2018/11/1448 Shares

【年末調整】子どもは誰の扶養にする?16歳未満の扶養親族と住民税の関係

子どもを扶養に

入社時や年末調整の際には勤め先からもらった「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」 に扶養している家族の名前や年齢を書きます。

16歳未満のお子さんがいる方は、1番下の欄にお子さんの名前を書きます。

h30扶養控除申告書15

平成30年分で16歳未満に該当するのは、平成15年1月2日以後生まれのお子さんです(年末時点の年齢で判定のため)。

この欄は「所得税」の点では書いても書かなくても特に意味はありません。

一方「住民税」の計算では天と地ほどの差が出てくる場合があります。

例えばここに

  • 年収500万円の夫
  • 年収180万円の妻
  • 5歳と3歳の子ども

がいるとします。

おそらくほとんどの場合は夫の扶養として2人の子どもを書くことでしょう。

しかしもし妻の扶養として2人の子どもを書くと、妻の住民税が0円になる場合があります。

住民税が課税されるかどうか判断するときには「16歳未満の扶養親族の数」も含めて考えるからです。

「じゃあ妻の扶養にして住民税で節税しよう!」

そう思いますよね? ちょっと待ってください。

実はココには落とし穴もあるのです。

この記事では、そんな住民税のカラクリをご紹介します。

【年末調整書類の書き方はこちらから】


1.なぜ「16歳未満の扶養親族」について書くのか?

以前は年齢に関係なく扶養している子どもがいれば扶養控除の対象になっていました。

しかし子ども手当(現在の児童手当)が登場し、16歳未満の子どもは扶養控除の対象外になりました。

ただし、これは所得税の話です。

住民税の判定には必要となるため「住民税に関する事項」として16歳未満の扶養親族を書くことになりました。

h30扶養控除申告書15

例えば

  • 年収500万円(所得346万円)の夫
  • 年収180万円(所得108万円)の妻
  • 5歳と3歳の子ども

がいるとします。

子ども2人を夫の扶養に入れても妻の扶養に入れても

  • 夫の所得税と住民税
  • 妻の所得税

には影響ありません。

しかし妻の住民税は結果が異なります。

それぞれ、試しに計算してみましょう。

住民税には所得割と均等割の2種類があります。

  • 住民税の所得割:税率10%
  • 住民税の均等割:一律5,000円

※厳密には市町村によって少し異なります

このうち住民税の所得割だけ計算して比較します。

例1:子ども2人を「夫の扶養」にした場合の「妻の住民税」

  • 年収180万円-72万円(給与所得控除)=108万円(所得)
  • 108万円(所得)-33万円(住民税の基礎控除)=75万円
  • 75万円×10%(所得割の税率)=7.5万円

例2:子ども2人を「妻の扶養」にした場合の「妻の住民税」

  • 0円

なぜ0円になるのかという理由については、次の項で見ていきます。

このように妻の住民税は、子ども2人を夫と妻のどちらの扶養にするかで全然違います。

  • 夫の扶養に入れる:7万5千円
  • 妻の扶養に入れる:0円




2.住民税には「非課税基準」がある。

住民税の所得割には、扶養にしている人の数に応じて一定金額が非課税になる取扱いがあります。

注意:市町村によって条件が異なることがあります。均等割もある場合もありますが、多くて5,000円の差なのでこの記事では省略します。

多くの市町村で採用されているのが、

【扶養0人】

  • 35万円

【扶養1人以上】

  • 35万円×(1+扶養人数)+32万円

という計算式です。

参考:名古屋市:市民税・県民税が課税されない方(非課税)

この範囲に所得が収まると、住民税が非課税になります。

扶養人数 住民税の所得割の非課税
0人 所得35万円以下
(給料年収100万円以下)
1人 所得102万円以下
(給料年収170万円以下)
2人 所得137万円
(給料年収221円以下)
3人 所得172万円
(給料年収271万円以下)

