住宅を検討しているけど、本当に住宅ローンを3,000万円も借りていいのか、不安な方も多いですよね。
これは、「3,000万円借りられるか」どうかではなくて、「実際に3,000万円を返済できるのか」という不安です。
なぜ不安なのかと言えば、お化けと同じで、「なんかよくわからないもの」は怖いのです。
現実を見るために重要なのは、「数字」をちゃんと見ることです。
私も一戸建てを建てました。
だから、これから夢のマイホームを何とかして手に入れたい方を応援したくて書きました。
この記事では、3,000万円の住宅ローンを借りた時に、本当の負担はどうなるかをシミュレーションしたものとなっています。
住宅ローンの返済だけではありませんよ。
それは本当の負担ではありません。
団体信用保険料、固定資産税、修繕積立金(メンテンス費用)などを考慮して、毎月の本当の負担を計算するのです。
この記事では、「自分」でも「簡単」にシミュレーションができるように、具体的なシミュレーション方法や目安もあわせてお伝えします。
1つでも、参考になることがあればうれしいです^^
※2017年3月適用金利で記事を更新しています。
もくじ
毎月の本当の負担を計算してみよう!
現在、住んでいるマンション・アパートの家賃と比べて、負担にたえられるか考えてみましょう。
今回のシミュレーションは、次の前提で行っています。
【前提条件】
(1)基本情報
夫:田中一郎 30歳。年収600万円
妻:田中花子 30歳。専業主婦
子:田中太郎 6歳。来年から小学生
(2)家・土地の条件
家の購入金額:2,000万円
土地の購入金額:1,000万円
その他諸経費:今回は頭金から払ったものとして計算には反映していません。
新居のある住所:愛知県某市
(3)住宅ローンの条件
借入額:3,000万円
種類:全期間固定金利(フラット35S)
融資率:9割以下
借入期間:35年間
夫婦連帯債務:なし(夫単独で借入れ)
当然、あなたの状況と完全に一致することはないと思いますが、各項目でシミュレーションのツールを用意しているので、自分と家族にとって異なる部分は、変えてみてください
※「変動金利」を選択する場合であっても、必ず比較のために全期間固定金利で一度計算してみてください。なぜなら、全期間固定金利が「上限」の目安になるからです。
STEP1 住宅ローンの総返済額の計算
まずは住宅ローンを3,000万円借りた時に、利子と合わせていくらになるか計算してみましょう。
今回は、フラット35を利用するので、次の公式サイトを利用しています。
ツール 【フラット35】借入希望金額から返済額を計算
2017年3月のフラット35Sの融資率9割以下(21年以上)の適用金利を今回は例にします。
フラット35の金利は1.120%~1.670%で、1番低い金利を参考にします。
適用金利を「1.120」%として、「【フラット35】Sを利用」にチェックを入れると、勝手に当初10年間の▲0.3%引下げ後の金利=0.82%が自動的に出てきます。
住宅ローンを3,000万円借りて、当初10年間が0.82%、11年目以降が1.12%で計算すると、当初10年間は8.3万円。
11年目以降は8.6万円となります。
そして、総返済額は、3,543万円です。
3,000万円を借りると、35年間で543万円の利子を払うことになります。
けっこうな金額ですが、これでも低金利のおかげで低い方です。
【住宅ローンのみ】
1年目 83,000円/月
11年目 86,000円/月
STEP2 団体信用保険料の計算
さて、フラット35を借りる時に注意しなければならないのは、フラット35には団体信用保険料が含まれていないという点です。
団体信用保険料は、自分に万が一のことがあったときのためにかけておく生命保険です。
保険金で、「住宅ローンの残債(残った金額)」を返済するためにかけます。
こちらも35年借りたら、35年間保険料を支払うのが一般的なので、返済金額に含めて考えておく必要があります。
ツール 【住宅金融支援機構】機構団信特約料シミュレーション
住宅ローンの返済に合わせて団体信用保険料を設定するので、例えば、次のように入力します。
3大疾病補償がついている保険もありますが、今回は「なし」にしました。
また、今回は田中一郎さん1人が住宅ローンを借りる予定なので、「デュエット(夫婦連生団信)」も「なし」にしています。
※3大疾病補償をつけたり、2人で借りるときは、それぞれ「あり」にチェックしてください。
計算結果は、35年間で合計202万円です。
団信は、住宅ローンの残高に応じて保険料が減っていくため、1年目は約10万円ですが、だんだん減少して最後には2千円になっています。
・・・ただし、実は、団体信用保険料というのは、20代から30代前半の人にとっては非常に「損」な保険です。
なぜかというと、年齢や健康状態に関係なく、住宅ローンの借入額・金利などで保険料が決まってしまいます。
若い人ほど本当は有利な条件で加入できるのに、中高年の人と一緒にごちゃまぜにされて保険料を計算されているからです。
そのため、民間の生命保険も検討するようにしましょう。
なお、今回はシミュレーションなので、団信の結果を利用します。
これが上限の目安になるからです。
団信の1年目は年107,300円(≒月9,000円)、11年目は80,000円(≒月6,700円)なので、住宅ローンの支払額に加算すると次のようになります。
【住宅ローン+保険】
1年目 92,000円/月
11年目 92,700円/月
STEP3 固定資産税の計算
住宅ローンの返済金額と保険料だけで、今住んでいるマンションやアパートの家賃と比較していないでしょうか?
