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同居老親等(父母・祖父母)の老人扶養控除をする場合の注意点と所得の見積額

この記事では、扶養控除の1つである老人扶養控除、特に「年金をもらう親」を扶養にしている場合の平成29年分の年末調整についてご紹介します。

年金をもらう親がいたら扶養控除が使えるかも!

年末調整で「扶養控除」を受ける場合には、16歳以上のお子さんを扶養にする場合もあれば、逆に、自分の親や祖父母を扶養にする場合もあります。

特に両親が年金をもらっている年齢の場合、他に収入もなければ、扶養控除の条件である「生計を一」かつ「所得38万円以下」に該当することがあります。

  • 条件1:生計が一であること
  • 条件2:所得38万円以下であること

「平成29年分 扶養控除等(異動)申告書」の書き方についてもあわせてご紹介します。特に「所得の見積額」に注意が必要です。

h29扶養控除申告書1

条件1:扶養親族になれる「親」と生計を一にしているかの判断

同居して同じ財布で生活しているならOK

1番わかりやすいのは一緒に住んでいる場合ですね。

もちろん、一緒に住んでいるといっても完全に別々に財布がそれぞれが独立して暮らしているような場合は別です。

別居している地方に住む両親でも仕送りしていれば可能!

別居している場合でも、例えば毎月、仕送りをしているような場合には、同じ財布で暮らしているわけですから「生計を一」にしていると認められて扶養控除ができる場合があります。

国税庁:地方に住む両親を扶養控除の対象とする場合

Q3

従業員が地方に住む両親を扶養しているとして「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出してきた場合、会社(源泉徴収義務者)はそのことを何らかの書類により確認する必要があるでしょうか。

A3

別居している者を扶養控除の対象とするためには、常に生活費、療養費等の送金が行われているなど「生計を一」にしていることが必要となります。

法令上、源泉徴収義務者に対してこれを証明する書類等を提出することまで必要とされているわけではありませんが、正しい扶養控除の計算を行うためには、銀行振込や現金書留により送金している事実を振込票や書留の写しなどの提示を受け確認することをお勧めします。

意外なことに「いくら」仕送りしたらOKという金額的な基準はありません

これは、生活の状況やどこに住んでいるかによって仕送りの金額は一律に決められないからです。

ただし、明らかに別々に独立して生活していると認められる場合には扶養控除の対象外となるため、仕送りの事実が重要です。

また、絶対に書類を提出しなければならない、というルールはありませんが、勤め先によっては提示(見せるだけ)を求められるケースもあるでしょう。勤め先の指示に従ってください。

条件2:扶養親族になれる「親」の年収と所得の見積額の計算

パターン1:年金収入のみの場合

親を扶養して扶養控除を受けるためには、所得が38万円以下である必要があります。

つまり年末調整で「平成29年分 扶養控除等(異動)申告書」の「平成29年中の所得の見積額」の欄を書くときにも、38万円を超えるようであれば、その人は扶養控除の対象外です。

h29扶養控除申告書2

まず、結論を書くと、生計を一にしている年金収入のみの親が扶養控除の対象になるのは、次の場合です。

  1. 65歳未満の親:年金収入108万円以下
  2. 65歳以上の親:年金収入158万円以下

なぜ「65歳」を境に2つに分かれているかというと、「年金」に対する「所得」の計算が、65歳以上になると優遇されるからです。

(1)65歳未満の場合

ルール:年金収入108万円までは70万円を差し引く

⇒108万円-70万円=38万円≦38万円

となり、年金のみをもらっている場合、最高で年金収入108万円まで所得38万円以下の条件を満たします。

(2)65歳以上の場合

ルール:年金収入158万円までは120万円を差し引く

⇒158万円-120万円=38万円≦38万円

となり、年金のみをもらっている場合、最高で年金収入158万円まで所得38万円以下の条件を満たします

なお、遺族年金や障害年金は所得税がかからない「非課税」の扱いとなるため、「扶養控除」の判定上、収入に含みません。

例えば、自分の母親が「父親の遺族年金」と「母親自身の年金」で暮らしている場合には、「母親自身の年金」だけで、上記の年金収入以下になるかどうかを確認してみてください。

