2017/08/1316 Shares

配偶者控除と配偶者特別控除の違いは?いくら節税できるかわかりやすく解説

この記事では、配偶者がいる場合に税金を減らすことができる「配偶者控除」と「配偶者特別控除」について、その違いといくら節税できるかについてわかりやすく説明しています。

控除額1

産休中・育児休業中の方は、次の記事の方がより具体的になっています。

関連 共働きでも配偶者控除は使えるの?産休・育児休業中は節税のチャンス!

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目次

「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の違いは?

そもそも「配偶者」とは?

配偶者控除も配偶者特別控除も「配偶者」とあるように、一定の条件を満たした「配偶者」がいる場合に使うことができる節税策です。

「婚姻届」を出してますか?

配偶者は、結婚していることが前提になります。

「内縁関係」や「事実婚」の場合には、婚姻関係がないため、残念ながらパートナーを配偶者控除の対象にすることができません。

つまり、「婚姻届」を役所に提出して、法律的に夫婦となっていることが大前提となります。

「逃げ恥」の契約結婚では、配偶者控除は受けられない!

2016年冬ドラマの『逃げるは恥だが役に立つ』(TBSテレビ)では、契約結婚という形で同居する2人の姿が描かれていました。

この中で、主人公の新垣結衣さん演じるみくりさんが役所に提出したのは、婚姻届ではなく「住民票(妻(未届))」でした。

婚姻届は出さずに同居だけしている状態で、法律上、結婚したとは言えません。

当然、星野源さん演じる平匡(ひらまさ)さんは、みくりさんを配偶者控除の対象にすることはできません。

実はこの点は、事実婚でも対象にできる「社会保険の扶養」と大きく異なる点です。

「専業主夫」でも配偶者控除の対象にできる?

夫から見た「妻」、または、妻から見た「夫」が配偶者です。

したがって、夫が妻を配偶者控除の対象にすることはもちろん、逆に、妻が夫を配偶者控除の対象にすることもできます。

例えば、夫がリストラやうつ病で無職になって、配偶者控除を受けている方も実際にいます(知らないで受けていない方もときどきいてもったいないです!)。

ただし、このブログの読者の方は女性が多く、「夫」が配偶者控除を受けている場合が多いので、その前提で説明していきます。

なぜ「扶養控除」とは呼ばないの?

扶養控除から「独立」した配偶者控除

実は最初にできた頃は、配偶者も含めて扶養している親族1人あたりについて「扶養控除」として控除していました。

当初は、配偶者は、1人目の扶養している親族だったのです。

しかし、民法では、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」という義務があって、一方的に扶養している関係の他の親族と事情が異なる(例:親が子を扶養、親が祖父母を扶養)し、なんか扶養とは違うよね、ということで、今から55年前に「配偶者控除」として扶養控除から独立しました。

そのため、現在では「私の妻の分について扶養控除が使えますか?」という質問はおかしいことになります。

「パート問題」でできた配偶者特別控除

さらに、高度経済成長期以後、専業主婦が増える中、妻がパートをすればするほど夫の方で配偶者控除が使えなくなって、かえって世帯全体の手取りが減って不公平だというパート問題が起こり、今から30年前に「配偶者特別控除」というもう1つの控除ができました。

 

「103万円の壁」は配偶者控除、「141万円の壁」は配偶者特別控除

配偶者控除と配偶者特別控除は名前が似ていますが、使うための条件がそれぞれ異なります。

いわゆる「103万円の壁」と関係があるのが「配偶者控除」です。

これは、妻の年収が103万円を超えると、夫で配偶者控除ができなくなるからです。

また、あまりなじみがないかもしれませんが、「141万円の壁」と関係があるのが「配偶者特別控除」です。

これは、妻の年収が103万円を超えると、夫で配偶者控除ができなくなるからです。

配偶者控除と配偶者特別控除は同時に使えないの?

残念ながら、配偶者控除と配偶者特別控除は、同時に使うことができません。

なんだ、控除がダブルになったらお得なのに、とがっかりされるかもしれませんが、ざっくり言えば、

  • 配偶者の年収0円~103万円以下:配偶者控除
  • 配偶者の年収103万円超~141万円未満:配偶者特別控除

となります。

これを図解すると次のようになります。

控除額1

「配偶者の年収」によって、使える制度が違うのですね。

それでは、それぞれについて詳しい条件といくら節税になるのかを見ていきましょう。

「配偶者控除」とは?その条件は?

