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勤労学生控除と扶養控除は併用不可!学生の103万円と130万円の壁に注意

【結論】

アルバイトは年収103万円までにしたら?

そうしないと親の扶養を抜けちゃうよ!

学費を自分で稼いでいる学生さんも増えていますが、そんな学生さんとご両親にぜひとも知っていただきたい「税金」と「手当」、「健康保険」の話です。

おそらく1番最悪なのが、年収130万円を超えるときですが、

  1. 勤労学生控除を使っても「自分の税金」が発生する。
  2. 親は扶養控除を使えないので「親の税金」が増える。
  3. 「親の手当」がもらえなくなる可能性がある。
  4. 「自分が国民健康保険を負担」しなければならなくなる可能性がある。

と、税金も手当も健康保険も踏んだり蹴(け)ったりです。


まずは税金と手当の話

配偶者控除や扶養控除、医療費控除などは、税金を少なくする「所得控除」の中で有名なものですが、税理士でも珍しいのが「勤労学生控除」です。

勤労学生控除とは、その年の12月31日現在で、次の3つの条件を満たす場合に使えます。

  1. アルバイトなどの給与所得がある
  2. 合計所得金額65万円以下(目安は給料だけなら年収130万円以下)
  3. 大学生、高校生、専門学校生など

この条件を満たすと、学生さん本人の税金を計算するときに「27万円」の控除が認められます。

出典:国税庁「タックスアンサーNo.1175 勤労学生控除

27万円分だけ税金が引かれるのではなくて、収入のうち27万円相当には税金がかからないということです。

このため、年収103万円+27万円=年収130万円まで所得税がかからないといわれます。

確かに、ここまでは正しいです。

・・・しかし、2番目の条件である「合計所得金額が65万円以下」は勘違いが多いものとなっていて、ここで失敗をしています。

そのため、3つの悲劇が起こる可能性があります。

悲劇1:親の扶養を抜けると「親」に10万円以上の負担増!

勤労学生控除は、実質的に年収103万円超130万円以下の場合に意味があります。

なぜなら、年収103万円以下の場合には、所得税がかからないからです。

しかし、年収103万円を超えると親に迷惑がかかります。

なぜなら、親の方で節税できるはずの扶養控除(特に19歳以上23歳未満の人は控除が高い特定扶養控除)の対象外となるからです。

例えば、親の年収が500万円で社会保険料が年間65万円くらいで大学生の子どもが1人いるとします。

所得税と住民税を合わせてざっくり約30万円の税金の負担になります。
計算1

これが、大学生の子どもの年収が103万円を超えると、扶養控除が使えなくなるので、ざっくり言って約40万円の税金の負担になります。
計算2

つまり、アルバイトで年間103万円を超えたら、10万円くらい親の税金が増えると思ってください。

しかも、父親の年収がもっと高ければ、所得税の税率は高くなるので、この金額はもっと増えます。

「自分」は103万円を超えてがんばって稼いだつもりになっていたら、「親」の税金が増えてしまって、世帯全体で見た時に損になる場合があります。

この点は、配偶者特別控除(年収103万円超141万円以下まで使える)がある配偶者の場合と大きく異なります

【配偶者控除と配偶者特別控除のイメージ】
配偶者控除・特別控除

配偶者特別控除と違って、扶養控除の場合には、年収103万円を1円でも超えたら扶養控除はなくなってしまいます

【特定扶養控除のイメージ】
特定扶養控除

「103万円を超えてしまいました。どうしたらいいですか?」と言っても手遅れです。

アルバイトをするときには知っておきたい知識です。

悲劇2:「親」がもらう扶養手当が24万円なくなった!?

大企業の中には子どもの年収が103万円以下であることを条件に、子ども1人あたり扶養手当(家族手当)を出す場合があります。

しかし、勤労学生控除があるから年収130万円まではいいんだ、と思ってアルバイトをしていると、「親の手当」に影響があるなんて、学生さんは思いもしないでしょう。

例えば、某自動車メーカーでは、年収103万円以下の子ども1人がいる社員に対して「月2万円」を支給しています。

逆に言えば、子どもの年収が103万円を超えたらもらえません。

年間で24万円の手当が吹き飛ぶわけです。

4年間で96万円です!

あれ? がんばって働いたアルバイト1年分に近くないですか??

もちろんこの話は扶養手当の条件が「年収103万円以下」という場合に限ります。

年収制限を設けているところは結構多いので、親の会社の給与規定などのルールを確認しておきましょう。

悲劇3:「親」にバイトがバレる。

悲劇1と2は、親自身に起こる悲劇でしたが、3つ目は、本人に対する悲劇です。

親の扶養を外れて扶養控除が使えなくなると、税金が足らないので税務署から親の会社に連絡がいきます。

そして、親は会社の給与計算の担当者に呼び出されて「不足分」を払うように言われます。

その時点で、親は自分の子どもが自分が黙ってバイトをしていることに気づきます

黙っていたアルバイトが、「税金」のせいでバレてしまうのです。

Yahoo!知恵袋では、「親の扶養を外れて内緒でバイトしてるのがばれた」というのをよく見かけますが、残念ながら社会のルールを知らないために起こった悲劇です。

学校では教えてくれないのでお気をつけください。

そのため、年収103万円以下におさえておいた方が無難だと思います。

なぜ親は扶養控除ができなくなるのか?