※4人以上は計算式(35万円×(1+扶養人数)+32万円)で求めます。

※所得の基準は市町村によって微妙に異なる場合がありますのでご確認ください。

重要なのはこの扶養人数には16歳以上の扶養親族だけでなく16歳未満の扶養親族も含めていいという点です。

今回のように年収180万円の「妻」の扶養人数を子ども2人としたので所得137万円(給料年収221万円)以下まで住民税の所得割は非課税です。

したがって、子ども2人を「妻の扶養」にした場合の「妻の住民税」は「0円」になります。

一方、夫の方は年収500万円(所得346万円)のため、扶養人数を2人にしても年収221万円(所得137万円)を超えるので夫も妻も住民税には影響がありません。




3.住民税の非課税ルールを使うと起こる問題は?

この方法は裏技的なものとして紹介されますが、注意すべき点もあります。

住民税だけを見れば節税ですが、他の制度で影響が出る場合があるのです。

そのため「子どもの扶養を付け替えると住民税が非課税になってお得です!」なんて言えないのですね。

3-1. 税金と社会保険の扶養が一致しないと困るといわれる。

子どもの扶養を

  • 税金⇒妻
  • 社会保険⇒夫

にしていると「税金と社会保険の扶養が一致していない」と勤め先から言われる可能性が高いです。

ただ、税金と社会保険の扶養は本来「別物」です。

一致しないといけないわけではないので的外れな指摘です。

3-2. 「社会保険」への影響

税金と社会保険の扶養は別物と書きましたが、社会保険にはローカルルールがあります。

子どもの扶養をどちらにするかで思わぬ影響が出る場合もあります。

そのため、ネット上の情報だけで判断してはいけません。

夫婦で加入しているそれぞれの健康保険の条件を改めて確認する必要があります。

3-3. 夫の勤め先で家族手当が出なくなる。

1番問題なのは、夫の勤め先で家族手当・扶養手当です。

子どもを妻の扶養にしてしまうと、これらの手当てが出なくなってしまいます。

税金以外についても確認しましょう。

3-4. 子どもが「障害者控除」の対象になるとき

16歳未満の子どもでも障がいがある場合には障害者控除の対象になります。

年収が多い方の扶養にすると有利になるケースもあります。

住民税の非課税による節税額と障害者控除による節税額の比較検討が必要です。

関連 療育手帳で障害者控除を受けるための扶養控除申告書の書き方

3-5. 夫婦2人とも年収300万円以上の場合

問題ではないですが、扶養人数が4人以上必要になるので節税のハードルが高くなります。

年収300万円以上だと住民税は非課税にならないので、どっちの扶養にしても同じです。

3-6. 「保育料」への影響

最近は夫婦の住民税の「合計」で保育料が決まるのがふつうなので、住民税を減らす非課税ルールを利用した方が有利な場合も想定されます。

ただし、私もすべての市町村を確認したわけではありません。

ご自身の自治体での保育料の決まり方を確認する必要があります。

3-7.「児童手当の所得制限」への影響

児童手当には扶養親族の数に応じて所得制限があります。

扶養親族等の数が

  • 子ども1人のみ⇒年収約875万6,000円
  • 子ども1人と妻の2人⇒年収約917万8,000円

と所得制限の限度額(目安)があがっていきます。

もし夫の年収が高ければ夫の扶養にした方が良い可能性もあります。

関連 【児童手当】ふるさと納税や住宅ローン控除をしたら所得制限にひっかからないですみますか?




まとめ

夫婦共働きの場合には、16歳未満の子どもを誰の扶養にするかで「住民税」に影響があることを説明しました。

ただし市町村によっては「収入が高い方」の扶養にするように言われるケースも出てくるかもしれません(既にそうなっているかもしれません)。

扶養の付け替えを行うときはご注意ください。

最後に、この記事を書くにあたって参考にした記事をご紹介します。

参考になった記事

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