配偶者控除の条件は、次の4つです。

条件1:12月31日時点で夫婦であること

最初に夫婦が条件と書きましたが、実は、「いつのタイミングで夫婦なのか?」が大事となります。

結論から言えば、12月31日時点で夫婦である必要があります。

婚姻届を役所に提出するタイミングにご注意ください(結婚式が異なる時期のときは特に)。

逆に、離婚届を提出して法律上夫婦ではなくなる場合は、12月31日時点で夫婦ではないので、配偶者控除の対象外となります。

結婚は年末離婚は年始にとやった方が税金的には有利になる理由がここにあります。

ただし、例外的に、年の途中で配偶者が亡くなった時には、その亡くなった時点で判定します。

亡くなったから配偶者控除は適用できないという間違った年末調整をする会社の担当者もいるので、源泉徴収票が来たら、自分で確認しましょう(税理士ですら間違えることがあります)。

条件2:夫婦で「生計を一(せいけいをいつ)」にしていること

生計を一にしているとは、ざっくり言えば、「同じサイフ」で生活している状態をいいます。

夫婦共働きでサイフは別だとしても生活するために必要に夫婦でお金を出し合っているのであればやはり生計は一つなのでこの条件はクリアしています。

また、同居していることは条件ではないので、例えば、単身赴任で旦那様が遠くにいて別居中だとしても生活費は送金してもらっていたり、週末やお盆休み・年末年始などには帰宅して一緒に住んだりしているのであれば生計を一にしていることになります。

条件3:給与年収103万円以下(所得38万円以下)であること

配偶者がいたら、必ず配偶者控除を受けることができるわけではありません。

【専業主婦の場合】

妻が専業主婦で収入が何もなければ必ず受けることができます。

【パート・アルバイトの場合】

妻が働いている場合には、年収によって使えるかどうかは変わってきます。

その基準が「103万円の壁」でしたね。

正確に言えば、「所得38万円以下」という基準があります。

給与の場合は、パートやアルバイトの年収から「65万円(=給与所得控除)」を引いた金額になります。

そうすると、103万円の場合、65万円を引くと38万円です。

104万円の場合、65万円を引くと39万円になってしまい、所得38万円を超えてしまって使えません。

※通勤のための交通費は、税金の計算の際には含めません。

※生命保険料控除なども無視して考えます。

関連 配偶者控除の103万円の壁は生命保険料控除を考慮してはダメ!

【ネットビジネスの場合】

最近はインターネットビジネスでお仕事をしている方も増えてきましたが、給与ではないため、収入から必要経費を引いた金額が38万円以下かどうかで判定します。

したがって、インターネットビジネスで年間80万円稼いで、必要経費が10万円の場合は、80万円-10万円=70万円で、38万円を超えてしまうので、配偶者控除が使えない点にご注意ください。

【年金の場合】

また、年金の場合や年金とパート収入がある場合は計算が異なるため、次の記事を参考にしてみてください。

関連 年金とパート収入がある場合も配偶者控除(配偶者特別控除)はできる?

条件4:事業専従者として給与をもらっていないこと

これは関係ないと思いますが、例えば夫が自営業で、妻が夫から給料をもらっている場合には、配偶者控除が使えない仕組みとなっています。

やっぱり配偶者控除で重要なのは、「年収」!

いかがでしたでしょうか。

一般の家庭では、条件1の「「12月31日時点」で夫婦であること」、条件2の「夫婦で「生計を一(せいけいをいつ)」にしていること」と条件4の「事業専従者として給与をもらっていないこと」は、あまり悩むことはないですね。

となると、気をつけないといけないのは、条件3の「 給与年収103万円以下(所得38万円以下)であること」ですね。

産休中・育児休業中だけ年収103万円以下になる人もたくさんいるので、次の記事を参考にしてみてください。

関連 共働きでも配偶者控除は使えるの?産休・育児休業中は節税のチャンス!

なお、年末調整のときには、「所得の見積額」に書く金額に注意しましょう。

関連 「所得の見積額」に年収を書くのはバツ!正しい計算方法と書き方をご紹介

「配偶者控除」の節税額は5万円~11万円くらい!

