さて、突然ですが、あなたは穴をあける「ドリル」の話をご存じでしょうか?
ここにホームセンターでドリルを買おうとしているお客さんがいます。
「ドリルが欲しいんですが」
ここで、うまくいかないお店の担当者は、次のような質問をしてしまいます。
「どんなドリルが欲しいんですか? 大きさは? 素材は? 出せる価格は?」
でも、ドリルを買いたい人は、ドリルについて詳しくないからプロ(だと思っているお店の人)に相談しているのに、真正面からドリルのことを質問されてもよくわかりません。
さて、どんな質問をすれば良かったのでしょうか?
もくじ
「良い質問」には「良い回答」が返ってくる!
別のお店の担当者は、ドリルを買いに来た人に次のようなことを質問しました。
- 「どこ」に穴を開けたいんですか?
- 「いくつ」穴を開けたいんですか?
- そもそも「なぜ」穴を開けたいんですか?
そのお客さんはちょっと考えて答えました。
▼日曜大工でバリバリ使いたい場合
「日曜大工でいろいろなものを作っているので何回使っても壊れないドリルがほしいです」
⇒「じゃあ、頑丈なこのドリルがおすすめですね。いろいろな穴が開けられます」
▼子供の工作で1回使いたい場合
「たまたま子供の工作で一度穴を開けたくてここに来たんだ」
⇒「何度も使わないなら、耐久性は落ちますが価格が安いこちらの商品がおすすめですよ」
▼固定するのが本当の目的の場合
「固定するために穴を開けてひもを通そうと思ったんだけど」
⇒「なるほど。ただ、固定するためなら他の方法もありますよ。こちらは穴を開けなくてもしっかり固定する画期的な商品ですがいかがですか?」
・・・以上、「「ドリルじゃなくても穴は開く」を気付かせる質問とは?」という記事を基に書いてみました。
[wpap service=”with” type=”detail” id=”4413036239″ title=”ドリルを売るには穴を売れ”]
家づくりでも「良い質問」を!
さて、この話を家づくりに置き換えてみましょう。
まずはじめに、
ハウスメーカーに家を作ってもらっているわけではない。
ということを、再確認しておかなければなりません。
「家が欲しいんですが」
「どんな家が欲しいんですか? 大きさは? 素材は? 出せる価格は?」
これを具体的にしても同じです。
「4LDKですか? 木造ですか? 予算は2,000万円くらいですか?
・・・最初に見たドリルを買いたい人と店員さんのやり取りのような光景ですね。
そんなものは実はどうでもいいんです。
「家が欲しいんですが」
- 「どんな暮らしをしたいんですか?」
- 「誰とどうやって過ごしたいんですか?」
- 「そもそもなぜ家を建てたいんですか?」
という質問が大事だったりします。
これこそが、「魔法の質問」です。
営業さんや設計さんは、そのような質問をしてくれていますでしょうか。
(もちろん、いろいろ話をする中で出てくるものだとは思いますが)
例えば、木造にすべきかどうかは判断基準がなければさっぱりわかりません。
「木のぬくもりを感じる暮らしをしたい」のであればそれは木造にすべきです。
あるいは、鉄骨造だとしても、内装をこだわれば木のぬくもりを感じる暮らしを作ることは可能かもしれません。
だとすれば、「自分」にこの魔法の質問をしてみてください。
- 「どんな暮らしをしたいんだろう?」
- 「誰とどのように過ごしたいんだろう?」
- 「そもそもなぜ家を建てたいんだろう?」
私の場合は、
- 本のある暮らしをしたい。
- 自分と妻と子どもが夏は涼しく、冬は温かく過ごしたい。
- 地震から家族を守りたいので丈夫な家を建てたい。
この数が多ければ多いほど、そしてそれを営業さんと設計さんと共有すればするほど、良い家づくりができるように思います。
50個もある!?
それはいいことですね。
優先順位をつければ判断基準がぶれない!
でも、あんまり多いとあれもこれもになってしまうので、優先順位をつけて「絶対に譲れないもの」トップ10を見つけて下さい。
間取りや設備、オプションで迷ったら、
- それがなくなったらどうなる?
- 誰が困る?
- 他に代替案はない?
という質問をするのも効果的です。
そうすれば、たとえ住宅展示場でホームシアターがカッコよくても、
「あ、カッコいいと思っただけで、ホームシアターを使った暮らしなんて家族の誰も望んでないや」
とか、自分たちの判断の軸がぶれないと考えます。
営業さんや設計さんと、あなたと家族が思い描く暮らしをすることを共有すれば、
「○○さんは本を結構お持ちみたいなので、うちの本棚をつけるよりも市販の本棚を買った方がたくさん入るかもしれませんよ」
「○○さんの購入される土地では、スペースからすると書庫と土間収納を入れると書庫が狭くなってしまいます。このままでいいですか? 優先順位が書庫なら土間収納はいっそのことなくすことも考えられますよ」
というようなことも考えていただけるかもしれません
相手は家に関してはプロかもしれませんが、「あなたと家族の大事にしているもの」という視点が欠けていれば、せっかくの知識・知恵も活かされません。
その大事にしたいものは、自分に魔法の質問をする必要があるわけです。
ぜひ家族と質問をし合いましょう。
意外なこだわりが見つかるかもしれません。
相手に提案させるための質問をしよう!
さて、
「いやいや、うちの営業さんも設計さんも全然提案がないから無駄ですよ」
とお困りの方もいるかもしれません。
そういうときには、
「私たちはこういう暮らしをしたいと考えていますが、この間取りはちゃんとそれを叶えていますか?」
とか、
「プロの視点からどう思いますか?」
という質問をしてみてはいかがでしょうか。
「私たちは本に囲まれた生活をしたいと考えていますが、この間取りはちゃんとそれを叶えていますか?」
「確かに書庫は作りましたが、どこで本を読むかがあまり検討されてないですね。○○さんは書庫で本を読む予定ですか? それなら照明の位置を考えないと影になってしまいますね」
「私たちはスタイリッシュな外観がよくてこのタイプの家をお願いしたんですが、このプランはそれを叶えていますか?」
「気になるようであれば、一度実物を確認してみますか? 近所に同じ外観の家があったはずです。両隣に家があると違った印象になるかもしれませんね」
自分も仕事をしているときにそんなことを聞かれたら、何か1つでも見つけようと頭が回転し始めます。
つまり、
相手に提案させるための質問
も大事だということです。
質問するだけならタダです。
でも、その質問をしないことによる損失は大きいかもしれません。
家を建てた経験者として、当時感じていたことを書いてみました。
[wpap service=”with” type=”detail” id=”4413036239″ title=”ドリルを売るには穴を売れ”]
なお、魔法の質問はいつ思いつく変わらないのですし、聞いたことを残しておくのも大事なので、「家づくりノート」を作ることをおすすめします。
次の記事へ>>> なぜ「家づくりノート」を作ると良い家づくりができるのか?