単身赴任の会社員や実家を離れて下宿している学生さんは
- 住民票の住所
- 単身赴任先や下宿先の住所
が異なることがあります。
住所が変わったとき、住民票を移すための転入届と転出届は提出が義務化されています(住民基本台帳法第22条:転入届)。
引越しをしたら14日以内に転入届を提出するのはこのためです。
もしウソの届出をしたり、理由なく届出をしない場合には5万円以下の罰金があります(住民基本台帳法第52条:罰則)
ただし、次のような場合には移さなくてもよいことになっています。
- 一時的な移住の場合
- 生活の拠点が変わらない場合
- 会社員:単身赴任の間、「家族がいる住所」に住民票がある
- 学生:ひとり暮らしをしている間、「実家の住所」に住民票がある
一時的に住んでいて、最終的には家族がいる住所や実家の住所に戻る予定なので
あえて住民票を移さないのはやむを得ない
ということでですね。
税金の1つ「住民税」は、住所がある自治体が税金をかけます。
勤め先やアルバイト先に対して「扶養控除申告書」という書類を書きます。
そのときに
- 住民票の住所(家族がいる住所・実家の住所)
- 実際に住んでいる住所
のどちらの住所を書けばよいのでしょうか?
住民税の課税の考え方からすると「実際に住んでいる住所」ですが、最終的には「扶養控除申告書」を提出する際に勤め先にご相談ください。
この記事では「住民票の住所」と「実際の住所」が異なる場合の住民税についてまとめました。
※年末調整のまとめ記事はこちらです。
もくじ
住民票の住所と異なる「実際の住所」で住民税が課税できる
住民税は、住民基本台帳(住民票)がある市町村が課税します。
しかし今回のように他の市町村にその人が実際に住んでいる場合もあります。
このときは
- 他の市町村の住民基本台帳(住民票)に記録されている人ということにして
- 実際に住んでいる住所で判断して住民税を課税していい
と法律に書かれています(地方税法第294条:市町村民税の納税義務者等)。
行政サービスは「実際の住所の場所」で受けている
というのも住民税は行政サービスを受けたことに対する代金です。
住民税は地域社会の費用について
住民がみんなで広く負担するための
「町内会費」
みたいなものです。
例えば単身赴任先や下宿先の市で「ゴミの回収」をしてもらうとします。
そのゴミの回収は一見すると無料で行われていますが、そこに住む住民が税金という形でみんなでお金を出し合って運営しています。
住民票があろうがなかろうが、住んでいる人には住んでいる市町村に会費を払ってもらうのは自然ですよね。
「1月1日時点に実際に住んでいる住所」を重視
例えば長野県中野市では、次のようなQ&Aがあります。
Q5.住民票を移さずに違う市区町村に暮らしている場合は?
質問1 私は中野市から住民票を移さないまま、昨年の8月からA市に住んで働いています。この場合住民税はどこに納めればよいのか。
回答 住民税はその年の1月1日に居住していた市区町村で課税することになっています。1月1日にA市で居住していたということであればA市で納めていただくことになります。
出典:長野県中野市
「住民票の住所」よりも「1月1日時点に実際に住んでいる住所」を重視していることが分かります。
市町村としては、自分の地域内に住んでいる人から税金を徴収したいのは当然といえます。
なお、年の途中で引越しすると、
「引越し前・引越し後の市町村から2重に請求されないの?」
と思われるかもしれません。
住民税は1つの市町村だけに対して支払うため、2重に請求されることはありません。
※タイミング的に2つの納付書が来ることがないとは言えませんが、その場合は必ず両方の市町村に確認して、一方だけ払いましょう。
最終的には勤め先にも確認を!
「じゃあ1月1日時点に実際に住んでいる住所を書けばいいのか」
といえば、実はそうでもありません。
勤め先によっては
- 「住民票の住所を書いてください」
- 「そもそも住民票を移してください」
と対応が異なる場合もあります。
そのため、最終的にはどの住所を書くのかについて
勤め先
に確認するのがポイントになります。
※年末調整の書類の書き方は、次の記事をお読みください。
関連 扶養控除申告書の書き方
※年末調整のまとめ記事はこちらです。
8 件のコメント
いきなり質問失礼します。
就職先から
社宅?寮?に住むことになるから住民票の住所は職場で提出して欲しい。入社や、退社の関係で住むところがすぐ変わる可能性がある、その都度住民票の住所を変えるのは手間になってしまうし、税金的な問題は、職場と住むところは市が同じだから問題ない
と言われました。
これは問題ないのでしょうか?
>ハヤカワさん
こんばんは。neronaです。
問題がないかと聞かれたら、記事にあるように「ウソの届出」をしてるので、何かあったときに困るのはご自身ですが…
===
もしウソの届出をしたり、理由なく届出をしない場合には5万円以下の罰金があります(住民基本台帳法第52条:罰則)
===
まあ、この罰則が適用される場合はあまりないような気もしますが、市町村からのお知らせなどは職場に届くのは郵便物の転送とかするんですかね。
初めて聞いた事例なので思いつくのはこのあたりです。
あまりお役に立てず申し訳ありません>_<
「5万円以下の罰金」は何処に支払う事になるのでしょう。
(住民基本台帳法第52条:罰則)という事は国の法律なので、国に罰金を支払うのでしょうか。?
>林さん
こんにちは。neronaです。
その次の第五十三条に「過料についての裁判は、簡易裁判所がする。」とあるので、市から簡易裁判所に連絡がいって、簡易裁判所から罰金の支払いの催促が来ることがあるみたいですね。
参考:
https://www.city.seki.lg.jp/faq/faq_detail.php?co=cat&frmId=36&frmCd=2-2-0-0-0
学生の一人暮らしで住民票の移動が任意になるには定期的に実家に帰省していること、卒業後は実家に帰る予定であることなどが必要ですが、具体的にどのくらいの頻度で帰省していれば良いのか、卒業後に帰る予定は実際にその通りに帰る必要があるのか教えてください。
>ウエダさん
こんにちは。neronaです。
残念ながら住民票自体のルールは
市町村ごとに決まっているかと思いますので、
市町村にご確認されることをおすすめします。
税金の取り扱いしかお役に立てず申し訳ありません。
ややこしい質問で申し訳ありませんが、今回ふるさと納税をしたのですが、私は単身赴任で住民票とは異なる市町村で働いており、住民税等は現住所で徴収されています。こふるさと納税をした場合、税金の控除、還元はどうなるのでしょうか。ちなみにカード払いしていますが、住所は住民票の住所になっています。
>キクヤマさん
こんばんは。neronaです。
ふるさと納税をした市町村ごとに対応が異なる可能性があるので難しいところです。
下記のQ&Aが参考になるかと思います。
ふるさとチョイス「今住んでいるところは住民票の住所と異なるが問題ないか」の「※住民票の住所と納税先が異なる場合※」
https://www.faq.furusato-tax.jp/faq/show/265?site_domain=default#:~:text=%E4%BD%8F%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%84%E3%82%8B%E5%A0%B4%E6%89%80%E3%81%A8,%E8%AA%AC%E6%98%8E%E3%82%92%E3%81%94%E5%8F%82%E7%85%A7%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84%E3%80%82