固定資産税は各市町村が税金の計算を行い、いつまでにいくら払うかを示す「納税通知書」が毎年4月~6月の間に送られてきます。
しかしいろいろな市町村で固定資産税の「払い過ぎ」が毎年問題になっています。
役所内の人事異動で誰も気づかなかった話はよくあります。
固定資産税の課税の誤りにつきましては、総務省としてもその防止のための取組をこれまでも進めてまいりましたけれども、重大な課税の誤りが判明する事例が、依然として絶えない状況にございます。
特に、人事異動などによりまして、適正な事務の執行に支障が生じるようなことがないように、十分に御留意を願いたいと考えております。
「なぜ税金のプロである税理士がチェックしてないんだ!」
という話もありますが、税理士は所得税や法人税のような確定申告を前提とした税金のプロです。
「市町村」が独自に計算する税金は、守備範囲とはいいがたいところです。
税理士試験に「固定資産税」という受験科目もあるので勉強した方は多少なりとも知識があります。
しかしほとんどの税理士さんは納税者から
「この固定資産税、高いでしょうか?」
と相談を受ける機会はまずないので、チェックされずにただ支払っているだけになりやすいです。
当然、税理士と縁がない一般の方は来たものをそのまま払ってるだけだと思います。
自分の身は自分で守らないと損をします。
そこでこの記事では、よくある4つのケースについてご紹介します。
もくじ
【例1】住宅用地なのに1/6特例が適用されていない場合
最悪のパターンですが、実際によく問題になっています。
住宅用の土地は、200㎡(約60坪)まで1/6になる特例があります。
「建物を建てたのに、なんか土地の評価が高いなぁ」
というときは、これを市町村が忘れているパターンです。
例えば、職員のミスで27年間取り過ぎて、固定資産税を払えなくて滞納した結果、家を手放した事例が埼玉県でありました。
また13年間で300万円が取り過ぎになっていて東京都に対して損害賠償をした事件の東京地裁判決がありました。
こちらは東京都に賠償を命じたものの、1割相当(30万円)は納税者も納税通知書をちゃんと確認していないのが悪いとして、損害賠償が認められませんでした。
自分の身は自分で守らなければならないと損するという典型例だと思います。
納税通知書の「固定資産税課税標準額」を確認して、「価格」より少なくなっているか確認しましょう。
参考 【PDF】固定資産税・都市計画税 課税明細書 – 東京都主税局
上記のケースでは150㎡と200㎡以下で
- 価格4,500万円×1/6=固定資産税課税標準額750万円
- 価格4,500万円×1/3=都市計画税課税標準額1,500万円
と特例がちゃんと適用されているのでOKです。
詳細は、次の記事をお読みください。
関連 住宅用地の特例とは?固定資産税の課税明細書が届いたら必ず確認すべきこと
【例2】二世帯住宅に特例が適用されていない場合
二世帯住宅のうち一定の条件を満たすと、家が「2つ」あるとみられます。
その条件は
- 各世帯が壁やドア等で遮断されており、構造上独立している
- 専用の玄関や台所、風呂などを備えており、利用上独立している
などです。
単に二世帯住宅なら全部が該当するわけではないので、市町村にお問い合わせください。
(1) 住宅用地の特例
家が2つあると考えると
- 面積200㎡×家2つ分=400㎡まで1/6
と2倍の面積について特例が使えるようになります。
もし広い土地に二世帯住宅を建てる場合には、特例が使える面積が2倍になるわけです。
しかし、これが忘れられていると200㎡を超えて400㎡以下の部分が1/6にならずに高いままになります。
(2) 新築建物の減額特例
新築の場合、建物部分も固定資産税の軽減があります。
床面積で一世帯当たり120㎡までの3年間(または5年間)、1/2になります。
こちらも二世帯住宅で一定の条件を満たすと
- 床面積120㎡×家2つ分=240㎡まで1/2
と2倍の床面積について減額特例が使えます。
【参考】【二世帯住宅の税のお話】税金が抑えられる?二世帯住宅における税金が下がる理由 | ヘーベルハウス
【例3】登記簿の面積が実際の面積と違う場合
登記簿(登記事項証明書)の面積に基づいて固定資産税は課税されます。
しかし先祖代々の土地を相続などで手に入れていると、実際の面積より登記簿の面積が広くなっている場合があります。
そうすると税金を払い過ぎているケースが起こりえます。
これは自分で気づかないと誰も気づきません。
土地を買うときには、面積の確定というのはとても大事です。
【例4】セットバックや誰でも通れる私道がある場合
セットバック部分や誰でも通れる私道部分というのは、市町村に申請をすると非課税になる場合が多いです。
自分で気づかなければ市町村は今までどおりにするので、気税金を払い続けることもあります。
まとめ
今回は4つの代表的な原因をご紹介しました。
- 住宅用地なのに1/6特例が適用されていない場合
- 二世帯住宅に特例が適用されていない場合
- 登記簿の面積が実際の面積と違う場合
- セットバックや誰でも通れる私道がある場合
少しでもおかしいと思ったら、まず市町村に確認しましょう。