源泉徴収票のわかりやすい見方とチェックポイント【2019年版】
この記事では年末調整でもらう源泉徴収票の見方とチェックポイントをわかりやすく解説しています。
いろいろな金額が書かれていますが、内容が間違っていると損をするのは自分です。
「年収」や「税金」がどこに書いてあるのか、「配偶者控除」や「扶養控除」で節税できているのか確認しましょう。
パートやアルバイトで年収103万円以下で働く場合についてはより簡単に書いている記事があるので下記を参考にしてみてください。
※医療費控除や住宅ローン控除で確定申告をする方は次のまとめ記事もどうぞ。
※固定資産税や自動車税の節税方法は次の記事をお読みください。
関連 nanacoとクレジットカードで税金や公共料金を節約するために気をつけること
目次(もくじ)
- 1.支払金額(年収)
- 2.給与所得控除後の金額(所得)
- 3.所得控除の額の合計額
- 4.源泉徴収税額
- 5.(源泉)控除対象配偶者の有無等
- 6.配偶者(特別)控除の額
- 7.控除対象扶養親族の数
- 8.16歳未満扶養親族の数
- 9.障害者の数
- 10.非居住者である親族の数
- 11. 社会保険料等の金額
- 12. 生命保険料の控除額
- 13. 地震保険料の控除額
- 14. 住宅借入金等特別控除の額
- 15. 摘要欄
- 16. 生命保険料の金額の内訳
- 17. 住宅借入金等特別控除の額の内訳
- 18. (源泉・特別)控除対象配偶者、配偶者の合計所得
- 19. 国民年金保険料等の金額
- 20. 旧長期損害保険料の金額
- 21. 控除対象扶養親族
- 22. 16歳未満の扶養親族
- 23. 未成年者から中途就・退職の欄
- まとめ
1.支払金額(年収)
平成30年中に勤め先があなたに対して支払った給料・賞与(ボーナス)の合計額です。
税金や社会保険料が差し引かれる前の年収(税込みの年収)です。
なお、この支払金額には通勤手当や退職金は含まれません。
関連 手取り年収は税込年収の約8割!源泉徴収票と給料明細から簡単に計算する方法
□平成30年中の給料明細の「課税支給額(課税対象金額)」の合計額と一致しますか?
□中途入社の場合、前職分の年収も合算されていますか?
2.給与所得控除後の金額(所得)
給与所得控除とは、給料をもらっている人に認められる必要経費のことです。
支払金額から給与所得控除を引いた金額が給与所得控除後の金額です。
(支払金額(年収))-(給与所得控除額)=(給与所得控除後の金額)
会社員の「所得」はこの給与所得控除後の金額が該当します。
□「給与所得控除額」を次の計算式で計算してみましょう。
<給与所得控除額の計算式>
給料年収 | 給与所得控除額 | |
---|---|---|
180万円以下 | 年収×40% 65万円未満は65万円 |
|
180万円超 | 360万円以下 | 年収×30%+18万円 |
360万円超 | 660万円以下 | 年収×20%+54万円 |
660万円超 | 1,000万円以下 | 年収×10%+120万円 |
1,000万円超 | 220万円(上限) |
実は年収660万円未満の場合には「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」という表を利用します。
そのため上記の計算式で計算した金額と少しズレますが、ほぼ同じなら特に問題ありません。
もし全く異なる金額になった場合は、計算が何か誤っている可能性があるので勤め先にご確認ください。
3.所得控除の額の合計額
年末調整で行える以下のような「所得控除」の合計です。
- 社会保険料控除:支払った金額全額
- 小規模企業共済等掛金控除:支払った金額全額
- 生命保険料控除:最高12万円
- 地震保険料控除:最高5万円
- 寡婦(寡夫)控除:27・35万円
- 勤労学生控除:27万円
- 障害者控除:27・40・75万円
- 配偶者控除:最大38万円(70歳以上は最大48万円)
- 配偶者特別控除:最大38万円
- 扶養控除:38・48・58・63万円
- 基礎控除:38万円
なお、誰でも基礎控除38万円は対象になるので38万円以上の金額になります。
4.源泉徴収税額
