国家公務員は「国債」、トヨタ勤務なら「トヨタ株」
資産運用で重要な考え方として、アセットアロケーション(Asset Allocation)というものがあります。
アセットアロケーションというのは、リスクやリターンを考えて、複数の異なった資産に分散投資すること(あるいはその配分の割合)をいいます。
例えば、国内株式に30%、国内債券に20%、国外株式に30%、国外債券に20%とか、自分のリスクに合わせて投資対象を選ぶかと思います。
ちなみに私の確定拠出年金の配分は国内株式30%、外国株式30%、外国債券20%、その他20%となってます(元本確保型はしない主義)。
しかし、できればここに、最大の投資先である現在勤めている会社も含めて考えてみてはいかがでしょうか?
もくじ
投資リターンより圧倒的に多い「自分の給料」
例えば、年収500万円の人がいて、投資リターンが年5%くらいだとしましょう。
毎年500万円を稼ぐ人を仮に「資産」としての価値を測ると、年500万円÷5%=「1億円」の価値が必要となります(非常に乱暴ですが)。
自分自身が健康で働くことが前提であり、株式投資や不動産投資による収入とは違うわけですが、あなた自身が時価1億円の資産と考えることもできます。
例えば、パート収入が年収100万円だとしても、年100万円÷5%=「2千万円」の価値があります。
決してこれは、あなどれない金額です。
「自分が働く会社」も投資先の1つ
これはたぶん、従業員持株会なんかで「自社株」をもっているイメージに近いと思いますが、「自分が働く会社」も投資先の1つです。
当然、従業員持株会を通じて保有する「自社株」もアセットアロケーションを考えるときに含める必要がありますが、「自分の給料」もできれば一緒に考えていただきたいところです。
例えば、トヨタ自動車で働いている方は、「トヨタ自動車」=「トヨタ株」に投資しているようなものです。
国家公務員であれば、「国」=「国債」に投資しているようなものです。
地方公務員であれば、「自治体」=「地方債」に投資しているようなものです。
まずは「勤務先のリスク」を測る
さて、「資産運用(アセットアロケーション)は「自分の給料」も含めて考えよう!」というタイトルにしましたが、じゃあ、年収500万円だから時価1億円の資産として計上すればいいかといえば、そういうわけではありません。
完全に資産の配分が崩れますし、そもそも1億円かどうかすらわかりません(笑)
今回提案するのはそういうことではなくて、投資をするにあたってのリスクの程度の把握です。
そのために、まずは勤務先のリスクを考えてみましょう。
国家公務員が「個人向け国債」を買うのはどういうこと?
例えば、国家公務員の場合、自分の給料は「国債」に投資をしたときの分配金みたいなものです。
では、ガチガチの国債で投資をしているところに、さらに金融商品の1つとして「個人向け国債」を買うのはどうでしょうか?
ふつうはアセットアロケーションを考えるときには商品である個人向け国債だけ見るわけですが、自分の給料もあわせて見てみると、これってかなり保守的な感じがしますよね。
別にそれがいいとか悪いとかではないのです。
自分の目的にかなっているかどうかです。
ガチガチでいきたければそれでいいでしょう。
ただ、もし、余裕資金はもう少しリスクを取りたいと思っているのであれば、既に給料の部分がかなりリスクが少ないわけですから、投資の方は個人向け国債ではなく、「他の商品」に目を向けてみるのもアリだということです。
外資系企業勤務で「個別株」への投資はどういうこと?
一方で、外資系企業に勤務していて、年収は平均的なサラリーマンよりずっと高いのですが、急激な減収や失職するリスクが高い会社だとどうでしょうか?
まるで「個別株(日本株式または外国株式)」に投資しているようなものですね。
そんな人が、さらに高いリスクを取った投資をしたらどうでしょうか?
あの2008年のリーマンショックみたいなことがあれば、給料も投資も共倒れになる危険性があります。
つまり、リスクを取り過ぎていますがいいですか?ということですね。
資産運用は単なる商品選びではない!
資産運用は、決して、自分のお金を日本株式に投資しようかな、外国株式に投資しようかな、国債に投資しようかな、という単に「商品」だけを見てを決めることではないと考えます。
そもそもあなたと家族が今度幸せに生活するために、長~~~くお金で困らないように向き合っていくことです。
資産運用を全くしないとしても、働いていること自体が既に「自分という資産」を運用しているのです。
資産運用で少しでもうまくいくためには、単なる商品選びだけを考えずに、「自分という資産の運用の仕方」=「自分がどこでどうやって働いているのか、リスクはどれくらいあるのか」も含めて考えましょう。
まとめ
アセットアロケーション自体にはいろいろな考え方があり、また、タイミングや環境によって結論は異なります。
しかし、仮にまたリーマンショックが起こったとしたら、自分が運用している資産はどうなるのか、そして、自分の給料はどうなるのかをイメージしておくのは重要なことです。
実際にリーマンショックで投資も給料も共倒れになった人も見てきましたが、両方ダメージを追うと非常に厳しいです。
投資は失敗しても給料で取り返せるかもしれませんが、給料もなくなれば収入が途絶える方はたくさんいるでしょう。
だからこそ、投資のことはもちろんですが、同時に、「自分の給料」についても見てくださいね、という提案です。