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医療費通知の自己負担額と実際の窓口負担額が異なる場合の医療費控除の注意点

医療費控除の確定申告をする時に問題となるのが、「(1) 医療費通知の自己負担額」「(2) 実際の窓口負担額(=領収書に記載された金額)」が異なる場合です。

1つ目の原因としては、それぞれ端数処理の考え方が異なるために起こります。

この場合は、「(1) 医療費通知の自己負担額」「(2) 実際の窓口負担額(=領収書に記載された金額)」のどちらを採用しても問題ありません。

2つ目の原因としては、子どもの医療費のように市区町村による医療費助成が反映の有無による場合もあります。

この場合は、当然、自己負担はないため、医療費の助成を反映した「後」の金額(実際の窓口負担額)でなければおかしいので医療費通知の金額は使えないということになります。

この記事では、国税庁の「医療費控除に関する手続について(Q&A) 」の公式見解を見ながらその理由を解説します。

関連 【画像あり】平成29年分 医療費控除の確定申告書の書き方と申請方法


1.端数処理によって負担額が異なる場合

(1) 医療費通知の自己負担額の考え方

「医療費通知」上の自己負担額は、次の計算式で計算されます。

診療報酬点数×単価(10 円)×自己負担割合

したがって、「10 円未満の金額」まで記載されます。

そもそも医療費通知は医療費控除の目的というよりも、「医療費の実情や健康に対する認識を深めることを目的」としているという事情があります。

(2) 実際の窓口負担額の考え方

一方、病院や診療所の窓口で支払う医療費の額は、「10 円未満の金額」について端数処理(四捨五入)が行われています。

これは、健康保険法や国民健康保険法などの法律の中で四捨五入をすることが法律で決まっているので、病院や診療所、薬局などで1円単位のお金のやり取りをすることはまずないと思います。

(例)健康保険法第75条(一部負担金)

前条第1項の規定により一部負担金を支払う場合においては、同項の一部負担金の額に5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げるものとする。

結論としてはどちらを採用してもOK

それぞれの考え方の違いから、「医療費通知の自己負担額」「実際の窓口負担額」を見比べたときに金額が一致しない場合が出てきます。

しかし、結論としては、どちらを採用しても差し支えないとされています。

「医療費通知」に記載された負担額と実際の負担額とが異なる場合

問 医療保険者から送付を受けた「医療費通知」のうち「被保険者等が支払った医療費の額」欄に記載された金額と病院の窓口で実際に支払った医療費の額(領収書に記載された金額)が一致していません。

これは、医療機関の窓口で支払う自己負担額の計算上、10 円未満の金額について端数処理が行われているためと思われますが、医療費控除の額を計算する際にはどちらの金額に基づくべきでしょうか。

答 (省略)

「医療費通知」上の自己負担額と窓口で実際に支払った医療費の額が相違する場合がありますが、「医療費通知」に記載された「被保険者等が支払った医療費の額」に基づいて医療費控除の額を計算して差し支えありません

なお、医療機関等の窓口で実際に支払った金額により医療費控除の額を計算しても差し支えありません。この場合は、①実際に支払った金額の合計額を「医療費控除の明細書」の「1 医療費通知に関する事項」の「(2) (1)のうちその年中に実際に支払った医療費の額」欄に記載するか、②実際に支払った金額を「医療費通知」の余白などに付記することになります。

出典 国税庁「医療費控除に関する手続について(Q&A)

その理由については特に明記されていませんが、端数処理の問題であり、ほぼ「誤差の範囲」のため、このようにどちらを採用しても問題ないとしているのではないかと考えられます。

個人的には原則としてはあくまで「支払った金額=実際の窓口負担額」と考えられます。

ただ、もともと医療費控除のために作成しているわけではない医療費通知を「簡便的」に利用するため、このような誤差は国税庁も許容していると読み取れます。




2.医療費助成等によって負担額が異なる場合

「医療費通知の自己負担額」は、医療保険者(健康保険組合など)が作成時点で把握している情報に基づいて記載されています。

したがって、公費負担医療制度、市区町村による医療費助成、減額査定、未収金などがあっても、「医療費通知」に反映されません。

例えば、子どもの医療費についても市の助成で自己負担が0円になっていても、差し引かれずに医療費通知では自己負担があることになっているのがふつうです。

当然、このような場合は「実際の窓口負担額」でなければ、払っていないものまで医療費控除の対象となってしまうためおかしなことになります。

医療機関の窓口で医療費の負担がない場合

問 私が住んでいる市では中学生以下である子の医療費について助成を受けることができ、市内の医療機関で診療や医薬品の処方を受けたとしても、窓口でこれらに対する費用の支払が全額免除されています。

一方、医療保険者から送付された「医療費通知」には、この助成により実際には負担していない医療費の額が自己負担額の欄(「被保険者等が支払った医療費の額」欄)に記載されていました。

この場合であっても、「医療費通知」に記載のある自己負担額に基づいて医療費控除を受けることができるのでしょうか。

答 (省略)医療費控除は、その年中に実際に支払った医療費を対象に控除額を計算することとなりますので、ご質問のように窓口で自己負担額の減免があるにもかかわらず、その金額が「医療費通知」に反映されていない場合は、この減免分を除く実際に負担した医療費の額に基づいて医療費控除の額を計算することになります。

したがって、具体的には、「医療費控除の明細書」の「1 医療費通知に関する事項」のうち「(2) (1)のうちその年中に実際に支払った医療費の額」欄へ実際に支払った医療費の合計額を記載し、「医療費通知」に減免分がある旨を付記(記入例は問9参照)した上で、「医療費控除の明細書」と「医療費通知」を確定申告書に添付してください。

出典 国税庁「医療費控除に関する手続について(Q&A)

この場合は、医療費通知をそのまま使うと「払っていないもの」まで金額を載せてしまうため、次のように医療費通知を利用する場合は、加筆が必要となります。

医療費助成

例では、対象となるものに「★」をつけ、「★の医療費は、××市の子供医療助成制度により、窓口負担額なし」として、合計金額から差し引きます。

・・・ただ、お子さんが年間でたくさん病院等に行っている場合は「窓口負担額なし」だらけになって、医療費通知を利用するよりも通常どおり「医療費の領収書」を利用するのが逆に簡単なケースもあるかもしれません。




まとめ

医療費通知についてはまだまだ改善の余地があるため、今後この差異がなくなるケースもあるかもしれません。

しかし、まだしばらくは「医療費の領収書」をベースにして、「実際の窓口負担額」で医療費控除をするのが無難ではないかと考えます。

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