さて、配偶者控除の条件がわかったところで気になるのは、節税になる金額ですね。

配偶者控除が使えると、所得税の計算で「38万円」、住民税の計算で「33万円」が控除できます。

「え!? 38万円もお得なの!?」

と思うかもしれませんが、残念ながら38万円(33万円)に対して「所得税率(約5%~最高45%)」「住民税率(一律10%)」をかけた金額が節税になります。

結論だけ言えば、「配偶者控除を受ける人」の年収に応じて、だいたい、次のような金額が節税額の目安になります。

  • 年収200万円~400万円:約5万2千円
  • 年収500万円~600万円: 約7万1千円
  • 年収700万円~800万円: 約10万9千円

例えば、夫の年収が400万円、妻の年収が100万円なら、夫は配偶者控除によって、約5万2千円の節税ができるってことですね。

計算過程の目安は次のとおりです。

【年収200万円~400万円の場合】

38万円×約5%=約1万9千円(所得税)

33万円×10%=3万3千円(住民税)

計 約5万2千円

【年収500万円~600万円の場合】

38万円×約10%=約3万8千円(所得税)

33万円×10%=3万3千円(住民税)

計 約7万1千円

【年収700万円~800万円】

38万円×約20%=約7万6千円(所得税)

33万円×10%=3万3千円(住民税)

計 約10万9千円

なお、他に医療費控除や生命保険料控除をたくさん受けていると、その分だけ節税できる金額が減る可能性はありますが、あくまでざっくりと5万円から11万円くらいの節税ができるというわけです。

「配偶者特別控除」とは?その条件は?

次は、配偶者特別控除です。

配偶者特別控除は「パート不公平問題」といって、妻がパートとして年収103万円(現在)を超えて働いたら配偶者控除が夫の方で使えなくなることから、「世帯全体で見ると手取りが減った!」という問題をなんとかするために生まれたものです。

図で確認しましょう。

もし、配偶者特別控除がなかったら、次のようになります。

控除額2

これだと、103万円を1円でも超えたらアウト!だと思ってしまう人が多いですよね。

配偶者特別控除は、壁・・・というか「崖(がけ)」から落ちないようにするために階段が設けられているといえます。

控除額1

配偶者特別控除の条件は、次の5つです。

条件1:12月31日時点で夫婦であること

これは先ほどの配偶者控除と同じですね。

条件2:夫婦で「生計を一(せいけいをいつ)」にしていること

こちらも先ほどの配偶者控除と同じですね。

条件3:給与年収141万円未満(所得76万円未満)であること

配偶者控除では、給与年収103万円以下(所得38万円以下)であることが条件でしたが、配偶者特別控除はパート不公平問題を解決するために、ややゆるい条件となっています。

※妻の給与年収が103万円を超えると妻自身が所得税を支払う対象になります。

条件4:事業専従者として給与をもらっていないこと

こちらも先ほどの配偶者控除と同じですね。

条件5:「控除を受ける人」が給与年収1,220万円以下であること

例えば、夫が「控除を受ける人」になるときは、夫の給与年収1,220万円(合計所得金額1,000万円)を超えると、妻の給与年収が103万円超141万円以下だとしても、配偶者特別控除は使えません。

控除額2

「あなたはたくさん給料もらってるから、控除しなくていいでしょ」という制度になっているんですね。

この条件5は、配偶者控除にはない条件です。

このため、夫の給与年収が1,220万円を超える場合には、中途半端に年収104万円で働くと、配偶者控除も配偶者特別控除も両方とも使えなくてもったいないですね。

・・・まあ、夫がそれだけ給与をもらっていたら、ですけどね。

「配偶者特別控除」の節税額は5万円~11万円かそれ以下!

