今まさに
「〇万円の治療費を払った領収書がない!?」
と慌てて探していないでしょうか。
医療費控除では、原則として「医療費の領収書」が必要となります。
平成29年分の確定申告から「医療費控除の明細書」を提出することで、医療費の領収書の税務署への提出は不要になりました。
しかし、医療費の領収書は5年間の「保管」が義務づけられているので、結局必要なのは変わりません。
だからといって、領収書がないからと医療費控除をあきらめたらそこで試合終了です。
この記事では、医療費の領収書をなくしてしまった場合の対処方法についてまとめました。
なお、なくした領収書以外だけでも原則10万円を超えていれば医療費控除は可能です。
※医療費控除の確定申告の方法については次の記事をお読みください。
もくじ
条件を満たす医療費の通知があるなら領収書がなくてもOK!
平成29年分の確定申告から「医療費の通知(医療費のお知らせなど)」を確定申告書に添付できるようになりました。
この通知に記載された項目について「医療費控除の明細書」の記載を簡略化することができ、医療費の領収書の保存も不要となります。
したがって、領収書をなくしていたとしても「医療費の通知」が証明してくれるので大丈夫ということになります。
ただし、この医療費の通知には、次の「6項目」のすべての記載があることが条件となります。
- 被保険者等の氏名
- 療養を受けた年月
- 療養を受けた者
- 療養を受けた病院・診療所・薬局長の名称
- 被保険者等が支払った医療費の額
- 保険者等の名称
そのため、医療費の通知でもそのままでは使えないものがあるのでご注意ください(加筆修正することで利用できる場合もあります)。
また、保険適用外のものは医療費の通知には記載されないため、保険適用外で高額な治療を受けているような場合には別の方法を考える必要があります。
考えられる方法
(1) 病院や診療所に医療費の領収書の再発行を依頼できないか?
基本的には「領収書の再発行はいたしません」と領収書に書いているケースが多いですが、そうでないところは再発行を依頼するのが1つです。
個人的には再発行をしないと言っているところに対しては再発行を依頼するのはおすすめしませんが、「再発行を受け付ける病院・診療所」であれば、再発行をお願いするといいでしょう。
(2) 「領収額証明書」を発行してもらえないか?
大きな病院では、「領収額証明書」や「支払証明書」などの名前で支払った金額を証明する書類を発行してくれることがあります。
例えば、1年分の医療費の合計額をまとめて書類にしてくれる場合もあります。
ただし、証明書の発行は「有料」で、金額は病院等によってバラバラです。
数千円する場合も中にはあります。
医療費控除で還付される金額を手数料が上回ったら意味がないので、あまりに手数料が高い場合は還付される金額とあらかじめ天びんにかけて考えましょう。
(3) 家計簿などで証明できないか?
領収書の再発行も領収額証明書の発行もできない時に登場するのが「家計簿」です。
『医療費控除のすべてがわかる本』(藤本清一編集代表、税務研究会出版局)では、「162 領収書がなくても医療費控除ができる場合」の項目の中で、次のように説明しています。
問 歯の治療費30万円を支払いましたが、領収書を出してくれません。領収書がないと、医療費控除の申告はできませんか。
答 条件付きで、医療費控除の対象になります。その歯科医の住所、氏名及び支払金額と支払い年月日の明細を明らかにすることができる資料(例 家計簿)を税務署に示し、その支払いについて具体的に説明をし、税務署の納得を得ることが必要です。
このほか、「診察券」や「お薬手帳」で病院や薬局での支払いの状況を証明することができる場合もあります。
・・・もちろん、説明すれば全部OKというわけではないので、どちらかというと最終手段な感じがしますが、医療費が高い金額の場合にはチャレンジしてみる価値はあると思います。
普段から医療費の領収書を保管しよう!
以上のように4つの方法をご紹介しましたが、普段から医療費の領収書を1か所に集めておくのが今後も重要です。
特に家族の分もまとめて1人が医療費控除を確定申告で申請することも可能ですので、あらかじめ医療費の領収書を保管する場所を決めておくのが良いでしょう。