2019/01/306 Shares

早生まれの子どもの親は怒れ!扶養控除と児童手当のダブル損問題

早生まれ
日本には、年(暦年)年度という2つの考え方があります。

  1. 年(暦年)・・・1月~12月
  2. 年度・・・4月~翌年3月

普段はあまり気にしていないかもしれませんが、実は、大きな問題があります。

それが、扶養控除と児童手当における早生まれのダブル損問題です。

例えば、

  1. 平成30年=平成30年1月~平成30年12月
  2. 平成30年度=平成30年4月~平成31年3月

ということで、「平成30年4月~平成30年12月」生まれの場合は、「平成30年」でかつ「平成30年度」でわかりやすいですね。

一方、「平成31年1月~3月」の早生まれの場合は「平成31年」で「平成30年度」となり、年と年度がずれてしまいます。

これが、扶養控除と児童手当のダブル損を生みます。


1.扶養控除の損!

1-1. 扶養控除の判定方法は?

所得税の扶養控除は昔は0歳のときから対象でしたが「手当」を支給すると言って16歳未満の子ども(年少扶養親族)は対象外になりました。

逆に言えば、16歳以上の子ども(=扶養親族)は、扶養控除の対象です。

ここで問題です。

「子どもが16歳かどうか」はいつ判定するのでしょうか?

正解は、扶養控除を受けるためのその年の12月31日現在の年齢です。

つまり「年末」です。

所得税は、1月1日から12月31日までの年(暦年)を計算期間としているので扶養控除は12月31日時点で判定します。

1-2. 1月1日でも滑りこみセーフ

じゃあ1月1日に産まれたら損だねと思うかもしれませんが、1月1日生まれでも対象です。

民法では誕生日の前日の24時に年齢が上がります。

「誕生日の0時ではない」という点がミソです。

1月1日生まれの人は、前日の12月31日に年齢が1つ上がります。

そのため、扶養控除の判定は、

  • 早生まれの子ども=1月2日~4月1日生まれ
  • 遅生まれの子ども=4月2日~1月1日生まれ

となります。

1-3. 1月2日以後に産まれると1年分損!

さて平成16年1月1日までに産まれた子どもは、平成31年12月31日時点で16歳になるため、平成31年分から親の扶養控除の対象にできます。

一方、平成16年1月2日以後に産まれた子どもは 扶養控除の対象にできません

遅生まれ(平成16年1月1日以前生まれ)の子どもをもつ親

⇒平成31年分:扶養控除の対象

早生まれ(平成16年1月2日以後生まれ)の子どもをもつ親

平成31年分:扶養控除の対象外

このように同学年だとしても早生まれの子どもを持つ親は扶養控除で損をします。

1-4. ふつうは1年分の損が取り返せない!

「確かに今年はできないかもしれないけど、来年は16歳になるから来年からできるんでしょ」

「1年ズレるだけで、長い目で見れば同じことでしょ」

と考えたくなりますが、本当にそうでしょうか?

扶養控除には「年収103万円の壁」があります。

もし子どもが高校を卒業してストレートで大学に進学し、4年間で卒業して新社会人になると、多くの場合4月に入社します。

正社員になれば、その年の年収は103万円を超えるケースが普通でしょう。

▼遅生まれ(平成16年1月1日以前生まれ)の子どもをもつ親の場合
控除の時期(年齢) 控除
平成31年(16歳) 38万円
平成32年(17歳) 38万円
平成33年(18歳) 38万円
平成34年(19歳) 65万円
平成35年(20歳) 65万円
平成36年(21歳) 65万円
平成37年(22歳) 65万円
平成38年(23歳) 4月から社会人で対象外に
※年齢は12月31日時点
※19歳から21歳までは特定扶養控除(65万円)に該当

