『ドラゴン桜』という阿部寛さん主演のドラマにもなった漫画があります。
経営破たん寸前の私立高校で、弁護士の主人公が経営を建て直すために自ら先生となり、生徒を東大に導くというストーリーです。
この第1巻の冒頭で、そもそもなぜ東大に行く必要があるのか、ということに対して、こんなセリフが出てきます。
いいか、お前ら・・・
社会にはルールがある。
その上で生きていかなくてはならない。
だがな・・・
社会のルールってのはすべて頭の良い奴が作っている。
つまりそれがどういうことか・・・
そのルールは頭の良い奴に都合のいいように作られてるんだ。
逆に都合の悪いところは分からないように隠してある。
それでも頭を働かせるやつはそこを見抜いてルールを上手に利用する。
例えば
携帯電話、
給与システム、
年金、
税金、
保険
・・・
みんな頭の良い奴がわざと分かりにくくして、
ロクに調べもしないやつから多く取ろうという仕組みにしている。
つまりお前らみたいに頭使わずに面倒くさがっていると、
一生だまされて高い金払わされるんだ。
この漫画は、東大に受験するノウハウももちろん魅力的でしたが、一貫して流れている考え方は、「自分の頭を使え」というメッセージです。
自分の頭を使わないのは非常に楽です。
そもそも頭を使わなくても今の日本では、生きていけます。
・・・しかし、実は、そのために払っているコストは、自分の頭を使ったときに比べていかに高いか、ということが、この漫画の本質的なメッセージです。
大事なのは、東大に行くことではありません。
自分の頭で考えて、社会のルールを利用するということです。
このブログは、「社会のルールを利用する方法」について私が実践していることを書いています。
もくじ
世の中は全然平等なんかじゃない!
1万円札の顔である福澤諭吉氏は、『学問のすすめ』の中で
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」
と書いています。
そのため、この本は「平等」について書いているものだと思っている方もいますが、世の中が平等なら学問いらないじゃん。
『学問のすすめ』を読めばすぐにそんなことを書いている本ではないことは分かります。
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり」
「と言えり」とあるように、そもそもこの言葉は「他人の言葉(考え方)」です。
福澤氏の考えではありません。
『学問のすすめ』をざっくり言うと、
「アメリカでは人は皆平等とか言っちゃってるみたいだけど、勉強しないと損するよ」
ということです。
そしてこの勉強は国語算数理科社会みたいな勉強ではなく、「実学」、つまり「社会生活に実際に役立つ学問」をしなさいと言っているのです。
参考:[慶應義塾豆百科] No.22 考証・天は人の上に人を造らず……
大事なのは「ノウハウ」よりも「ノウフー」の時代に
「でも、私はそんなに勉強するのが得意ではないし・・・」と思う方も多いかと思います。
実際に、こういうものはウソみたいに「わかりづらく」できています。
一応、制度を作る側を知っている立場から言うと、わかりやすい制度というのは、逆に不公平が生じるので、細かい調整をたくさんすることになります。
結果として、公平にしようとする細かいルールが、非常にわかりづらい制度を作っています。
もちろん理想はシンプルな制度ほど良いのですが、現実はそうはなっていません。
税金や保険、年金なんて、特にそうですね。
・・・しかし、だからといってそこであきらめたら試合終了です。
では、どうするか。
それは、「正しく知っている人を探す方法」を身につけるということです。
ビジネスの世界では、よく「ノウハウ(何を知っているか)」よりも「ノウフー(誰を知っているか)」という言葉が出てきます。
例えば、税金のことであれば、「節税方法」を経営者が知っているよりも、「節税方法に詳しい税理士」を知っていた方が重要です。
- ノウハウ(Know How):節税方法
- ノウフー(Know Who):節税方法に詳しい税理士
「先生、今年は利益がたくさん出るので、何か節税対策はありますか?」と聞けばいいのです。
自分で税金のことについて勉強していたら本業ができませんし、ムダです。
何でもかんでも自分でやる必要がないわけです。
なお、経営者ではなく個人のレベルでいえば、税金については税理士に頼まなくても税務署に聞けば無料でわかることはたくさんあります。
いずれにしても大事なのは、もしかしてこれって、何か得する制度がないだろうか、という問題意識を持つことです。
そのときに、「誰に聞けばいいか」を知っているかどうかです。
聞く相手は、誰でもいいわけではありません。
正しい知識をもっている人に聞かなければ、余計に混乱するだけです。
「ノウフー(Know Who)」ってどういうこと?
