副業をしている会社に「源泉徴収票」をくださいと言ったら、「うちは発行しません!」と言われるケースがあります。
確定申告をしたいのに困りますよね。
実は会社からもらえるお金は「給料」と「報酬」の2種類があります
- 給料:会社は源泉徴収票を渡す義務がある→もらえないとおかしい
- 報酬:会社は何も渡す義務がない→もらえなくてもおかしくない
特に10.21%相当の源泉所得税が天引きされている方は要注意です。
それは給料ではなく「報酬」になっている可能性が高いです。
そして、報酬の場合には「源泉徴収票」は発行されません。
この記事では「給料」と「報酬」の違いと確定申告をするときの注意点について説明します。
もくじ
パート・アルバイトは源泉徴収票を必ずもらおう!
パート・アルバイトの場合、ふつう給料に該当します。
会社は年末調整後(途中で退職した場合は退職後)に源泉徴収票を渡す義務があります。
▼給与所得の源泉徴収票
「給与所得の源泉徴収票」と書かれているように、給与所得の場合に発行されるものです。
他に「退職所得の源泉徴収票」や「公的年金等の源泉徴収票」もありますが、よく目にするのは「給与所得の源泉徴収票」でしょう。
雇用契約に基づきパートやアルバイトをしたのに源泉徴収票がもらえないとすればそれは問題です。
この場合の対処方法については、次の記事を参考にしてください。
関連 前に勤めていた会社から「給与所得の源泉徴収票」をもらえない場合はどうする?
※2か所から給料をもらっている場合には確定申告が必要になるので次の記事をお読みください。
報酬の支払調書はもらえなくても確定申告は可能!
一方、報酬に該当する場合は、何ももらえないのが普通です。
まず「源泉徴収票」は「給料」の場合しか発行されないので報酬の場合には発行されません。
でも少し税金の知識がある方なら
「支払調書(しはらいちょうしょ)がもらえますよね?」
と思われかもしれませんね。
▼報酬の支払調書
正式名称は「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」という書類です。
確定申告には支払調書が必須だと思っている方もいるかもしれませんが、この書類は会社が税務署に報告するために作成するものです。
源泉徴収票と違って報酬をもらう本人に支払調書を渡す義務はありません。
- 税務署に提出→義務あり
- 本人に提出→義務なし
ただ、このように思う方がいる理由は次の3つだと思われます。
- 「源泉徴収票」は渡す義務があるので支払調書も同じだと思ったから
- 「他の会社」はこちらが何も言わなくても支払調書を発行してくれるから
- 確定申告の際に「税務署」に必要だと言われたから
1番目は給料と報酬では取扱いが異なっています。
2番目は他の会社が「サービス」でやっていて、むしろそっちの方が例外とも言えます。
3番目は本来義務ではないのでおかしな話ですが、たまに聞きます。
報酬の場合は給与所得ではなく原則「雑所得」に該当します(または事業所得)。
雑所得は「自分で」収入から必要経費を引いて計算します。
そのため、支払調書がなくても収入と必要経費をきちんと把握していれば問題はありません。
給料と報酬の違いは?天引きされる税金でチェックしよう!
さて問題は給料と報酬の違いですが、ざっくり言うと、
- 給与:雇用契約に基づくもの(例:パートやアルバイト)
- 報酬:請負契約に基づくもの(例:外注、業務委託)
となります。
給料か報酬かを見分けるポイントは、源泉徴収の税率です。
毎回もらうべき総額の中から約1割(10.21%相当)の源泉所得税が天引きされていたら、それは報酬です。
まとめ
給料か報酬かで必要な書類や手続きが全く異なります。
しかし、あなたが副業をしている「会社」が正しく給料と報酬を区分しているかどうかは分かりません。
もしかすると会社の都合で知らないうちに「報酬」になっているかもしれません。
副業をするときには、まずはじめに会社に確認することをおすすめします。
2 件のコメント
ちょうど今年、確定申告をする予定なのですが、副業でWEBライターしている会社から源泉徴収票をもらえず、お願いして支払調書を発行してもらいました。
確かに、確認すると毎月の支払いで10.21%ひかれていたので、報酬だとわかり、大変参考になりました。
一方で、基本は発行しないということは、ライター業務でお金を使用した場合は、その金額を減算したうえで申告をしたらいいのでしょうか。
それとも、支払調書通りに申告するのがいいのでしょうか。
もし、ご存じでしたら、教えていただけると幸いです。
>Aiさん
こんにちは!neronaです。
報酬の場合は「自分で請求書を発行する」のが基本になるので、
自分で把握して、自分で売上と源泉徴収税額を集計しましょうというのが
建前と思います。
当然、ライター業務で必要経費が発生すればその分を差し引きますね。
ご注意いただきたいのは、「源泉徴収税額(10.21%)」は必要経費ではありません。
そのため、国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成する際には下記のURL先のように
「事業所得の入力画面」で源泉徴収税額を入力しないと誤りになります。
https://www.keisan.nta.go.jp/r1yokuaru/cat1/cat13/cat132/cat1321/cid929.html