永遠のテーマともいわれる「賃貸」と「持ち家」の比較ですが、そもそも賃貸と持ち家自体を比較対象にしていいのか、という疑問もあるところです。
ただ、この2つはよく比較されて、実際に、家を買うときに悩むことなのですが、結論から言えば、「お金のこと」で比較してはダメです。
お金のことばかり考える限り、この究極の質問に答えは出ません。
よく、セールストークで、「家賃を払っていても自分のものになりませんが、持ち家なら最後は自分のものになってトクしますよ」なんて言われることもありますが、これぞまさに典型的な「お金基準」です。
つまり、「損得」で考える限り、あとから「こんなはずじゃなかった」となりかねません。
もくじ
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私たちは「おトク」だから買うのではない。
これは私の節約スタイルですが、小さな買い物も、大きな買い物も、共通しているのは、おトクだから買うのではなく、「ほしい」から買うのです。
おトクというのは「お金基準」です。
1,000円のものが500円で買えたら、500円おトクだと言われますよね。
・・・だから?
安くてよかったですね。
ところでそれは、本当にあなたがほしいものだったのでしょうか?
目の前でお惣菜(そうざい)のタイムセールをやっていて、半額のシールがはられていくのを見ると、なんだかお買い得な気がしてきますね。
さて、今日はそもそもそれが食べたかったのでしょうか?
安くなったから買いたいと思ったとしたら、あとで「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性があります。
なぜ後悔するのでしょうか?
おトクだったのに。
それは、「お金基準」で選んでしまって、「自分基準」で選んだものではないからです。
家にしても、なぜ買うのでしょうか?
現在のマンションの家賃を払い続けるのと比べて、おトクだから買うのでしょうか?
ローンを払い終わったら自分のものになって、おトクだから買うのでしょうか?
超低金利で今が買い時で、おトクだから買うのでしょうか?
・・・おかしいですよね。
あくまで、「家がほしい」という動機が先にあって、ほしいのであれば、その上でおトクかどうかを考えるべきなのです。
決して、
家の値段が安くておトク買うわけではありません。
家を買った方が最終的に資産になっておトクだから買うわけでもありません。
住宅ローンを組みやすくてオトクだから買うわけでもありません。
自分と家族がほしいから買うのです。
賃貸と持ち家、どっちがおトクという質問は、自分が選択することによって経済的に損をしたくない、という心理があります。
しかし、経済的に損をするかどうかなんてことは、実は、「あること」に比べたら、どうでもいいことです。
それが、「自分基準」で選ぶということです。
それを選べば自分の人生が豊かになると分かっているのに、選ばないというのが、1番の損です。
賃貸か持ち家かの議論は、もちろん、損得があります。
しかしそれは、「2番目」以降の話です。
ここを間違えてしまうと、後から「なんで買ってしまったんだろう」と残念な結果になる可能性もあります。
それは、経済的な損失よりも大きいですし、結果的にまた選択し直すことで、余計に経済的な損失を生むこともあります。
「庭付き一戸建て」に住む方法は持ち家だけではない。
例えば、「庭付き一戸建て」に住みたいと思ったとしましょう。
これは「自分基準」で出した答えです。
いいですね!
さて、では、「持ち家」を検討しよう・・・でいいのでしょうか?
単に「庭付き一戸建て」に住むたいということであれば、「賃貸」でもいいわけですよね。
なんで借りたらダメなんですか?
例えば、転勤の多い職業についているのであれば、「賃貸」にした方がいいかもしれません。
私の父親は3年に1回転勤していたので、持ち家という発想がそもそもありませんでした。
しかし、転勤を命じている会社の補助を受けながら一戸建てを借りたので、おそらく一戸建てを購入するよりも半額近い値段で一戸建てに住むことができたと思います。
もちろん、壁に穴をあけてはいけないとかいろいろ母親から言われましたが、そんなの工夫すればなんとでもなります(最近は穴をあけなくても壁掛けができる便利グッズとかもあります)。
一方、持ち家にこだわる理由は何でしょうか?
一国一城の主になりたいから?
なるほど。
住宅ローンを組むことで自分を追いつめて仕事でがんばりたいから?
なるほど。
持ち家はなんとなくカッコいいから?
なるほど。
両親や親戚から持ち家がいいと言われたから?
なるほど。
・・・それって、自分基準ですか?
