ用意したんですが・・・。

贈与税がかかってはいけないと慌てて、税務署に対して「お尋ね」に資金の調達元をこのように書いたとします。

なるほど、最近は共働きの夫婦も多いので、例えば、頭金を200万円ずつ(計400万円)貯めて、住宅ローンも1300万円ずつ(計2600万円)それぞれが借りて(あるいは夫婦連帯債務者で)返済しているようであれば、問題はなさそうですね。

負担と持ち分の一致

ただし、妻が専業主婦の場合は、この説明は注意が必要です。

税務署からは「なるほど。ところで、奥様は頭金200万円はどうやって貯めたのですか? それに、住宅ローンの1300万円は今後、どうやって返済していくのですか?」と言われる可能性もあるかもしれません。

収入がない場合には、もとになるお金がないので、微妙なところですね。この辺りは、ケースバイケースです。

親から子への贈与税の例

両親から贈与は受けていないとウソをついたら税金と罰金で650万円!

Aさんは、税務署からのお尋ねに対して、「自分(Aさん)の手持ち現金」と「銀行借入」で買ったという回答をしました。

しかし、税務署では、あまりに「手持ちの現金」の部分が多かったので、その回答内容について「あやしい」と思ったため、本当にそうなのかと調査を行いました。

調査では、当初、Aさんは「両親からの住宅資金の贈与は受けていない」という回答を繰り返していました。

しかし、税務署では、

  1. 「住宅ローンの資金計画」では、両親からの住宅資金の贈与が組み込まれていた
  2. 両親の預金口座から本人の預金口座への入金などの手続の際に、両親が同行して手続きを行っていた

という2つの事実を確認していました。

つまり、家を買うときにかなり両親からお金を出してもらったんですね。

Aさんは、「税務署にはばれないだろう」と考えて、「お尋ね」の書類にはウソの回答を行いました。

さらに、贈与税の申告もしていなかったことも認めました。

ウソはダメですね。

うっかりではすまされません。意図的に贈与の事実があったことを隠したため、罰金は重くなります。

その結果、贈与税と罰金(重加算税)を含め約650万円を納税することになったという実例が報告されています。

これから不動産登記を控えています。気をつけることはなんですか?

すでに見てきたように、

(1)「資金の負担」と「登記上の持ち分」のつじつまがあっていること

(2)「資金の負担」の根拠(頭金を誰が貯めたか、誰が返済するか)が説明できること

の2つに注意する必要があります。

個人的には、(1)の方が問題になりやすいと思っています。

資金の負担」と「登記上の持ち分については、税務署に確認される可能性もあるので、あらかじめ、説明できるようにすることをおススメします。

私のときには、こういう資料を一条工務店からもらいました。

(参考)一条工務店資料
一条工務店
もちろん、自己資金がどこから来たかとか、夫婦の負担がどうか、とかまではこの資料ではわかりませんが、あらかじめ、こういうお金の流れを整理しておくのは大事なので、非常に良い資料だと思います。

 

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