毎月もらう給料からは社会保険料が天引きされます。
社会保険料とは、次の5種類が該当します。
- 健康保険料
- 介護保険料(40歳以上のみ天引き)
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 労災保険料(天引きなし)
給与明細を見ると「税金よりも社会保険料の方が多く取られてる!」と思うかもしれません。
ざっくり言うと給料の約15%相当が社会保険料になります。
この記事では給料から天引きされる社会保険料の計算方法と計算ツールについてご紹介します。
とにかく計算ツールだけ知りたい方は次のサイトをご覧ください。
パートやアルバイトで社会保険の対象になるかどうかは次の記事をお読みください。
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もくじ
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給料から天引きされる社会保険料はいくら?
給料から天引きされる社会保険料の種類は次のとおりです。
種類 | 40歳未満 | 40歳以上 65歳未満 |
給料に 対して |
健康保険料 | ○ | ○ | 約5% |
介護保険料 | ― | ○ | 約0.8% |
厚生年金保険料 | ○ | ○ | 約9% |
雇用保険料 | ○ | ○ | 約0.3% |
ざっくり言うと給料の約15%相当くらいになります。
この割合は毎年少しずつ変わります。
例えば月20万円が給料なら約3万円、月30万円なら約4.5万円くらいです。
なお、社会保険には他にも「労災保険」がありますが、労災保険は全額が会社負担のため給料から天引きされません。
健康保険料・介護保険料はいくら?
協会けんぽと組合健保
まずは「健康保険証」を見て自分がどの健康保険に加入しているか確認しましょう。
協会けんぽと組合健保の2種類があります。
- 協会けんぽ(全国健康保険協会):主に中小企業向けで都道府県が運営
- 組合健保:主に大企業向けで自分たちで運営
▼協会けんぽの健康保険証
健康保険証では「保険者名称」を見てください。
「全国健康保険協会東京支部」のように「各都道府県名+支部」となっています。
自分が住んでいる都道府県ではなく会社の所在地がある都道府県になっているはずです。
事業所が別々の都道府県にある場合は、本社ではなく事業所のある都道府県が支部になる事もあります。
各都道府県支部によって保険料率が変わるため、今回は「協会けんぽ」で会社が「東京都」にある場合で計算方法を説明します。
(参考)組合健保の場合
トヨタ自動車のような大企業では「トヨタ自動車健康保険組合」といった「○○健康保険組合」が健康保険を運営しています。
保険料は3%~13%の範囲内で健康保険組合が独自に決めることができ、協会けんぽよりも負担が少ない場合が多いです。
詳細は自分が加入している健康保険組合にご確認ください。
健康保険組合のホームページに保険料の計算方法や保険料率が掲載されている場合もあります。
協会けんぽの保険料額表
協会けんぽの公式サイトで会社の所在地がある都道府県(※)を選びます。
※先ほど確認した保険者名称の「○○支部」に書かれている都道府県です。自分が住んでいる都道府県ではありません。
下記のような表が出てきて、簡単に健康保険料・厚生年金保険料が分かります。
標準報酬月額とは?
表の左にある標準報酬月額とは「給料」を区切りの良い幅(等級)で区分したものです。
この「給料」は4・5・6月の3か月分の給料の平均をもとにし、給料が大きく変動しない限りその年の9月から翌年8月まで固定されます。
「4~6月はあまり残業をしない方が良い」と言われるのは、社会保険料の計算のもとになるからです。
また、通勤手当、家族手当、住宅手当なども含む点に注意しましょう。
同じ給料をもらっていても「遠方の人」は通勤手当が増える分だけ社会保険料が高くなるからです。
なお、社会保険料が増える分だけ「将来もらう年金」も増えるので必ずしも損になるとは限りません。
(例)東京都
例えば、給料と通勤手当などを合計した月給の3か月平均が「156,000円」だとします。
表では155,000円~165,000円の範囲に該当し、標準報酬月額は160,000円(健康保険:等級13)になります。
介護保険料なし(40歳未満)
真ん中の「全国健康保険協会管掌健康保険料」の「介護保険第2号被保険者に該当しない場合」の欄を見ます。
該当する標準報酬月額の区分から右の折半額を見ることで自分が負担する健康保険料の金額が分かります。
例えば標準報酬月額160,000円(健康保険:等級13)を右に見ていくと折半額は7,920円です。
※小数点以下の端数がある場合は50銭以下「切捨て」、50銭超「切上げ」です。
※「全額」というのは会社負担分も合わせた金額なので天引きされる金額ではありません。
介護保険料あり(40歳以上)
真ん中の「全国健康保険協会管掌健康保険料」の「介護保険第2号被保険者に該当する場合」の欄を見ます。
該当する標準報酬月額の区分から右の折半額を見ることで自分が負担する健康保険料の金額が分かります。
例えば標準報酬月額160,000円(健康保険:等級13)を右に見ていくと折半額は9,304円です。
※小数点以下の端数がある場合は50銭以下「切捨て」、50銭超「切上げ」です。
介護保険料がある分だけ負担が増えていることが分かります。
厚生年金保険料はいくら?