【結果】

  • 38万円の控除:3回
  • 65万円の控除:4回

▼早生まれ(平成16年1月2日以後生まれ)の子どもをもつ親

控除の時期(年齢)  控除

平成31年(15歳)  対象外

平成32年(16歳) 38万円
平成33年(17歳) 38万円
平成34年(18歳) 38万円
平成35年(19歳) 65万円
平成36年(20歳) 65万円
平成37年(21歳) 65万円
平成38年(22歳) 4月から社会人で対象外
平成39年(23歳) 社会人で対象外
※年齢は12月31日時点
※19歳から21歳までは特定扶養控除(65万円)に該当

【結果】

  • 38万円の控除:3回
  • 65万円の控除:3回

社会人になるのは4月から、つまり「年度」単位が一般的です。

ストレートに卒業して就職すれば、早生まれの子どもは22歳時点の「65万円」の特定扶養控除が使えないまま社会人になります。

1年遅れで長い目で見れば同じ金額ならまだ許せると思いますが、実は、1年分損をするのがこの制度の致命的な欠陥です。




2.児童手当の損!

もう1つ、児童手当も損をしています。

手当の目的は「中学校修了時までの子育ての支援」です。

児童手当のスタートは産まれてからですが、15歳に到達してから最初の年度末(3月31日)までの間の児童が対象となります。

早生まれの高校1年生は、中学卒業で打切りなので対象外です。

この結果、「早生まれの高校1年生」は扶養控除も使えないし、児童手当ももらえないという不公平な状況になります。

おかしいですね。

そもそも「手当」があるから16歳未満は扶養控除が使えなくなったはずが。。。

いや、ただのウソつきですよね。

それにもかかわらずいまだに放置されています。

毎月、同じ数の子どもが産まれるとすれば、早生まれの子どもたちは12か月中3か月なので、ざっくり「4分の1」いることになります。




3.扶養控除と児童手当は22万円の損失!?

扶養控除と児童手当がないことで、どれだけ損をするのか計算してみます。

「扶養控除」がないことによる損は、次の2つです。

  • 65万円(所得税:特定扶養控除)×所得税率(約5%~45%)
  • 45万円(住民税:特定扶養控除)×10%

もし、所得税率が10%だと仮定すると、

  • 65万円×10%=6万5千円
  • 45万円×10%=4万5千円
  • 合計11万円

です。

「児童手当」がないことによる損は、中学生の場合なので月1万円です。

4月産まれと比べて11か月分もらう金額が少ないため、

  • 月1万円×11月=11万円

となります。

合計すると、22万円ですね。

所得税の税率が20%くらいの人なら、30万円くらいの損になります。




4.国会でも問題になっているが変わらない

この話題を出すと「早生まれの子どもを産む親の自己責任だ」なんてことを言う人がいてびっくりします。

制度の欠陥を個人の自己責任に転嫁するのは訳が分かりません。

個人的には制度を変えるべきだと考えますが、変わらない状態が続いています。

しかもこの問題は前から指摘されています。

「第174回国会 財務金融委員会 第5号(平成22年3月1日(月曜日))」でも、とある国会議員の方が問題ありと質疑を行っています。

長くなりますが、重要な話なので引用します。

○佐々木(憲)委員 それからもう一点は、早生まれの子供の問題なんです。

資料の5ページの表を見ていただきたいんですが、子供が高校1年生のときと高校卒業年に問題が発生するんですが、とりわけ扶養控除が廃止されるため、高校1年生の子供が早生まれの場合は全く所得控除が受けられなくなる。

同学年で12月末までに誕生日を迎える子供は、特定扶養控除の上乗せ部分が廃止されるために所得税で38万円に減額はされるが、扶養控除を受けることはできる。

つまり、早生まれの高校生だけが、子ども手当も扶養控除も受けることができない

これはおかしいんじゃないでしょうか。

同じ高校1年生でこういう差別が発生する理由を説明していただきたい

○古谷政府参考人 お答えを申し上げます。

扶養控除につきましては、現在、年少扶養控除の場合、0歳から15歳までのお子さんをお持ちの方に控除が認められているわけですが、これにつきましては、年齢の判定を、所得税は1月から12月の暦年課税でございますので、12月31日時点で判定をしております。

