2018/12/1010 Shares

【確定申告】10万円超でも医療費控除を「年収の高い人」がやると損をする場合

「医療費控除は年収が高い方がするとお得!」という常識は、いつも正しいとは限りません

例えば夫が給料年収400万円、妻が給料年収200万円の夫婦で医療費が15万円の場合、

  • 夫が医療費控除をした場合:▲7,500円の減税
  • 妻が医療費控除をした場合:▲18,550円の減税
  • つまり、妻が医療費控除をした方が11,050円も有利!

年収が低い方(特に給料年収310万円以下の方)が医療費控除をした方が有利になる場合もあります。

重要なのは確定申告をする前に「誰が医療費控除をした方が有利なのか」シミュレーションをしてみる点です。

特に給料年収120万円~200万円くらいの方は要チェックです。

なお、確定申告の方法は次の記事をお読みください。

関連 医療費控除の確定申告書の書き方と申請方法


1.医療費控除は「年収が高い方!」と言われるもっともらしい理由

「医療費控除は年収(所得)が高い方でやりましょう!」と言われることがあります。

これは所得税の税率が所得に応じて、

5%→10%→15%→20%→23%→30%・・・

と負担が増えていく「超過累進税率」という制度になっているので、税率の差の分だけ年収の高い人が得をする、という説明がなされます。

超過累進税率

出典:No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

このほかに住民税率が一律10%なので、例えば医療費控除が2万円できる場合、次のようになるという説明です。

  • 所得税率が20%の人:2万円×30%(※1)=6,000円の減税
  • 所得税率が10%の人:2万円×20%(※2)=4,000円の減税

※1:所得税率20%+住民税率10%=30%

※2:所得税率10%+住民税率10%=20%

結果、税率の差の10%分だけ年収が高い人が得をするというわけです。

この説明は間違っていません。

ただし、常に税率の差があるわけでもありません。

そのため、計算してみると常識とは逆の結果が出る場合もあるのです。




2.本当に年収が高い方が医療費控除をした方が有利なの?

しかし冒頭で書いたように、そうではないケースもあります。

今回は、簡単にシミュレーションできる「所得税・住民税簡易計算機」を利用して計算してみました。

2-1.年収400万円の鈴木太郎さんの場合

  • 年収400万円
  • 社会保険料控除56万円(年収×14%と仮定)
  • 配偶者特別控除21万円(妻の所得は55万円)

これを入力すると次のようになります。

年収400万円の所得税01

太郎さんの課税所得は「151万円(課税される所得金額195万円以下)」のため税率は最低の5%です。

超過累進税率02

出典:No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

医療費控除をする前の段階で所得税・復興特別所得税77,000円+住民税158,500円=税金235,500円となりました。

年収400万円の所得税02

もし医療費を15万円支払っていて太郎さんが確定申告で医療費控除をすると、次のようになります。

年収400万円の所得税03

  • 医療費控除前:税金235,500円
  • 医療費控除後:税金228,000円
  • 減税額:▲7,500円

2-2.年収120万円の鈴木花子さんの場合

一方の花子さんは次の前提です。

  • 年収120万円
  • 社会保険料控除0円(夫の扶養の範囲内)

これを入力すると次のようになります。

年収120万円の所得税01

花子さんの課税所得は「17万円(課税される所得金額195万円以下)」のため同じく最低の5%です。

年収120万円の所得税02

医療費控除をする前の段階で所得税・復興特別所得税8,600円+住民税24,500円=税金33,100円となりました。

もし医療費を15万円支払っていて花子さんが確定申告で医療費控除をすると、次のようになります。

年収120万円の所得税04

かなり減りましたね。

  • 医療費控除前:税金33,100円
  • 医療費控除後:税金14,550円
  • 減税額:▲18,550円

太郎さんと花子さんの所得税率は同じ「5%」でした。

しかし、

  • 太郎さんの減税額:7,500円
  • 花子さんの減税額:18,550円

と1万円以上の差が出ました。




3.医療費控除は「給与所得控除後の金額」に注目!

医療費控除は、

  1. 10万円
  2. 所得×5%(所得200万円未満の場合)

のいずれか少ない方を超える必要があります。

「所得」とは何?となりますが、給料だけの方は「給与所得控除後の金額」をいいます。

勤め先からもらう源泉徴収票のこの部分を見てください。

源泉徴収票

太郎さんは給与所得控除後の金額が「266万円」です。

所得200万円以上なので医療費が「10万円」を超えないと医療費控除の対象になりません。

年間医療費150,000円-100,000円=50,000円まで控除可能

花子さんは給与所得控除後の金額が「55万円」です。

  1. 10万円
  2. 55万円×5%=27,500円

よって27,500円

年間医療費150,000円-27,500円=122,500円まで控除可能

<医療費控除が可能な部分>

  • 太郎さん:50,000円
  • 花子さん:122,500円

このように花子さんの方が医療費控除ができる金額が多いのです。

ざっくり言えば、夫婦のどちらかが年収約310万円以下の場合、「年収が低い方」が医療費控除をした方が有利になる場合があるということです。

特に年収120万円~200万円くらいの方は有利になる可能性があります。

途中で退職した場合や産休・育休の場合も一度「所得税・住民税簡易計算機」を使ってシミュレーションしてみてください。

ちなみに医療費控除は大前提として税金を払っている必要があります。

例えば妻の年収が103万円以下で所得税も住民税もそもそも払っていないかほとんど払っていない場合は、夫の方でやった方がいいということになります。




まとめ

最後になりましたが、夫の年収が500万円とか600万円となってくると、どこかで損得が逆転するかと思います。

住宅ローン控除をしている場合はさらに複雑になるので、簡単にどういう場合が有利といえなくなります。

この記事でお伝えしたかったのは「自分でシミュレーションしないと何をすれば得かはわからない!」ということです。

所得税・住民税簡易計算機」で対応できない場合は、次の記事も参考にしてみてください。

関連 所得税と住民税をシミュレーションするならこれ!無料税金計算ツール3選

なお、税金の具体的な計算(医療費控除の計算、比較など)は、無料であっても税理士にしかできません。

コメント欄等でご相談をいただいてもお答えできないのであらかじめご了承ください。

関連 税金に関する相談は税理士または最寄りの税務署へ

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