源泉徴収税額は年末調整で算出された「本来払うべき所得税」です。
例えば、
- 1年間で源泉徴収した所得税=12万円
- 本来その年に負担すべき所得税=11万円
だとすると、1万円だけ多めに払い過ぎたことになります。
関連 年末調整の還付金がもらえるタイミングと還付されないときの理由
「0円」になる場合は、次の記事をお読みください。
また、年末調整を行っていない場合(=年調未済)には毎月の天引きされた所得税の合計額がそのまま記載されます。
5.(源泉)控除対象配偶者の有無等
平成30年分から変更された箇所です。
5-1. 年末調整をした場合
控除対象配偶者がいる場合「有」の欄に「○」や「*」のマークが付きます。
配偶者控除を受けるために「平成30年分配偶者控除等申告書」を提出していればマークが付きます。
5-2. 年末調整をしない場合
年末調整をしない場合も源泉控除対象配偶者がいる場合にも「有」の欄に「○」や「*」のマークが付きます。
「平成30年分扶養控除申告書」の源泉控除対象配偶者の欄に記載している場合が該当します。
5-3. 配偶者が70歳以上の場合
配偶者の年齢が70歳以上の場合には、老人控除対象配偶者に該当するため「老人」の欄に「○」や「*」のマークが付きます。
5-4. 配偶者控除がされていない場合
確定申告をする方法は次の記事をお読みください。
□共働きでも産休・育休中は配偶者控除・配偶者特別控除ができるケースがありますが確認しましたか?
6.配偶者(特別)控除の額
平成29年分までは「配偶者特別控除」の場合だけ記載していました。
平成30年分からは「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の2つの場合に記載するようになり、名前が変わりました。
□「平成30年分配偶者控除等申告書」の右下の「配偶者控除の額」または「配偶者特別控除の額」と一致しているか確認しましょう。
関連 配偶者控除と配偶者特別控除の違いとは?いくら節税になるかわかりやすく解説
7.控除対象扶養親族の数
配偶者以外の家族を扶養している場合に控除対象扶養親族の人数が
- 特定(特定扶養親族)
- 老人(老人扶養親族)
- その他(一般の控除対象扶養親族)
に分けてそれぞれ記載されています。
□「平成30年分扶養控除等申告書」で書いた情報と一致しているか確認しましょう。
8.16歳未満扶養親族の数
16歳未満の扶養親族の人数が記載されています。
関連 子どもは誰の扶養にする?16歳未満の扶養親族と住民税の関係
□「平成30年分扶養控除等申告書」で書いた情報と一致しているか確認しましょう。
9.障害者の数
家族に障がいを持つ人がいる場合に
- 特別・左側(内)(同居特別障害者)
- 特別・右側(特別障がい者)
- その他(一般の障害者)
に分けてそれぞれ人数が記載されています。
□「平成30年分扶養控除等申告書」で書いた情報と一致しているか確認しましょう。
10.非居住者である親族の数
扶養対象の配偶者や親族のうちに海外に住んでいる人(非居住者)がいる場合に人数が記載されています。
家族が日本に住んでいればこの欄は空欄になっています。
11. 社会保険料等の金額
社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除の対象になる金額の合計額です。
<社会保険料控除>
- 毎月天引きされている社会保険料(例:厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料)
- 本人・家族の国民年金保険料・国民健康保険料
<小規模企業共済等掛金控除>
- 企業型年金加入者掛金
- 個人型年金加入者掛金(iDeCo)
- 心身障害者扶養共済制度に基づく掛金
□「平成30年分保険料控除申告書」で書いた情報と一致しているか確認しましょう。
12. 生命保険料の控除額
生命保険料控除の対象金額が記載されています。
関連 生命保険料控除とは?一般・介護医療・個人年金保険料の違いと注意点
□「平成30年分保険料控除申告書」の計算結果と一致しているか確認しましょう。
13. 地震保険料の控除額
地震保険料控除の対象金額が記載されています。
関連 地震保険料控除とは?年末調整書類の書き方の具体例とよくある9つの疑問