いくつか具体的に見てみましょう。
Siriはしゃべるwikipediaにすぎない。
以前iPhoneのCMでSiri(シリ)に話しかけるとなんでも望みのものを出してくれるものがありました。
確かに、wikipediaに載っている情報、明日の天気予報、乗換案内なんかは得意とするところでしょう。
しかし、社会のルールは、話しかけても簡単に答えは出てきません。
今後も音声認識で社会のルールを正しく取り出すことはできないでしょう。
なんでもかんでも情報が手に入りやすい時代というのは、逆に本当に手に入れたい情報が手に入らない時代のことです。
スマートフォンのアプリからプッシュ通知される情報は、自分の興味にカスタマイズされ、どんどん「狭い世界」で生きていくことになります。
面倒な社会のルールは、どんどん届かなくなります。
そして、インターネットの検索結果に表示されるよくわからない情報は、スパムメールと大差ありません。
求められるのは、その情報は、本当に自分にとって価値があるのか?という点です。
大事なのは、自分に関係があるかです。
まとめサイトという情報汚染
まとめサイト(キュレーションサイト)が流行(はや)ったのは、自分にとって関係のある正しい情報を見つけることが困難だからこそ、「誰か(=知識のある人が)まとめてよ~」という状態になったからかもしれません。
これは別にネットがなかった昔からあることです。
・・・しかし、残念なことに、インターネットという大海原の中で、まとめサイト自体は誰でも、そう、「何も知らない素人」でも投稿できることによって、マニアックなところまでいきわたる反面、内容のレベルがどんどん低くなっています。
知ったかぶりのコピペがいかに多いことでしょうか。
その結果、一次情報はさらに二次情報、三次情報と増殖し、余計な情報がますます増えてしまいました。
それどころか大量のお金を使って組織的に大量の質の低い情報をばらまくことも後を絶ちません。
まとめサイトという仕組みが悪いのではありません。
「誰」がまとめているかが問われる時代だということです。
国や役所の限界
あるいは、国や役所がわかりやすく教えてくれないのはけしからん!と怒っていても、あなたのことを考えてカスタマイズして情報を届けてくれるサービスはありません。
例えば、愛知県刈谷市に住むトヨタ自動車にお勤めのAさん(30歳)、妻で近所の建設会社で経理事務をしているBさん(29歳)と保育園児のCくん(3歳)に対して、最適なものはなんですか?ということを自動的に提供するのは無理です。
グノシーなどのニュースサイトはそんな機能を持っていません。
あくまで連想ゲームの範囲程度です。
人工知能が発達して、ビックデータを利用することで、すべてのパターンを網羅すれば実現可能かもしれませんが、まだまだこれからでしょう。
あなたは「会社」を使い切っていますか?
そうそう。
勤め先の会社だって、社会のルールがたくさんあります。
まあ、会社のルールというべきかもしれませんが。
例えば、会社にある福利厚生制度のうち、自分が使えるものはすべて利用していますか?
トヨタ自動車など、上場企業の福利厚生制度は、国の社会保障制度に匹敵するぐらい手厚いです。
生命保険だって、会社の団体保険の方が有利ではないですか?
どんな条件で各種手当が出るか、知っていますか?
健康保険でどうすれば扶養になれるか、知ってますか?
入社当時にちょっと説明を受けただけで、あとは社内規程として飾りになっているかもしれませんが、そこは少し掘れば宝の山です。
就業規則は全部読みましたか?
どうすれば休みが取れるか知ってますか?
副業規定はありますか?
本当に副業をしてはいけないのですか?
でも、これも知識として知っていなくても、「社内で実際に利用した経験者(上司や先輩・同期)」に聞けばすむ話です。
具体的にどう行動すればいいのか?