もし、他人がこういうことを言ったから持ち家がいいと思っているのであれば、後悔するのは自分です。
自分で間違えることよりも、判断基準を他人任せにしてしまっていた方が、後悔の度合いは高かったりします。
「書庫のある家」を建てた理由
さて、私というか、我が家の場合は、書庫のある家がほしくて、持ち家を購入どころか注文住宅にすることにしました。
「書庫のある家」がほしかったのですが、建売ではどこにも売ってなかったからです。
じゃあ、作るしかない、ということで、持ち家(注文住宅)となりました。
正直なところ、賃貸よりも持ち家(購入)よりも高いです。
比較しようがありません。
だからお金に関しては、できる限りの工夫をしました。
例えば、
〇妻の給料はすべて頭金用に貯金して4年間で1,000万円貯めました
〇固定費の支払い方を徹底的に見直しました
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〇住宅ローンの金利を低くするように徹底的に比較しました
〇生命保険・医療保険を見直しました
〇団信の代わりに収入保障保険に加入しました
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〇火災保険を徹底的に比較して、加入方法を工夫しました
〇両親から住宅取得資金の贈与を受けて、贈与税がかからないように非課税のための確定申告をしました
〇住宅ローン控除が効果的に受けられるように夫婦連帯債務にして持ち分を工夫しました
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〇固定資産税はnanacoで支払ってポイントを貯めています
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といったことを実践しました。
このブログは家計管理・節約がテーマだと思っている方もいるかもしれませんが、それは少し違います。
我が家が「書庫のある家」を手に入れるために行ったことを書いているだけです。
そもそも注文住宅を建てている時点で節約なの?という声をいただいたことがありましたが、ここまでお読みいただければ、その事情はお分かりいただけるかと思います。
単なる「一戸建て」がほしければ、注文住宅ではなく、持ち家(購入)でもいいわけです。
単に「一戸建て」に住みたければ、賃貸でもいいわけです。
でも、自分たちがほしいものを考えた結果、たどり着いたのは、注文住宅でした。
これが第1順位です。
それを手に入れるために、私が工夫した結果が、このスタイルです。
お金のことは、第2順位です。
大事なのは、賃貸か持ち家かという「手段」ではなく、どんな家に住みたいかという「目的」です。
どれだけ「手段」が優れていても、「目的」がなければ思った結果は得られません。
賃貸と持ち家、どっちがおトク?に対する私の答え
私の答えは、「おトクの前に自分と家族が大事にしているものは何かを明確にせよ」です。
その上で、それが実現できる現実的な方法を考える必要があります。
その逆をしてはいけません。
どんなにお買い得な家があっても、ほしくない家は、絶対に買ってはいけません。
老後は持ち家があった方が家賃の支払いがないから楽だとしても、そのために持ち家を買って、苦しい節約をして、手元資金を減らして繰上返済をするなんて、おかしくありませんか?
老後に得するために今を犠牲にする必要は全くありません。
「おトクかなんてどうでもいいから、自分と家族が大事にしているものは何かを明確にせよ」というわけです。
繰り返しますが、お金は2番目以降にちゃんと考えます。
考えなくていいわけではありません。
でも、最優先は「自分基準」です。
それが決まったら、次に、お金の問題をクリアするために工夫しましょう。
節約に関する本には「あなたの希望」は書かれていない!
例えば、ある節約に関する本では、
50歳までお金を貯めて、子どもの手が離れてからキャッシュで家を買うのが1番おトク!
と書かれてていました。
確かに、間取りは子どもがいない分、減らすことができますし、なにより住宅ローンの利息を払う必要がありません。
しかし、「我が家」は全くこの意見には賛成できませんでした。
我が家では、50歳まで待てないので、30歳で家を買いました。
それが自分基準の結果です。
借金が嫌いな人は多いですが、20年間をショートカットするために、住宅ローンがあるわけです。
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大体、50歳になる前に何かあって自分が死んだら、終わりですけどね・・・。
おトクなのは、前提条件が整ったときだけです。
50歳まで生きていて初めて結果がわかります。
でも、それって、その20年間、自分が満足していない気持ちはお金では測れませんよ?
・・・以上が、私の答えです。
最後に、私からあなたに質問です。
あなたと家族が大事にしているものは、何ですか?
それは、あなたが今読んでいる節約の本には書かれていません。
節約は「手段」です。
「手段のための人生」を生きるのは、もうやめましょう。