□「平成30年分保険料控除申告書」の計算結果と一致しているか確認しましょう。
14. 住宅借入金等特別控除の額
- 年末調整の際に「住宅借入金等特別控除申告書」に基づいて計算した住宅借入金等特別控除の額
- 住宅ローン控除『前』の所得税
のいずれか少ない金額が記載されます。
<例1>
- 住宅ローンの年末残高の1%相当:20万円
- 住宅ローン控除『前』の所得税:15万円
の場合は「15万円」が記載されます。
※この場合は「源泉徴収税額」も「0円」になります。
※所得税から引ききれない住宅ローン控除の金額は「住民税」から控除されます。
<例2>
- 住宅ローンの年末残高の1%相当:12万円
- 住宅ローン控除『前』の所得税:15万円
の場合は「12万円」が記載されます。
□「平成30年分住宅借入金等特別控除申告書」で書いた情報と一致しているか確認しましょう。
15. 摘要欄
摘要欄には次の情報が記載されていることがあります。
- 転職した場合に転職前の会社からもらった給料の情報
- 控除対象扶養親族又は16歳未満の扶養親族が5人以上いる場合の5人目以降の氏名
なお、年末調整が行われていない場合は「年調未済」と記載されていることがあります。
16. 生命保険料の金額の内訳
- 新生命保険料の金額
- 旧生命保険料の金額
- 介護医療保険料の金額
- 新個人年金保険料の金額
- 旧個人年金保険料の金額
各保険料の実際に支払った金額が記載されています。
関連 生命保険料控除とは?
□「平成30年分保険料控除申告書」で書いた情報と一致しているか確認しましょう。
17. 住宅借入金等特別控除の額の内訳
(1) 住宅借入金等特別控除適用数
ふつう適用数は「1」です。
「住宅ローン控除」を受けている住宅に加え「増改築に対する住宅ローン控除」も受ける場合は適用数が「2」になります。
(2) 住宅借入金等特別控除可能額
年末調整で「住宅借入金等特別控除申告書」に基づいて計算した住宅借入金等特別控除の額が「住宅ローン控除『前』の所得税」よりも大きい場合に記載されます。
なお、所得税から引ききれない住宅ローン控除の金額は「住民税」から控除されます。
(3) 居住開始年月日
家に居住を開始した年月日が記載されます。
(4) 住宅借入金等特別控除区分
適用を受けている住宅ローン控除の区分が記載されます。
- 住・・・一般の住宅ローン控除
- 認・・・認定住宅の住宅ローン控除
- 増・・・特定増改築等の住宅ローン控除
- 震・・・東日本大震災による特例を利用する場合
さらに消費税率8%で購入している場合(特定取得)には「住(特)」のように「(特)」が付きます。
18. (源泉・特別)控除対象配偶者、配偶者の合計所得
配偶者控除・配偶者特別控除の対象となる配偶者の名前が記載されます。
※非居住者の場合は区分の欄に「○」が付きます。
19. 国民年金保険料等の金額
- 国民年金保険料
- 国民年金基金の加入員として負担する掛金
がある場合に記載されます。
20. 旧長期損害保険料の金額
地震保険料控除のうち旧長期損害保険料の金額がある場合に記載されます。
関連 地震保険料控除とは?年末調整書類の書き方の具体例とよくある9つの疑問
21. 控除対象扶養親族
控除対象扶養親族がいる場合に氏名が記載されます。
※非居住者の場合は区分の欄に「○」が付きます。
22. 16歳未満の扶養親族
16歳未満の扶養親族がいる場合に氏名が記載されます。
※非居住者の場合は区分の欄に「○」が付きます。
23. 未成年者から中途就・退職の欄
下記のいずれかに該当する場合に各欄に「○」や「*」が付きます。
「中途就・退職」はその年に入社した年月日や退社した年月日が記載されます。
まとめ
源泉徴収票の見方について解説しました。
内容に不明な点がある場合には、まず勤め先に確認をしましょう。
会社の年末調整が正しいとは限りません。
もし間違っている場合には、
- 1月末まで:再度年末調整をしてもらえる
- 2月以降:自分で確定申告をして正しい状態にする
ことになります。
確定申告については次の記事も参考にしてみてください。
関連 源泉徴収票の源泉徴収税額が0円になる理由と所得税・住民税の申告の必要性
参考:国税庁「給与所得の源泉徴収票」