2018/09/125 Shares

親の年金から天引きされる介護保険料や後期高齢者医療保険料は社会保険料控除の対象外

親の「公的年金の源泉徴収票」を見ると、介護保険料、後期高齢者医療保険料・国民健康保険料が控除されている場合があります。

もしかして、親を扶養しているから「自分」の確定申告や年末調整で社会保険料控除をすることができるのでは?と思うかもしれませんが、残念ながら親の年金から天引きされる社会保険料は控除できません

親の社会保険料

【親の年金から天引きされる社会保険料の取扱い】

  • 「親自身」が払っているので社会保険料控除の対象に
  • 「自分」は社会保険料控除できない

ただし、納付書による支払いや口座振替の場合には、親の代わりに「自分」が支払えば対象にすることも可能となります。

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年金から天引きされる社会保険料

年金から天引きされる社会保険料としては、

  • 介護保険料
  • 国民健康保険料(税)
  • 後期高齢者医療保険料

があります。

なお、すべてが天引きされるわけではなく、条件があります。

(1) 介護保険料

65歳以上の年金受給者で年間の支給額が18万円以上

(2) 国民健康保険料(税)

65歳以上75歳未満の年金受給者している方であって、年間の支給額が18万円以上

(3) 後期高齢者医療保険料

75歳以上の年金受給者または65歳以上75歳未満で後期高齢者医療保険制度に該当する年金受給者のうち、年間の支給額が18万円以上

※(2)と(3)は介護保険料が天引きされていることが前提条件となります。

参考:年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を天引きされるのはどのような人ですか。|日本年金機構

今のところ年金の支給額が18万円以上の方が多いので、年金から天引きになることが多いと思われます。

なお、市町村によって異なりますが、一定の場合には自分で納付する「普通徴収」になる場合もあるので各市町村での取り扱いをご確認ください。

このほか「住民税」が年金から天引きされる場合もありますが、住民税は控除の対象にはそもそもなりません。




親の年金から天引きされる社会保険料は対象外!

社会保険料控除のルールは、「支払った人」が控除するというものです。

逆に言えば、「支払っていない人」は控除できません。

そして、年金から天引きされるということは、「年金をもらう人」が払っていることになります。

したがって、「親自身」が社会保険料控除をすることになります。

後期高齢者医療保険料については、国税庁のタックスアンサーで次のように公式見解が示されています。

なお、「特別徴収」とは「天引き」のことです。

後期高齢者医療制度の保険料に係る社会保険料控除
Q6

後期高齢者医療制度の保険料を、年金から特別徴収された場合と口座振替により支払った場合で、社会保険料控除の取扱いはどのようになりますか。

A6

社会保険料控除については、居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った者に社会保険料控除が適用されることになります。

平成20年4月から実施されている後期高齢者医療制度では、原則として、その保険料が年金から特別徴収の方法により徴収されています。この場合、その保険料を支払った者は年金の受給者自身であるため、その年金の受給者に社会保険料控除が適用されます。

(以下省略)

出典:No.1130 社会保険料控除|所得税|国税庁

介護保険料についても「扶養している妻」の例ですが、扶養している親の場合も同様です。

妻の公的年金から特別徴収される介護保険料などの社会保険料

Q5

扶養している私の妻の公的年金から介護保険料が特別徴収されている場合、私の社会保険料に加えて妻の介護保険料についても私が社会保険料控除の適用を受けることができますか。

A5

介護保険料などの社会保険料が、あなたの妻の公的年金から特別徴収されている場合、その社会保険料を支払ったのは妻になります。したがって、あなたが支払った社会保険料ではありませんから、あなたの社会保険料控除の対象にはなりません。

出典:No.1130 社会保険料控除|所得税|国税庁

このように、年金から天引きされる社会保険料については、天引きされた本人しか社会保険料控除ができないということになります。




納付書による支払いや口座振替を親の代わりにする場合

例えば、名古屋市(保険料の納付方法)では後期高齢者医療保険料について「75歳になった方や県外から転入した方など、新たに被保険者となった方は、特別徴収が開始されるまでに半年ほどかかりますので、それまでは普通徴収となります。」とあり、年金から天引きされない場合もあります。

普通徴収とは、「納付書による支払い」や「口座振替」で保険料を納めることです。

先ほどの国税庁のタックスアンサーでは、「口座振替」の場合について次のように書かれています。

後期高齢者医療制度の保険料に係る社会保険料控除

Q6

後期高齢者医療制度の保険料を、年金から特別徴収された場合と口座振替により支払った場合で、社会保険料控除の取扱いはどのようになりますか。

A6

(省略)

平成21年4月以降の保険料については、市区町村等へ一定の手続を行うことにより、年金からの特別徴収に代えて、口座振替により保険料を支払うことが選択できることとされました。この場合には、口座振替によりその保険料を支払った方(被保険者又は被保険者と生計を一にする配偶者その他の親族に限ります。)に社会保険料控除が適用されます。

出典:No.1130 社会保険料控除|所得税|国税庁

親自身ではなく「自分の口座」で口座振替をすれば、「自分」の確定申告や年末調整で社会保険料控除が可能となります。

ただし、親本人の税金の計算上、自分が払った部分については社会保険料控除ができなくなるので、それによる影響もトータルで考えないと本当に有利かどうかはわかりません。




(参考)平成29年度税制改正で変更は見送り

実はこの制度、平成28年度税制改正で「おかしいんじゃないの?」という疑問が出ていました。

介護保険料等に係る社会保険料控除の見直しに向けた検討

公的年金から天引きされる介護保険料については、その年金の受給者と生計を一にする納税者において社会保険料控除の適用を受けられず、その年金受給者の所得金額が小さいと誰の所得からも控除できないとの問題が指摘されていることを踏まえ、納税者と生計を一にする配偶者・親族の負担すべき社会保険料に係る社会保険料控除については、以下のとおり見直しを行う方向で検討することとし、納税者への影響や執行可能性を見極めた上で、平成29 年度税制改正において結論を得る。

【現行】

自己と生計を一にする配偶者・親族の負担すべき社会保険料について、納税者が支払った場合に控除を受けられる。

【見直しの方向性】

自己と生計を一にする配偶者・親族の負担すべき社会保険料について、配偶者・親族の合計所得金額が基礎控除額(38 万円)以下である場合に、納税者において控除を受けられる。

(備考)配偶者・親族の合計所得金額が基礎控除額を超える場合には、配偶者・親族自身が控除を受けることとなる。

しかし、与党の平成29年度税制改正大綱(16ページ)では、次のように改正は行わないという結論が出ました。

介護保険料等に係る社会保険料控除の見直しについては、世帯主が世帯員の分もまとめて納付することが一般的な国民年金保険料の納付等に影響が及ぶ可能性があることを踏まえ、介護保険制度の見直しにより対応が図られる見込みであることに鑑み、税制改正は行わないこととする。

介護保険制度で何らかの対応があるかもしれませんが、少なくとも親の年金から天引きされている限りは親自身が社会保険料控除をするという制度は変わらないようです。

まとめ

長々と書きましたが、「支払った人(天引きされた人)」で考えるということになります。

親の社会保険料

年金から天引きのケースが多いと思いますので、「親自身」でなければ社会保険料控除ができないということになります。

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