※「健康保険」の計算の方では遺族年金も収入とみなされるため、税金と社会保険では全く別のものとして考える必要がある点、ご注意ください。

パターン2:年金収入と給与収入が両方ある場合

扶養にしようと思っている母親が年金だけでなく、パートで少し働いている場合はどうでしょうか。

  • 年金収入は30万円の見込み
  • 給与収入は100万円の見込み

パターン1と同様に、年金収入は、65歳未満なら70万円を、65歳以上なら120万円を差し引きましょう。

(1)65歳未満

30万円-70万円<0円 よって所得0円

(2)65歳以上

30万円-120万円<0円 よって所得0円

今回は「30万円」なので、いずれにしても所得は「0円」ですね。

また、給与収入は年収103万円以下の場合は、「65万円(給与所得控除)」を差し引きましょう。

100万円-65万円=所得35万円

そして、この2つを合計します。

年金所得「0円」+給与所得「35万円」=所得の合計35万円

所得の合計35万円≦38万円

というわけで、条件を満たすため、扶養控除の対象となります。

「扶養控除申告書」の「所得の見積額」には、計算された「35万円」と記載します。

h29扶養控除申告書6

年金収入と給与収入がある場合には、このように、それぞれ「差し引き」して、合計した金額が38万円以下がどうかで判定します。

逆に言えば、

  1. 65歳未満で年金収入が108万円を超える人は対象外
  2. 65歳以上で年金収入が158万円を超える人は対象外
  3. 給与収入が103万円を超える人は対象外
  4. 年金収入(70万円または120万円控除後)と給与収入(65万円控除後)の合計額が38万円を超える人は対象外

となります。

扶養控除で節税できる金額は?

さて、親を扶養にして扶養控除を受けるといっても、3つのパターンに分かれます。

パターン1: 老人扶養親族(同居老親等)

平成29年分では、昭和23年1月1日以前生まれ(70歳以上)の両親や祖父母を扶養している場合で、かつ、「同居」しているときに、「58万円」の控除ができます。

所得税・住民税を合わせてざっくりいうと、8万円~10万円の節税ができます。

◎「平成29年分 扶養控除等(異動)申告書」の記載例

h29扶養控除申告書3

なお、同居しているかどうかは住民票に名前が書いてあるかどうかというよりも、「実態」で判断されます。

次のように同居しているか微妙な場合でも、認めてくれる場合があります。

国税庁:「同居」の範囲(長期間入院している場合)

【照会要旨】

同居老親等の「同居」については、病気の治療のため入院していることにより所得者等と別居している場合であっても、同居に該当すると聞きましたが、1年以上といった長期入院の場合にも同居に該当しますか。

【回答要旨】

病気の治療のための入院である限り、その期間が結果として1年以上といった長期にわたるような場合であっても、同居に該当するものとして取り扱って差し支えありません。

ただし、老人ホームなどへ入所している場合には、その老人ホームが居所となり、同居しているとはいえません。

例えば、最近、同居しはじめたものの、まだ手続きが遅れて親の住民票を移していないとしても、実際に「同居」しているのであれば、同居老親と言えるでしょう。

逆に、本当は同居していないのに、同居していると見せかけるために住民票を移すような行為は・・・ただの脱税ですよね?

パターン2: 老人扶養親族(同居老親等以外)

パターン1と異なり、同居していない場合が該当し、「48万円」の控除ができます。

所得税・住民税を合わせてざっくりいうと、7万円~9万円の節税ができます。

◎「平成29年分 扶養控除等(異動)申告書」の記載例

h29扶養控除申告書4

「老人扶養親族」には該当しますが、同居ではないため、「その他」に〇をつけます。

なお、病気の治療のために入院していることで別居している場合は、その期間が結果として1年以上といった長期にわたるような場合であっても、同居に該当するものとして取り扱って差し支えないとされています。

ただし、老人ホーム等へ入所している場合には、同居しているとはいえません。

パターン3:一般の控除対象扶養親族

パターン1・2以外の場合ですので、平成29年分では昭和23年1月2日以後生まれの親や祖父母などを扶養している場合に、「38万円」の控除ができます。

所得税・住民税を合わせてざっくりいうと、5万円~7万円の節税ができます。

◎「平成29年分 扶養控除等(異動)申告書」の記載例

h29扶養控除申告書5

【注意1】兄弟で母親を扶養することはできない。

当たり前といえば当たり前なのですが、「兄」も「弟」もそれぞれ別居している「母親」に仕送りをしているとしても、扶養控除を兄も弟も使おうというのはできません。

国税庁:兄弟で扶養している場合の扶養控除

Q5
郷里にいる母の生活費を兄弟で送金している場合、兄弟のうちだれが母を扶養控除の対象とすることとなりますか。

A5
兄弟のうち、だれか1人だけが扶養控除の対象とすることができます

したがって、たとえ兄弟が均等に送金している場合であっても、兄弟がそれぞれ重複して控除の対象とすることはできません。

あくまで、兄と弟のどちらか1人だけですよ、ってことですね。

【注意2】障害者控除に該当するかどうかもチェック!

障害者控除の対象になる可能性もあります。

この場合は、さらに扶養控除申告書の「C 障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生」の欄に記載する必要があるので、ご注意ください。

h29扶養控除申告書03

扶養控除申告書の書き方については、平成29年分と平成30年分で異なります。

今回は平成29年分を説明していますが、平成30年分についても注意点があるので、それぞれの記事も参考にしてみてください。障害者控除の書き方についても説明しています。

「平成29年分 扶養控除申告書」の具体的な書き方を徹底解説

「平成30年分 扶養控除申告書」の具体的な書き方を徹底解説

その他の年末調整の情報については下記のまとめページをご覧ください。

⇒ 平成29年分(2017年分)わかりやすい年末調整のしかた

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