マンションやアパートの場合、借りている側なので、固定資産税を自分が直接払うことはありません。
大家さんが負担していて、ふつうは家賃を決める時に固定資産税分も上乗せしています。
したがって、土地と建物に対する固定資産税も考えなければ、意味がありません。
固定資産税がいつ、いくらかかるのかについて詳しく知りたい方は、「固定資産税はいつ払う、いくらぐらいかかる?nanacoとクレジットカードで払おう!」をぜひお読みいただければと思いますが、さて、3,000万円の家の場合はどうでしょうか。
前提条件から、家の部分が2,000万円、土地の部分が1,000万円となっています。
ここでは、次のサイトでシミュレーションをしてみました。
ツール 【東建コーポレーション】 固定資産税・都市計画税の計算
入力する際にポイントとなるのは、「固定資産税評価率」で、これをどうするかで変わります。
しかし、あくまで今回は目安なので、それほど厳密に計算しても難しくなるだけです。
土地については下の「※1」に、「70%~100%で入力して下さい。一般的に大都市では評価率が低くなります。」とあるので、今回は「70%」としました。
保守的に100%としてもよいでしょう。
また、建物については「※2」に「建物が木造なら50%、鉄骨造なら60%、RC造なら70%を目安として下さい。」とあるので、木造として「50%」にしました。
計算結果では、3年目まで建物の減額特例がある場合になっています。
土地の固定資産税や、土地・建物の都市計画税には特例はありません。
結果として、固定資産税と都市計画税を合わせると、
【当初3年間】
年123,333円(月10,277円)
⇒1万円/月
【4年目以降】
年193,333円(月16,111円)
⇒1万6千円/月
となります。
・・・建物はどんどん価値が下がっていくので、4年目以降が固定されるのは本来おかしいのですが、細かく考えると複雑になるので、1万6千円/月のままとします。
さあ、この金額も加算しましょう。
3年目までと4年目以降とで変わるので、3つに分けます。
【住宅ローン+保険+税金】
1年目 102,00円/月
4年目 108,000円/月
11年目 108,700円/月
関連 固定資産税はいつ払う、いくらぐらいかかる?nanacoとクレジットカードで払おう!
STEP4 修繕積立金の計算
マンションに住んでいる方は、毎月の家賃と一緒に修繕積立金を払っていますよね。
これは、将来の大規模修繕に備えて積み立てておくものです。
マンションの場合は、このような積立てを利用しますが、一戸建ての場合も、同様に必要です。
しかも、自分で積み立てて10年後や20年後に修繕をしなければなりません。
おおよその目安として、10年間で100万円用意する、というのが一般的です。
35年間なら350万円です。
ただ、これからは消費税の増税や修繕費用の上昇など、何があるかわからないので、個人的には、月1万円(10年間で120万円)の修繕積立をおすすめしています。
修繕積立1万円も加算しましょう。
【住宅ローン+保険料+税金+修繕】
1年目 112,00円/月
4年目 118,000円/月
11年目 118,700円/月
STEP5 あと月1万円の追加
ええっ~!
