昭和62年の公開映画で、当時流行ったのが『マルサの女』で、私はまだ小さいときに見たのですが、強烈な印象を受けたシーンがありました。
よくお金持ちの考え方として紹介されます。
「あんた、今、ポタポタ落ちてくる水の下にコップを置いて、水、貯めてるとするわね。あんた、のどが渇いたからってまだ半分しか溜まっていないのに飲んじゃうだろ? これ、最低だね」
「なみなみいっぱいになるのを待って・・・それでも飲んじゃだめだよ。いっぱいになって・・・あふれて・・・垂れてくるやつ・・・これを舐めて。我慢するの」
「コップの水」にお金の世界が反映されています。
私はマルサ(国税査察官)そのものよりも、このお金の考え方が非常に気になりました。
そして、まさにここに、年収がアップしても、お金の悩みは解決しないし、お金持ちになれない理由が隠されていることに、何年か前に気づきました。
もくじ
溜まったコップの水を「飲んで」いませんか?
例えば、空から雨が降ってきたとしましょう。
水がほしいので、コップを手にもって、雨水を溜めます。
そして、雨水が溜まったらどうするのでしょう?
・・・多くの人は、その水を飲みます。
そしてコップは空っぽになり、また雨が降るのを待ちます。
年収が増えたら、どうなるでしょうか?
少しずつ、生活レベルが上がっていきます。
コップに水が溜まったら、自ら飲むように、年収が増えても増えた分だけ自分と家族で使ってしまうのです。
・・・しかし、お金持ちになる人は、全く別の考え方をします。
映画『マルサの女』に出てきたセリフは、「コップからあふれて垂れてきた水を舐めて」我慢するわけですが、では、コップの中の水そのものはどうするのでしょうか?
お金持ちになる人は「水でコップ」を買う。
お金持ちになりたければ、溜まった水を自分で飲んではいけません。
その水を「他に水が欲しい人に売る」のです。
そして、売ったお金で「もう1つのコップ」を買うのです。
これで、コップが2つになりました。
次の雨が降ったときに、2つのコップに水が溜まります。
そしてこのコップをどんどん増やしていったり、もっと大きなバケツやタライに変えていきます。
これがお金持ちになる人の発想です。
とてもシンプルなことですが、実際にこれができている人はほとんどいません。
毎日働いて、お金を貯めたとしても、自分や家族のために使ってしまって、お金がさらにお金を生み出すことはありません。
年収が増えても増えた分だけ使ってしまうのですから、貯まりようがありません。
これでは、いつまで経ってもお金持ちにはなれません。
年収1000万円で貯金が0円です、という人がいることを聞くと、びっくりするかもしれませんが、年収が高い方といって、お金があるとは限らないのです。
「新しいパソコン」を買うのも投資
お金がさらにお金を生み出すこと、と言ってしまうと、不動産投資でもすればいいのか、と金額が大きい話になってしまうかもしれません。
あるいは、株式投資や投資信託でもすればいいの?と思うところです。
私もそういうのが投資だと思っていました。
・・・しかし実際には、投資というのはいろいろな形があります。
例えば、稼いだお金で新しいパソコンを買うのも立派な投資です。
最近は、スマートフォンがあるのでパソコンを持っていないという方もいるかもしれません。
ところが、スマートフォンというのは、「消費」に適したツールですが、「生産」するには向いていません。
文章を書くにしても、フリック入力のスピードがどれだけ早くても、パソコンのタイピングのスピードには勝てないでしょうし、マウスのように細かい動きもできません。
もしインターネットを使ってビジネスをするのであれば、パソコンは必須です。
パソコンを買って使わないとか、オンラインゲームをするのであれば、それは単なる浪費か消費ですが、パソコンを使ってお金を稼ぐことができたとすれば、最初に稼いだお金はパソコンという形で「再投資」されたことになります。
これもまた、お金がさらにお金を生み出すことです。
「投資」の本当の意味を理解していますか?
例えば、銀行に10万円を預けておけば、ひとまず元本割れもすることはありませんが、利子なんて0.001%まで下がってしまいましたら、無視してもいいくらいの金額です。
私が考える「投資」とは、お金に働いてもらうことによって、お金を稼ぐことを言います。
しかし、銀行に預けても、お金は全く働くことができず、お金を稼いで帰ってくることはまずありません。
人間に例えるなら、正直、「営業に行ってきます」と言っておきながら、喫茶店でぼけ~っと座ってサボっているくらい、貢献していなかったりします。
それくらい、お金に働いてもらうことが期待できないわけです。
お金を人間だと思ったら、あなたのお金はどこでどうやって働くのが適材適所でしょうか?
先ほどのパソコンを買うことで、お金は姿を変え、そのパソコンがお金を稼ぐ強力なツールになりましたが、これも立派な投資であり、お金を上手く使ったことになります。
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「お金の使い方」を知らなければお金持ちにはなれない。
なぜ年収が増えてもお金持ちになれないのか?
それは、「お金の使い方」を知らないからです。
コップに水が溜まっても自分で飲んでいるようでは、また水を溜め続けなければなりません。
例え年収が1000万円だとしても、毎年1000万円稼ぎ続けなければならない点は、変わりません。
世間的には年収が高いですが、いつまで経ってもお金に振り回される人生に変わりはありません。
そのことに気づいてから、私は自分にとっての「お金の使い方」を研究するようになりました。