2018/03/3110 Shares

10万円超でも医療費控除を「年収の高い人」がやると損をする場合


忙しい人のために結論だけ書くと、「年収が高い方」という常識は常に正しいとは限りません

例えば夫が年収400万円、妻が年収120万円の夫婦で医療費は15万円の場合、計算結果は

夫が医療費控除をした場合:▲7,500円の減税

妻が医療費控除をした場合:▲18,550円の減税

つまり、妻が医療費控除をした方が11,050円も有利!

というように、年収が低い人(特に年収310万円以下の人)が医療費控除をした方が有利になる場合もあります。

結論としては、常識にとらわれずに自分で計算してどっちで医療費控除をした方がいいのか判断する必要があります。

特に年収120万円~200万円くらいの方は検討の余地があります。

なお、確定申告の方法は次の記事をお読みください。

関連 【画像あり】平成29年分 医療費控除の確定申告書の書き方と申請方法


医療費控除は「年収が高い方!」と言われるもっともらしい理由

「医療費控除は年収(所得)が高い方でやりましょう!」と言われることがあります。

これは所得税の税率が所得に応じて、

5%→10%→15%→20%→23%→30%・・・

と負担が増えていく「超過累進税率」という制度になっているので、税率の差の分だけ年収の高い人が得をする、という説明がなされます。

超過累進税率

出典:No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

このほかに住民税率が一律10%なので、例えば医療費控除が2万円できる場合、次のようになるという説明です。

  • 所得税率が20%の人:2万円×30%(※1)=6,000円の減税
  • 所得税率が10%の人:2万円×20%(※2)=4,000円の減税

※1:所得税率20%+住民税率10%=30%

※2:所得税率10%+住民税率10%=20%

結果、税率の差の10%分だけ年収が高い人が得をするというわけです。

この説明は間違っていません。

ただし、常に税率の差があるわけでもありません。

そのため、計算してみると常識とは逆の結果が出る場合もあるのです。

本当に年収が高い方が医療費控除をした方が有利なの?

しかし冒頭で書いたように、そうではないケースもあります。

今回は、簡単にシミュレーションできる「所得税・住民税簡易計算機」を利用して計算してみました。

1.年収400万円の鈴木太郎さんの場合

  • 年収400万円
  • 社会保険料控除56万円(年収×14%と仮定)
  • 配偶者特別控除21万円(妻の所得は55万円)

これを入力すると次のようになります。

年収400万円の所得税01

太郎さんの課税所得は「151万円(課税される所得金額195万円以下)」のため税率は最低の5%です。

超過累進税率02

出典:No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

医療費控除をする前の段階で所得税・復興特別所得税77,000円+住民税158,500円=税金235,500円となりました。

年収400万円の所得税02

もし医療費を15万円支払っていて太郎さんが確定申告で医療費控除をすると、次のようになります。

年収400万円の所得税03

医療費控除前:税金235,500円

医療費控除後:税金228,000円

減税額:▲7,500円

2.年収120万円の鈴木花子さんの場合

一方の花子さんは、社会保険料の支払いはないのでシンプルです。

  • 年収120万円
  • 社会保険料控除0円(夫の扶養の範囲内)

これを入力すると次のようになります。

年収120万円の所得税01

花子さんの課税所得は「17万円(課税される所得金額195万円以下)」のため同じく最低の5%です。

年収120万円の所得税02

医療費控除をする前の段階で所得税・復興特別所得税8,600円+住民税24,500円=税金33,100円となりました。

もし医療費を15万円支払っていて花子さんが確定申告で医療費控除をすると、次のようになります。

 

年収120万円の所得税04

医療費控除前:税金33,100円

医療費控除後:税金14,550円

減税額:▲18,550円

太郎さんと花子さんの所得税率は同じ「5%」でした。

しかし、太郎さんの減税額が7,500円だったのに対して、花子さんは18,550円と1万円以上の差が出てしまいました。

これこそ、医療費控除の計算の特徴でもあります。

医療費控除は「給与所得控除『後』の金額」で運命がわかれる!

医療費控除は、

(1) 10万円

(2) 総所得金額等×5%

のいずれか少ない方がハードルとなります。

つまり、10万円を超えた分しか医療費控除の対象とならない、という考え方は間違いです。

では「総所得金額等」とは何?となりますが、給料しかもらっていない人は「給与所得控除後の金額」をいいます。

勤め先からもらう源泉徴収票のこの部分を見てください。

源泉徴収票

太郎さんは給与所得控除後の金額が「266万円」になります。

266万円×5%=133,000円>100,000円

よって100,000円

年間医療費150,000円-100,000円=50,000円まで控除可能

花子さんは給与所得控除後の金額が「55万円」になります。

55万円×5%=27,500円<100,000円

よって27,500円

年間医療費150,000円-27,500円=122,500円まで控除可能

<医療費控除が可能な部分>

太郎さん:50,000円

花子さん:122,500円

このように、花子さんの方が控除できる金額が多いのです。

給与所得控除後の金額で、運命が分かれます。

ざっくり言えば、どちらかが年収310万円以下であれば、医療費控除を考えるときの足切りが10万円未満になるため、年収が低い人の方がやった方が有利になる場合があるということです。

特に年収120万円~200万円くらいの方は検討の余地があります。




注意!「年収103万円以下」だと効果なし

ちなみに、今回の話は大前提として、妻も税金を払っている必要があります。

例えば、年収103万円以下で所得税も住民税もそもそも払っていないかほとんど払っていないのであれば、夫の方でやった方がいいということになります。

所得税・住民税簡易計算機」を使ってシミュレーションしてみて下さい。

また、産休や育休の場合、つまり、1年のうち数か月しか給料をもらっていないようなときには、同じように医療費控除を夫より妻がした方がよい場合が出てくるかと思います。

まとめ

最後になりましたが、夫の年収が500万円とか600万円となってくると、どこかで損得が逆転するかと思いますし、住宅ローン控除をしているような場合には、また違った結果になる可能性もあります。

お伝えしたかったのは、「自分でシミュレーションしないと結局、何が得かはわからない!」ということです。

次の記事へ>>>所得税と住民税をシミュレーションするならこれ!無料税金計算ツール3選

※なお、税金の具体的な計算(医療費控除の計算、比較など)は、無料であっても税理士にしかできません。コメント欄等でご相談をいただいても、法律違反になるため、お答えできませんので、あらかじめご了承ください。

関連 税金に関する相談は税理士または最寄りの税務署へ

最後までお読みいただき、ありがとうございました^^ この記事はお役に立てましたでしょうか。感想や質問、お気づきの点があれば、「お問い合わせフォーム」やコメント欄からお気軽にご連絡ください。なお、コメント欄は私の承認後に表示されます。税金計算や具体的な有利不利の判断についてはこちらから

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