さて、1つだけ大事な話を飛ばしてきました。

勤労学生控除のうち、2番目の条件である「合計所得金額が65万円以下」は勘違いが多いと書きましたが、これについて何も答えていませんでしたね。

勤労学生控除については、年収130万円の場合、給与所得控除(=経費のようなもの)を考慮してくれるので、130万円-65万円=合計所得金額65万円となります。

そのため、「合計所得金額が65万円以下」という勤労学生控除の条件を満たします。

ちなみに、最近は、ブロガーとかYoutuberとかで稼いでいる大学生も見かけますが、給料ではないので収入から経費を引いた金額で考えます。

この経費は、給与所得控除ではなく、「実際にかかった経費」しか引けません。

さてこの「合計所得金額」という表現は、扶養控除にも出てきます。

先ほどから、103万円の壁と言っていましたが、正確には、「合計所得金額が38万円以下」という扶養控除の条件があります。

でも、130万円-65万円=合計所得金額65万円で、38万円を軽くオーバーしてしまうので、年収130万円の場合は、扶養控除は受けられないのですね。
判定1
・・・ところが、ここで大きな誤解があります。

Yahoo!知恵袋なんかで間違った回答をしている人がいますが、

「自分は勤労学生控除が使えるから、27万円引いていいんでしょ?」

判定2
引いちゃダメ、絶対!

「合計所得金額」というのは、所得控除をする『前』の金額なので、勤労学生控除も基礎控除も引いたらダメなのですからね。

Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトでも、回答をしている人の中にはここを誤解していて、「勤労学生控除と扶養控除は併用できます!」なんて説明している人がいますが、違います。

ご注意ください。

【税金と手当まとめ】学生の年収103万円~110万円は働き損かも!

勤労学生控除は、アルバイトなどの給料の年収が103万円を超えてはじめて効果を発揮する控除です。

しかし、その代わりに扶養控除や扶養手当を失って働き損になって、さらに親に怒られる可能性もあります。

そのため、勤労学生控除を使うというよりも、個人的には年収103万円以下におさえた方がいいのではないでしょうか。

特に最悪なのは、年収104万円とか105万円とかですね。

1~2万円増えたと思ったら、親は10万円以上、扶養手当までいれたら20万円近く損をするかもしれないわけです。

アルバイトをするときは、年間103万円を意識してがんばりましょう!

健康保険のワナにも気をつけろ!

悲劇4:130万円超で国民健康保険の対象も!?

税金だけの話であれば悲劇3までで良かったのですが、実はもう1つ、落とし穴があります。

それが、健康保険です。

学生さんの多くは親の健康保険で扶養になっているので、自分で健康保険の保険料を負担することはまずないでしょう。

病院にいって健康保険証を出しますが、あれは親が健康保険料を払っているので、医療費の3割負担ですんでいるのです。

しかし、稼ぎ過ぎてこれからの年収見込みが年収130万円を超えると親の扶養から外れて「自分」で国民健康保険を負担するというものです。

これがいわゆる130万円の壁です。

※平成28年10月からの106万円の壁は、「学生」は対象外。

ちなみに、税金は1月から12月までで103万円以下かどうか「過去」で判断しますが、社会保険はこれから103万円を超えて稼ぐのかどうかという「未来」で判断します。

ただ、未来といっても判断しづらいので、親が会社員の場合、健康保険を取り扱っている健康保険組合などでは、多くの場合、「3か月連続で月収108,333円超」でアウトなど、ローカルルールを設けています。

10万円ちょっと稼いでいると危ないわけですね。

このローカルルールは、それぞれ健康保険組合などで異なります。

そのため、私にご質問いただいても「私はわからないので確認してください」と答えるしかありません。

例えば、「3か月『平均』で月収108,333円超」でアウトとか、「1か月でも超えたらアウト」の場合もあります。

今まで聞いた中で1番すごかったのは、「年収60万円の見込みでアウト」というものでした。103万円以下って本気!?

特に親が「公務員」の場合は、厳しい条件のこともあるので要注意です。

繰り返しになりますが、ローカルルールなので、親の健康保険組合などに条件を確認しましょう。

さて、自分で国民健康保険を負担すると、どれくらいになるんだ?ということですが、例えば、140万円(65万円を引いた後の基準となる所得は75万円)の場合、ざっくり計算すると7万6千円くらいの負担増になるようです(各市町村で率が異なるため、目安です)。

出典「税金,社保計算&各種控除の減税効果確認ツール by 税理士試験と税務のメモ

最後に

それぞれの金額ごとにまとめます。

年収130万円超

  1. 勤労学生控除を使っても「自分の税金」が発生する。
  2. 親は扶養控除を使えなくて「親の税金」が増える。
  3. 「親の手当」がもらえなくなる可能性がある。
  4. 「自分が国民健康保険を負担」しなければならなくなる可能性がある。

最悪ですね。

年収103万円超130万円以下

  1. 親は扶養控除を使えなくて「親の税金」が増える。
  2. 「親の手当」がもらえなくなる可能性がある。

「親」の税金と手当に要注意です。

年収103万円以下

基本的に影響なし(健康保険で変なローカルルールがなければ)。

奨学金の返済も大変かもしれませんが、学生時代は稼ぎすぎると落とし穴がいっぱいあります。

税金では、103万円の壁(親の扶養控除がなくならないように)を意識しましょう。

健康保険では、親の健康保険組合などで扶養の条件がどうなっているかを確認した上で、働くのがよいでしょう。

そして、最後に余計なことを言いますが、大学時代に稼げるお金はその後の社会人になってからに比べたら、大したことはありません。

一方で、社会人になったらなくなるもの、それは「時間」です。

大学時代に「時間」を有効活用してください。

私は大学時代に本を4000冊読んで、そのときからブログを書いてます。

どんな使い方がいいのかはわかりません。

それも含めて、良い大学生活を送ってください!

大学時代になぜ4000冊の本を読むことにしたのか?

それは、私が1冊の本に出会ったからです。

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