社会のルールを利用するといったときに、簡単にできることで、私が考えるのは、次の3つです。
1.本を活用する
最低限の知識はあった方がいいと思います。
そういう意味では、ノウハウ(Know How)もノウフー(Know Who)も両方大事です。
ただ、いきなりノウハウをゼロから勉強するには、世の中には情報があふれすぎています。
そのため、ノウハウが欲しければ、まずはネットで情報収集するよりも、「本」を読むことをおすすめします。
著者がハッキリしていて、誰(=専門家)が書いているのかがわかります。
編集されているので複数の人の目を通っています。
そこに価値があります。
また、本は苦手、という方は、雑誌でもいいです。
コンビニに行けば「ムック」と呼ばれる1,000円以下で非常にわかりやすい本がたくさん並んでいます。
社会やお金のルールについて書かれた本も多いです。
そして、図解や写真入りで情報が整理されているものが多いです。
ネットで調べたら確かに無料です。
しかし、これだけの整理された質の高い情報を集めようと思ったら、時間がかかりすぎます。
そして、予備知識があれば、情報が正しいか判断するときに役に立ちますし、その人が正しい知識を持っているかを確認するときも使えます。
2.市役所を活用する
故・松本清氏(ドラッグストア「マツモトキヨシ」の創業者)が千葉県松戸市の市長だったとき、市役所は「市民に役立つ所」・「市民にとって役に立つ人がいる所」をモットーに、「すぐやる課」という課を設置しました。
そこまではないにしても、行政側もいろいろ知恵をしぼってなんとかしようと思っています。
私も職業柄、お世話になることが多いのですが、市役所や税務署、年金機構などをちゃんと活用しないといけない面もあります。
市役所からお知らせがやってきたら、関心を持つ。
例えば、「市民だより」のようなものもポストに入っていたら、読んでいるでしょうか?
税務署など他の役所もそうですが、そのお知らせがよくわからなかったら、ちょっと電話して聞いてみる。
相手はその分野の(少なくとも手続きでは)専門家ですが、無料で質問・相談ができます。
これを活かさない手はありません。
私なんかはすぐ電話して聞いてます。
いつも、ありがとうございます^^
3.他人の体験談を活用する
社内で実際に利用した経験者(上司や先輩・同期)に聞くと書きましたが、ママ友で実際に体験した人の話を聞くのももちろんいいでしょう。
そういう人が近くにいなければ、ブログを読むのも1つです。
・・・ただ、ブログの注意点は、本当に体験していないのに、さも体験したようにふるまっている人もいるので、そういう場合は参考にしない方がいいでしょう。
見分けるのは簡単です。
そのブログを運営している人に質問すれば、体験していない人はすぐに「ボロ」が出ます。
大事なのは、あなたが最低限の知識を持って、聞くべき人とコミュニケーションをとるということです。
あなたの事情が伝われば、相手が「こうじゃないですか?」と返してくれる状態こそ、1番の理想形です。
たとえ、知らなくても、「他に知っている人」を教えてもらうだけでも貴重な情報です。
「他人の頭」を上手に使うのが1番!
ここまで読むと、『ドラゴン桜』では、「自分の頭で考える」ことをすすめてますが、半分正解ですが、半分違うんじゃないか?という疑問が出てきたかと思います。
そうです。
「頭」は自分だけについているわけではありません。
「他人の頭」だってあります。
人間が優れているのは、「他人の頭」が使える点です。
そして大学受験ではないので、カンニングして正しい答えを出しても問題はありません。
正しい知識を持っていて的確なアドバイスを知っている人をあなたが知ることの重要性は、この「他人の頭」を使うということができるからです。
社会のルールを有効活用するために、他人の頭を有効活用しましょう。
それが近道であり、王道です。
まとめ
このブログでは、いろいろな情報を今後も発信していきます。
それはすべて、社会のルールだったり、お金のルールです。
これからの時代を生きていくための必修科目です。
あなたと家族にとって、1つでも記事がお役に立てることを祈っています。
2 件のコメント
こんにちわ^^
そうですね。
この分野はこの人が強いって知ってれば心強いですね♪
全部自分で知るのは限界がありますし。
ここで職人的か経営者的かが分かれてきますね。
neronaさんの頭も欲しいですね。
なので、ノコギリを持って頂きに伺いますので、首を洗って待ってて下さい( ̄▽ ̄)
>せんとらるさん
こんばんは。neronaです^^
いろいろ知っている人に助けられながら仕事をしているので、
本当に強く思うところです。
首って、そういえば、意識してちゃんと洗ってるかな、と
違う心配をした今日この頃です。