まだあるの~と思うでしょうが、もうちょっとがんばりましょう。
その他にも増えるものがあります。
- 地震保険料
- 電気代
- ガス代
- 水道料金
我が家も水道光熱費が増えました。
また、それ以外にも、会社が遠くなって車での移動が増えるようになれば、ガソリン代が増えることもあるでしょう。
といっても、あくまでシミュレーションで、正直、これから何が増えるかなんてバラバラだと思いますので、月1万円追加しておきましょう。
家の購入をきっかけに、車をもう1台増やすなど、もっと増えると思う方は、月2~3万円でもOKです。
【住宅ローン+保険料+税金+修繕+α】
1年目 122,00円/月
4年目 128,000円/月
11年目 128,700円/月
STEP6 マンション・アパートの家賃と比較してみよう!
さて、お疲れ様でした。
1つ目のシミュレーションの計算はここまでです。
【住宅ローン+保険料+税金+修繕+α】
1年目 122,00円/月
4年目 128,000円/月
11年目 128,700円/月
現在、マンションやアパートに住んでいる方は、実際に払っている家賃(+駐車場代+修繕積立金)と比較してみましょう。
ハウスメーカーの広告の中には、単に住宅ローンのみの金額しか出さないで、今の家賃と同じですよ!と言っているところがあります。
【住宅ローンのみ】
1年目 83,000円/月
11年目 86,000円/月
しかし、既にみてきたように、この金額は、決して現実的ではありません。
例えば、現在のマンションの家賃(駐車場代、修繕積立金を含む)が8万円の人は、「今の家賃並みで買えますよ」というセールストークに引っかかってしまうかもしれませんが、ちゃんとこっちと比較してくださいね。
【住宅ローン+保険料+税金+修繕+α】
1年目 122,00円/月
4年目 128,000円/月
11年目 128,700円/月
こうして比較すると、大体、住宅ローンの月々の返済額に3~4万円くらいを足したイメージになるかと思います。
どうです?
35年間、やっていけそうですか?
現在の家賃が11万円の方はそれほど変わらないですが、家賃が8万円の方にとってはけっこう厳しいと思いませんか?
(参考)住宅ローン控除とすまい給付金は?
さて、今まで増える一方でしたが、減る話もあります。
それが住宅ローンを借りているときに使える節税策の住宅ローン控除です。
ざっくり言うと、毎年の住宅ローンの年末残高の1%だけ税金が安くなります。
また、税金から引ききれない分は、すまい給付金として現金がもらえる制度もあります。
・・・ただし、資金計画を考えるときには、住宅ローン控除やすまい給付金をあてにしないことをオススメします。
つまり、ないものとして毎月の支払額を計算しましょう。
なぜなら、実際に家を購入すると、住宅ローン控除の減税分は所得税の場合、3月から4月に還付されるため、4~6月の固定資産税の支払いに使われることが多いからです。
当初は固定資産税を払うときも、住宅ローン控除の還付金があるから大丈夫、と思っているのですが、4年目になると固定資産税の負担は重くなり(建物の半減特例がなくなるため)、11年目から住宅ローン控除が終了し、地獄を見る人がけっこういます。
この間に生活レベルを上げてしまう(維持してしまう)からかもしれません。
だからこそ、最初から考えないでおきましょう。
住宅ローン控除の還付金やすまい給付金は、もらえてラッキーなものというくらいにしておいて、別途、貯金しておくことをおススメします。
最後に
いかがでしたでしょうか。
単に「借りられる」から借りるのではなく、「我が家はどのようにお金を使うのがよいのか」を1番はじめに考えないといけないのです。
3000万円を借りるということは、今よりもどのように生活が変わるのか、リアルな金額を出してみましょう。
我が家では、私が年収600万円のときに、妻と収入合算(世帯年収900万円)して、4,500万円の住宅ローンを借りました。
正直、借り過ぎだと思います。
当時の金利では、総返済額は6,000万円。
実に1,500万円が利息でした!
・・・その代わりに、「お金」については徹底的に勉強しました。
このブログのタイトルには「書庫のある家」とあるように、我が家は「書庫のある家」を手に入れるために注文住宅で家を建てました。
それを実現するためにやったこと、やっていることをこのブログではどんどん書いていきたいと思っています。