詐欺は残念ながら雑損控除の対象外です。
例えば振り込め詐欺の被害にあっても税金が安くなることはありません。
雑損控除とは災害・盗難・横領といった「自分の意志によらない損失」に対して税金を安くする制度ですが、この中には「詐欺」が含まれていません。
詐欺は「自己責任」だとされているからです。
もくじ
詐欺被害は雑損控除の対象外!
国税庁の公式サイトでも雑損控除の原因については
次のいずれかの場合に限られます。
- 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
- 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
- 害虫などの生物による異常な災害
- 盗難
- 横領
なお、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。
とあえて詐欺は対象にならないことが書かれています。
さらにダメ押しのように「詐欺による損失」というページまであります。
詐欺による損失
【照会要旨】
詐欺による損失は雑損控除の対象となりますか。
【回答要旨】
雑損控除は、「災害又は盗難若しくは横領」により生じた損失を対象としますが、「詐欺」による損失は対象となりません。
よほど詐欺被害にあったときに救済策があるのではないかと問い合わせる方が多いのでしょう。
振り込め詐欺は雑損控除の対象外とした事例
振り込め詐欺について雑損控除の対象外とした裁決事例(平成23年5月23日裁決)があります。
※税金の世界では裁判になる前に「国税不服審判所」というところで争われ、その内容が裁決事例として一部公開されています。
内容をざっくりいうと、振り込め詐欺でだまされた方が、だまされた金額は雑損控除の対象になると主張しました。
しかし、詐欺は災害・盗難・横領のいずれにも該当しないとして主張が認められませんでした。
さすがに災害には該当しないと思いますが、「盗難」くらいには該当しないのか?と思って裁決事例を読んでみました。
すると、災害・盗難・横領は「自分の意志を伴わないもの」なので防ぎようがないのに対して、詐欺は「自分の意志で振り込みをしている」ので別物と判断されています。
雑損控除としては、
- 災害・盗難・横領:自分の意志ではないので救済
- 詐欺:自己責任なので救済なし
というスタンスです。
振込詐欺は年々巧妙になっています。
果たして「自分の意志で振り込みをしている」と言えるのでしょうか?
個人的にはこの判断には疑問しかありません。
まとめ
もし詐欺を雑損控除の対象にするなら税金の法律自体を変える「税制改正」が必要です。
被害にあった方は年金生活者が多く、そもそも税金の支払い自体が少ないため、雑損控除で取り戻すといっても雀の涙程度かもしれません。
それでも何らかの救済措置はあってもよいのではないかと考えるところです。
もちろん、そもそも振り込め詐欺などの詐欺にあわないことが1番ですが。。。