厚生年金保険料も同じ表を見て計算することができます。
1番右の「厚生年金保険料」の欄を利用します(協会けんぽの例)。
こちらも健康保険と同じ標準報酬月額をもとに計算します。
例えば標準報酬月額160,000円(厚生年金保険料:等級10)を右に見ていくと折半額は14,640円です。
※平成29年9月以降、厚生年金保険料率は18.30%(従業員負担9.15%)で固定されています。
以上から標準報酬月額160,000円の場合の天引きされる社会保険料が計算できます。
- 介護保険料なし:健康保険料7,920円+厚生年金保険料14,640円=22,560円
- 介護保険料あり:健康保険料9,304円+厚生年金保険料14,640円=23,944円
健康・介護・厚生年金保険料の計算ツール
ここまでで「表」を見て保険料額を出す方法をご紹介しましたが、「計算ツール」を使えば簡単に計算できます。
いずれの計算ツールも協会けんぽによる計算を前提にしています。
その中から下記のサイトをご紹介します。
- 会社の所在地(都道府県)
- 標準報酬月額
- 年齢
を選択・入力して「保険料額計算」ボタンをクリックするだけです。
このうち標準報酬月額は4・5・6月の3か月分の給料の平均を入力します。
月の給料がほとんど変わらないのであれば先月分の給料の金額(通勤手当、家族手当、住宅手当などを含む)を入力してみてください。
計算結果は下記のとおりです。
画像出典:社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料)の自動計算ツール
協会けんぽの表で確認した「健康保険料(40歳未満)7,920円」「厚生年金保険料14,640円」と一致していますね。
雇用保険料はいくら?
健康保険料・厚生年金保険料は「4・5・6月の給料=標準報酬月額」をもとに1年間固定して計算されます。
一方、雇用保険料は「毎月の給料」をもとに計算するので変動します。
具体的には毎月の給料に0.3%をかけて計算します。
例えば月の給料(通勤手当含む)が156,000円の場合には、
156,000円×0.3%=468円
になります。
雇用保険料の計算ツール
雇用保険料も計算ツールを使うと簡単に計算できます。
画像出典:雇用保険料の計算
「総支給額」に毎月の給料の金額を入力するだけです。
「従業員負担」を見ると468円となっています。
これが給料から天引きされる雇用保険料です。
天引きされる社会保険料の合計は?
ここまで計算した結果をまとめると、給料(標準報酬月額も同額)が156,000円の場合には次のように15%前後が社会保険料になります。
<介護保険料なし>
- 健康保険料:7,920円
- 厚生年金保険料:14,640円
- 雇用保険料:468円
- 合計:23,028円(約14.7%相当)
<介護保険料あり>
- 健康保険料+介護保険料:9,304円
- 厚生年金保険料:14,640円
- 雇用保険料:468円
- 合計:24,412円(約15.6%相当)
(参考)
1年間に実際に支払った社会保険料は源泉徴収票で確認できます。
※小規模企業共済等掛金控除の対象になる掛金がある場合は合算されています。
まとめ
この記事では給料から天引きされる社会保険料の計算方法についてご紹介しました。
給料の約15%を占めるため、税金よりもたくさん支払っているかもしれませんが、このような仕組みで計算されています。
また、社会保険料の節約方法については下記の記事を合わせてお読みください。