Excelは会計ソフトの代わりになる?Excelで会計帳簿を作るメリットとデメリット


Excel帳簿

Excel(エクセル)で総勘定元帳や仕訳帳ができれば会計ソフトを買わなくていいのに、と思うかもしれません。

私も実際に思って税理士事務所時代にExcelで作ろうとしたことがありますが、相当大変でした。

「誰にでもすすめられない」というのが正直なところです。

  • Excelの知識
  • 簿記会計・税務の知識

の両方が必要だからです。

特に「総勘定元帳」は簡単にできません。

補助科目を設定するとさらに複雑になります。

この記事では有料の会計ソフトではなくExcelを使って会計帳簿を作りたい場合のメリットとデメリットをまとめました。

しかも1回作ったら終わりではなくて、毎年の税制改正でルール変更がないか確認も必要です。

Excelで会計ソフトを作る余裕があれば、その時間を「売上を増やすための時間」に使った方が効率がいいと考えます。

Excelで会計帳簿を作るメリット

Excelで会計帳簿を作るメリットは次のとおりです。

  • お金がかからない
  • カスタマイズがしやすい
  • 余計な機能をつけなくていい
  • インターネットに接続しなくても利用可能

お金がかからない

インストール型会計ソフトもクラウド会計ソフトも導入する際や維持費がかかります。

一方、Excelは無料で利用できる(正確にはパソコン購入時にExcelの利用料はかかる)ので安くおさえることができます。

カスタマイズがしやすい

カスタマイズという点では、圧倒的にExcelが有利です。

特にクラウド会計ソフトはカスタマイズをして特殊な処理をしたい場合には向きません。

ただ、通常カスタマイズが必要なのは大企業ですので、個人事業や中小企業ではあまり問題にならないかと思います。

余計な機能をつけなくていい

会計ソフトは一般的に必要な機能がそろっていますが、その中には使わないものもあると思います。

Excelなら自分に必要な機能だけ作ればすむでしょう。

インターネットに接続しなくても利用可能

クラウド会計ソフトはインターネットに接続して利用します。

一方、Excelならインストール型の会計ソフトと同様に、インターネットに接続しなくても利用できます。




Excelで会計帳簿を作るデメリット

一方、Excelで会計帳簿を作ると次のデメリットがあります。

  • Excelの知識が必要
  • 簿記会計・税務の知識が必要
  • 誤った計算をするリスクがある
  • ルール変更時に対応が必要
  • データのバックアップが必須
  • 最新版がわからなくなるリスク

Excelの知識が必要

大前提としてExcel自体、特に関数・マクロの知識が必要です。

「仕訳帳」はそれほど難しくないのですが、「総勘定元帳」はマクロを利用しないと使い勝手が悪いです。

「補助元帳」を利用したり、消費税の集計をしようとするとさらに難易度が上がっていきます。

ちなみに中小企業でもExcelが得意な従業員が会計システムを作っていたのが、退職した際に困って慌てて税理士事務所に相談するパターンも経験があります。

簿記会計・税務の知識が必要

もう1つ必要なのが「複式簿記」と「消費税」の考え方です。

複式簿記の知識がない状態で形式的に会計ソフトをExcelで作るのは困難です。

また、消費税の納税義務がある場合には消費税の知識も必須です。

誤った計算をするリスクがある

自分でExcelの会計帳簿を作るときは誤った計算をしているリスクがどうしてもあります。

関数を1つ間違えただけでアウトです。

  • 会計ソフト会社のように専業で作っていない
  • 社内でミスのチェック体制がない
  • ユーザーからミスの報告を集める仕組みがない

ことから起こります。

ルール変更時に対応が必要

税制改正や会計ルールの変更によって会計ソフトの変更が必要な場合があります。

市販の会計ソフトはソフト会社が対応してくれますが、Excelの場合には自分で変更する必要があります。

データのバックアップが必須

クラウド会計ソフトはデータがクラウド上に保管されます。

使っているパソコンが急に壊れても別のパソコンでログインすることですぐに利用できます。

一方、Excelの場合はインストール型会計ソフトと同様にバックアップを常に取っておく必要があります。

最新版がわからなくなるリスク

常に上書きをしていればいいのですが、Excelが最新版の会計帳簿なのか分からなくリスクもあります。

バックアップをする際には保存方法にも注意しましょう。




会計ソフトとExcelを組み合わせて使うのがベスト

Excelを会計ソフトの代わりに使うのは、正直おすすめしません。

その時間があれば「売上」を増やすことに時間を使いましょう。

会計ソフトをメインExcelをサブとして利用するのはおすすめです。

 

例えばExcelで「現金出納帳」を作って、会計ソフトにデータとして取り込むと一瞬で現金の仕訳が完成します。

現金出納帳03

↓ Excelから会計ソフトへ

現金出納帳11

 

「別に会計ソフトで最初から現金の仕訳を入力すればいいじゃないか」

と思うかもしれませんが、Excelの方が入力が簡単なので会計ソフトを使うよりも楽にできますし、経理ミスが減ります

特に「コピー&ペースト」ができる点はExcelの方が有利です。




まとめ

Excelで会計ソフトを作って節約したい!というお気持ちはよくわかりますが

  • Excelに詳しい
  • 簿記3級の知識がある
  • 時間があり余ってる

場合を除けばおすすめしません。

 

それよりも会計ソフトと組み合わせて使うのがおすすめです。

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40代共働き。書庫のある家に住んでます。お買い物情報やお得なポイント情報が好きです。年末調整や確定申告のやり方もご紹介⇒ 運営者詳細 / お問い合わせ

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1 件のコメント

  1. 家計簿ソフトとの併用

    私の場合は、個人事業と1人会社経営の両刀でやっていますので、先ず家計簿ソフトに入力して、後から会計ソフトに転記という、やや手間の掛かることをやっています。

    経費操作で、個人事業・法人どちらにでも振り分けられるものって、けっこうありますよね。(事務用品とか)

    12月期締めが決められている個人事業と、決算月を任意設定できる法人を持っていると、何かと融通が利きます。

    https://www.chintaikeiei.com/column/00000977/

    で、入力したものを日付順に整理してくれたり、ローンやクレカの収支も管理してくれる家計簿ソフトは、最終的には1つの財布である個人と法人が同居する形の運用ができます。

    会計ソフトは、その点の融通が利きません。個人は個人、法人は法人で独立しています。

    その辺りのことは、私も以前に書いたことがあります。

    https://www.chintaikeiei.com/column/00001486/

    https://www.chintaikeiei.com/column/00001491/
    (これは以前にもご紹介しました)

    https://www.chintaikeiei.com/column/00001496/

    最後は、間もなく実行される税制の話など、会計ソフトの話からずれてしまっていますが、ご参考まで。

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