この記事ではクラウド会計ソフトのメリットとデメリットについてご紹介します。
クラウド会計ソフトのメリットは主に
- 導入が簡単にできる
- 日々の帳簿付けの時短ができる
点です。
ただし、良いことばかりではなくデメリットもあります
もくじ
1.クラウド会計ソフトの6つのメリット
会計ソフトには大きく2種類あります。
- インストール型:ソフトをパソコンなどにインストールして利用
- クラウド型:ソフトのインストール不要でログインすればどこからでも利用可能
今回おすすめしているのはクラウド型です。
両者を比較しながらメリットをご説明します。
1-1. WindowsでもMacでも使える
インストール型の会計ソフトはMacに対応していない場合があります。
クラウド会計はWindowsでもMacでも使えます。
- WindowsからMacに乗り換える
- 仕事で使うパソコンを毎年買い換える
場合もそのまま利用できます。
ソフトを再インストールせずログインだけで利用開始できるので簡単です。
1-2. パソコンが壊れてもバックアップがあるので安心
2月下旬、確定申告のために会計ソフトを使おうと思ったら、急にパソコンがフリーズ。
そのまま復旧しなくなったらどうしますか?
パソコン自体をやむなく買い換えたとしても、インストール型はバックアップを取っていないと復旧できません。
一方、クラウド型は自分のパソコンではなくクラウドサーバー上に保管されます。
もしパソコンに不具合があったり、ウィルス感染や自宅の火事などでパソコンが使えなくなったりしてもすぐに復旧できます。
もちろんログインIDとパスワードはパソコンとは別で管理しておきたいところです。
1-3. 簿記の知識がなくても決算書と帳簿が作れる
経理初心者で簿記の知識がなくても、見よう見まねで決算書(貸借対照表と損益計算書)と帳簿(仕訳帳や総勘定元帳など)が作れる点が魅力です。
インストール型でももちろん作れます。
しかしクラウド会計ソフトは簿記の知識がない人向けにヘルプ機能やサポートをより手厚くしています。
もともとクラウド会計のターゲットは、大きな企業ではなく個人事業者や小規模な企業です。
経理担当者を置けない会社や簿記を知らない人向きに作られています。
それでも不安であれば、
- 1年目:税理士の先生にお願いしてクラウド会計ソフトを導入
- 2年目以降:自分でやってみる
というのも1つの手ですね。
1-4. ネットバンキングのデータを自動で取り込める!
ネットバンキングを利用している場合には、クラウド会計ソフトで入出金明細のデータを自動的に取り込めます。
重要なのは残高を合わせる必要がない点です。
残高というのは「残ったお金」のことです。
自分で預金通帳を見ながら会計ソフトに入力していくと、初めての方は高い確率で残高が合いません。
例えば
- 通帳の1月末の残高:78,100円
- 手入力した会計ソフトの残高:78,200円
だとします。
たった「100円」の誤差を探すために入力したデータをもう一度最初から確認しないといけません。
・・・これは時間のムダですね。
クラウド型は多くの銀行(ネットバンキング)に対応しています。
1つ1つの入金・出金を銀行のデータから取り込んでいるので「残高」が通帳と合うのは「当たり前」です。
税理士はお客様の会計ソフトでまず最初に確認するのが「銀行残高」です。
それくらい銀行残高との合致は重要です。
それが自動化されて間違えないようになっているのは最大のメリットといえます。
1-5. クレジットカード明細も自動で取り込める
もう1つ便利なのが、クレジットカード明細のデータを自動で取り込める点です。
手作業が減るのはもちろん、それ以上に重要なのはクレジットカードで支払った日付で取り込める点です。
1月にクレジットカードで支払ったものは、実際に銀行から落ちるのが2月以降だとしても1月の経費として処理します。
これは発生主義と言い、青色申告をするためには発生主義で記帳する必要があります。
クラウド型でクレジットカード明細のデータを取り込めば自動的に発生主義で記帳してくれるのです。
1-6. 学習機能で使えば使うほど賢くなる!
毎月「同じ時期」に「同じような金額」を支払う経費はよくありますよね。
クラウド会計型はAI(人工知能)を利用した学習機能があります。
同じような取引があると先回りして「こうじゃないですか?」と勘定科目や摘要(取引の内容)を提案してくれます。
使えば使うほど同じ作業を繰り返さなくて済むというメリットがあります。
2.クラウド会計ソフトの4つのデメリット
クラウド会計ソフトは良いことづくめではありません。
デメリットもあります。
2-1. ソフトの利用料がかかる!
インストール型の会計ソフトは1回買えばしばらく使えます。
しかし月額利用料を支払うクラウド型の会計ソフトは、使い続ける限りお金がかかります。
- パソコンが壊れてもバックアップ⇒クラウドの保管料
- ネットバンキングやクレジットカード明細を自動的に取込み⇒時短でコストダウン
をメリットと考えると、クラウド型の方がむしろ割安かもしれません。
個人的にはクラウド型を利用して経理の時間を減らし、その分でしっかりと「自分の売上」を増やす方が前向きではないかと思います。
2-2. ネット環境が遅いと手入力に時間がかかる
クラウド型もインストール型も共通しますが、会計ソフトは「現金」取引が苦手です。
銀行やクレジットカードと違い「データ」がない現金は、手入力をしなければならないからです。
クラウド型は自分のパソコンの中ではなく「クラウドサーバー」を通じて利用するので、入力スピードがインターネット環境に左右されます。
インターネット環境が遅い場合には、現金入力をする際になかなか進まなくてイライラするかもしれません。
ただし自分のパソコン上でExcelに現金取引を入力して、一瞬で取り込む方法もあります。
現金管理はExcelでして一気に取り込んでしまうのも手ですね。
2-3. セキュリティの問題
ネットバンキングやクレジットカードのデータを自動的に取り込めるのは、銀行口座やクレジットカードの情報を登録するからです。
したがって、どうしてもセキュリティの問題は存在します。
また、クラウド型の会計ソフトにログインするIDとパスワードを自分自身が漏らしてしまう可能性もあります。
もしセキュリティの問題が怖いということであれば、クラウド会計ソフトを利用しないのもアリです。
2-4. システム障害があると利用できない
システム障害はクラウド会計の致命的欠点です。
この点ではインストール型の方がトラブルも起こらないので安定しています。
2018年10月31日にクラウド会計の「freee」で3時間弱のシステム障害が起こりました。
その間はシステムにログインできず、会計ソフトが利用できませんでした。
ただ、システム障害が起こったのはそれ以外ではほぼありません。
これをもってクラウド型を検討外にするのはもったいないと考えます。
3.クラウド会計ソフトはどこがおすすめ?
今回挙げたメリット・デメリットはどのソフトにもあるので、値段的にも機能的にもそれほど大きな差はありません。
いずれも最初は無料で試せます。
その中から自分に「しっくりくるもの」を使うのがベストです。
<3社の違い早見表>
料金 | 操作性 | 特徴 | |
やよい | ◎ | 〇 | 会計ソフト業界最大手 |
freee | 〇 | 〇 | 簿記を知らない人に特化 |
マネーフォワード | 〇 | ◎ | 請求書発行もセット |