子どもが大学を卒業して、春から社会人になるという方も多いと思います。
そんなときによくある疑問が次の3つです。
- 3月まで扶養しているけど、扶養控除はどうなるの?
- 子どもの医療費は医療費控除に含めていいの?
- 子どもの国民年金保険料の支払いは社会保険料控除できるの?
それぞれ、1つずつ見ていきましょう。
もくじ
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社会人になった子どもも扶養控除ができる?
(1) 給与年収103万円を超えると扶養控除の対象外
扶養控除の対象になるのは
- 子どもと同一生計
- 子どもの所得が48万円以下(令和元年までは38万円以下)
の場合です。
1つ目の「同一生計」とは同居していたり、別居していても子どもに仕送りをして同じサイフで生活している状態をふつう言います。
2つ目の「所得が48万円以下」は、給与で言えば年収103万円以下の場合です。
しかし子どもが4月に社会人になると、正社員であれば4月から12月までの年収は103万円を超えることが多いでしょう。
この場合は扶養控除の対象外になります。
(2) 扶養控除の対象外になった場合の影響
19歳以上23歳未満の特定扶養親族がいる場合には63万円の扶養控除ができます。
扶養控除の対象外になるとこの63万円の控除ができなくなります。
親の年収にもよりますが、ざっくり言うと所得税と住民税あわせて10万円前後負担が増えます。
(3) 扶養控除申告書の注意点
年末調整の際に「令和2年分 給与所得者扶養控除等(異動)申告書」という書類を書いている方は要注意です。
令和2年中の子どもの年収が103万円を超えると「控除対象扶養親族」ではなくなります。
もし年末調整で子どもの名前を書いた場合には、勤め先に扶養の対象外になっている旨を伝えて扶養控除申告書を訂正しましょう。
(参考)
令和3年4月から新社会人になる場合は、「令和3年分」の扶養控除申告書を提出するとき、控除対象扶養親族に子どもの名前を書かないようにしましょう。
子どもの医療費も合算して医療費控除ができる?
(1) 年の途中で就職した場合の医療費はどうなる?
医療費控除は、ざっくり言えば同一生計の期間中の支払いであれば、子どもの医療費を対象にして合算できます(所得税基本通達73-1)。
もし4月に社会人になって別生計になると、1月から3月までの分は同一生計の期間中の支払いなのでOKです。
一方、4月以降の子どもの医療費は別生計のため合算できません。
子ども自身が支払った医療費について、子ども自身で医療費控除をすることとなります。
(2) 4月以降も同一生計の場合には?
4月以降も実家暮らしで「同一生計」の場合もあるかもしれません。
この場合は子どもの医療費もまとめて医療費控除の対象となります。
なお、扶養控除は年収103万円を超えると対象外になりますが、医療費控除は年収の制限はありません。
そのため親が同一生計の子どもの医療費を払い続けるのであれば、親が医療費控除をするときに子どもの医療費を合算できます。
子どもの国民年金保険料も社会保険料控除ができる?
子どもが20歳になると国民年金の対象となります。
在学中の保険料の納付が猶予される学生納付特例制度を使わずに、親が子どもの代わりに国民年金保険料を支払っている場合もあります。
国税庁の「生計を一にしていた子の国民年金保険料を負担した場合」によれば、国民年金保険料を払った時点で「同一生計」であれば親が社会保険料控除できます。
4月から社会人になる場合、親が1月から3月までに支払った子どもの国民年金保険料が社会保険料控除の対象です。
なお、4月から子どもは厚生年金保険料(国民年金保険料を含む)を給料から天引きされる形で子ども自身が支払います。
親が国民年金保険料を払う余地がないのが普通です。
そして子ども自身が天引きされた厚生年金保険料について社会保険料控除をすることになります。
4月から子どもが新社会人になると、子どもの分について取扱いが変わります。
年末調整や確定申告の際にはご注意ください。