配偶者控除は一律で所得税で「38万円」、住民税で「33万円」を控除できますが、配偶者特別控除は収入(正確には所得)に応じて控除できる金額が階段状に減っていきます。

  • 給与年収103万円超~105万円未満:控除額38万円
  • 105万円以上~110万円未満:控除額36万円
  • 110万円以上~115万円未満:控除額31万円
  • 115万円以上~120万円未満:控除額26万円
  • 120万円以上~125万円未満:控除額21万円
  • 125万円以上~130万円未満:控除額16万円
  • 130万円以上~135万円未満:控除額11万円
  • 135万円以上~140万円未満:控除額6万円
  • 140万円以上~141万円未満:控除額3万円

ちなみに、住民税も階段状に減っていきますが、説明が複雑になるので、省略します。

これを見て気づくのは、給与年収が103万円超105万円未満の場合、例えば、104万円のときには、控除額は配偶者控除と同じ38万円なのですね。

したがって、節税できる金額も、先ほどと同様に、大体、最大で5万円から11万円くらいの節税ができるというわけです。

そして、だんだん減っていくので、それより少ない金額ということになります。

年末調整のときにどうやって申請するの?

配偶者控除や配偶者特別控除は、「年末調整」で受けることができます。

勤め先から配布される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「控除対象配偶者」の欄に記載します。

扶養控除申告書

関連 ゼロからわかる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書き方

※「平成29年分」には秋頃に差し替えます。

また、「配偶者特別控除」については、さらに「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」にも記載をします。

配偶者特別控除1

関連 ゼロからわかる「給与所得者の配偶者特別控除申告書」の書き方

このように、配偶者控除と配偶者特別控除でやり方が異なるので、それぞれの記事を参考にしてみください。

確定申告のときにどうやって申請するの?

年末調整で受けらない場合は、最初から確定申告しか選択肢がない方は、確定申告書を利用して、配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができます。

簡単にできる確定申告書の作成方法は、下記の記事で公開しています。

関連 図解でわかる!配偶者控除の確定申告書の作成方法【平成28年版】

平成29年度税制改正で配偶者控除はどう変わる?

平成29年度税制改正で、配偶者控除と配偶者特別控除が見直されました。

来年の平成30年から配偶者控除と配偶者特別控除が大きく変わります。

変更点1:「新・配偶者控除」は夫の給与年収1,120万円以上の制限に注意!

配偶者控除は、103万円の壁は変わりませんが、追加条件として、「控除を受ける人」に年収の制限が加わります。

新配偶者控除1

今までは、「控除を受ける人」の年収に関係なく、一律38万円が控除されていましたが、新しい配偶者控除では、

  • 夫の年収1,120万円以下:控除額38万円
  • 夫の年収1,170万円以下:控除額26万円
  • 夫の年収1,220万円以下:控除額13万円
  • 夫の年収1,220万円超:0円(対象外)

となります。

したがって、年収が高い場合には、増税となります。

・・・まあ、それだけもらっていたらの話ですけどね!

関連 新・配偶者控除は年収1120万円超ならただの増税!増える負担と節税対策

変更点2:「新・配偶者特別控除」は年収150万円と201万円の壁に注意!

一方、配偶者特別控除は年収103万円超105万円未満の区分で「38万円」の控除ができますが、これが拡大されて、年収103万円超年収150万円未満まで「38万円」の控除ができるようになります。

これが新しく登場する「150万円の壁」です。

そして、150万円以上になっても年収201万円までは階段状に減っていきます。

これが141万円の壁の代わりに登場する「201万円の壁」です。

最後に:真の目的「配偶者手当の廃止」に備えよ!

さて、なぜ税制改正で配偶者控除を変えるのでしょうか?

真の目的の1つと言われているのが、公務員や企業の従業員に支給されている配偶者手当の廃止です。

これは、配偶者控除を参考にして、年収103万円以下なら手当を出すとなっていましたが、手当こそが働く意欲をそぐ「真の103万円の壁」と政府は考えています。

例えば、月2万円の手当なら年間24万円です。

103万円を1円でも超えたらもらえないとなれば、働くのがバカバカしくなる人もいるでしょう。

・・・しかし、一昨年にはトヨタ自動車が、昨年夏には国家公務員が配偶者手当廃止の方向性を打ち出しました(人事院勧告)。

そうすると、そのうち中堅企業、地方公務員にまで影響していきます。

時代は、配偶者手当の廃止に向かっています(代わりに子どもへの手当てを増やす方向へ)。

そうなると、妻が専業主婦や年収103万円以下で子どもがいない家庭は、配偶者手当の減少により、家計がピンチになることが予想されます。

だからこそ、「知は力なり」です。

税金の制度を少しでも知ることで、変わっていく時代を乗り越えていきましょう!

このブログが少しでも、そのお役に立てたら幸いです。

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