このため、学年でいいますと同じ学年でも、早生まれ、1月から3月までのお子さんについては、4月から12月の遅生まれのお子さんよりは1年おくれで年齢の判定が行われることになっておりまして、中学を卒業されて高校1年生になられた年に15歳という判定を受けますので、1年おくれるということでございます。

他方で、子ども手当につきましては、現在の児童手当と同様に、その支給期間が、中学校修了までの子育ての支援ということで、3月の卒業時までの支給ということで制度設計をされております。

このため、22年の4月には問題は生じませんが、23年4月以降に高校1年生となる早生まれのお子さんにつきましては、1年生になった時点で15歳ということでございますので、その年に年少扶養控除が適用されずに、一方で子ども手当については3月までで支給が終わるということで、4月以降、子ども手当の支給がないということではございますけれども、一方で、高校に入学をされますと、高校の実質無償化による経済的利益を受けることも考慮いたしますと、必ずしも高校に入学されたときに負担がふえるかどうかは、急に負担がふえるということではないというふうに思われます。

さらに、23年4月以降ということでございますので、22年の子ども手当がそのまま続く前提で考えるとそういったことになるということで、23年以降の子ども手当の問題については今後検討されるということになっておると承知しております。

○佐々木(憲)委員 要するに、1月から3月の部分というのは、谷間のようなものなんですね

運が悪いから我慢しろと言われても、これは4分の1を占める方々ですから、量としては大変多いんですよ。

それを、制度上谷間ができるからしようがないんだというわけにはいかないんじゃないでしょうか。

やはり、何らこの所得控除も受けられない、あるいは子ども手当が支給されない、これは控除から手当へじゃなくて控除からゼロへ、こういう話になりますので、これはほかの国ではどうなっているんでしょうね、こういうものは。同じようなことが発生している事例はあるんでしょうか。

○古谷政府参考人 大変恐縮ですけれども、ほかの国の事例は、私どもは今手元に持っておりません。

ただ、若干先ほどの説明に補足をいたしますと、早生まれの場合に年齢の判定が1年おくれるということではございますけれども、扶養控除ということで、扶養されている限りは1年おくれで適用されるということでございますので、扶養控除という観点から、生まれ年によって不公平が生じているということではないというふうに承知をしてございます。

○佐々木(憲)委員 この早生まれの問題というのは、前政権、自民党政権のもとでもずっと放置されてきた問題で、これまでも、例えば高校の授業料減免制度が対象になるとかならないとか、そういう問題がありました。

例えば、夫婦子供2人、高校生、中学生の子供を持つ家庭では、給与所得者の場合、給与325万円が課税最低限となるわけです。それ以下であれば所得税は非課税のために授業料の減免制度の対象になる。

高校生が早生まれの1年生で扶養控除となれば、課税最低限は300万円に下がる。

つまり、給与325万から300万円までの人は、授業料減免制度の対象から外れるわけです。母子家庭でも、課税最低限は261万6000円から236万6000円に下げられて、同じ問題が発生していたんです。

ともかく、こういう問題は、仕組みがそうだからというわけにはなかなかいかない。

こういう手当や税金の問題というのは国民の権利にかかわる非常に重要な問題でありますので、菅大臣にまとめてお伺いしたいんですが、いろいろなこういう問題がある、当然、こういうものも含めて全体として国民が平等に支援を受けられるようにする、そういう発想で検討するということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

このようなやり取りがあり、今後検討すると言われながら、この早生まれダブル損問題は今のところ、変わる雰囲気は全くありません。

まとめ

私の友人も1月に子どもが産まれましたが、早生まれの場合は「保活」が厳しく、「1年間職場復帰を遅らせるしかない」といっていました。

少子化の時代です。

少子化をなんとかしようという時代です。

昔から早生まれは不利だとか、そういう制度上しかたがないとかいう話は聞き飽きたので、もっと前向きな検討を望みます。

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