2018/05/145 Shares

2か所から給与をもらっている人の年末調整と確定申告

2か所給与

1か所の場合はなんの問題もない年末調整も、2か所でかけもちして給料をもらっている場合にはとたんに難しくなります。

そもそも源泉徴収と年末調整の仕組みを確認しましょう。

「源泉徴収」というのは、あらかじめ税金を給料から天引きしておいて、年末にドカンと税金を負担させないようにする仕組みです。

そして「年末調整」というのは、給料から源泉徴収した所得税の合計と本来払うべき所得税の差を精算するための手続きです。

源泉徴収した所得税の合計の方が多ければ、天引きしすぎなので後日、還付されます。

2か所で掛け持ちしていると、この仕組みがうまくいかないことは、なんとなくわかりますよね。

なぜなら、A社とB社が、Xさんに給料をいくら支払って、いくら源泉徴収をしているかどうかを知らなければ、Xさんの「本来払うべき所得税」がいくらなのか計算できないからです。

1か所給与と2か所給与の比較

そのためXさんは、税務署に2か所の給与を合算して、自ら確定申告する必要があります

しかし、これだけだと正しく理解できたことにはならないので、源泉徴収から順番に説明します。





源泉徴収と年末調整は甲欄(メイン)と乙欄(サブ)に分かれる!

源泉徴収は、その月の給料から社会保険料を控除した金額をもとに「給与所得の源泉徴収税額表」というものから機械的に決まっていきます。

しかし、この税額表は、2つの欄に大きく分かれていて、それが「甲欄(こうらん)」と「乙欄(おつらん)」です。

税額表

ざっくりいうと、甲欄がメインの勤務先で、それ以外のサブはすべて乙欄で源泉徴収される税金を機械的に決めていきます。

そして、メインの勤務先には、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出します。

実は甲欄は、さらに欄が細かく分かれていて、「扶養親族等の数」によって、税額が変わります。簡単に言えば、扶養している親族(配偶者や子、親など)が多ければ多いほど、税額が少なくなるのです。

これは、配偶者控除や扶養控除のことを考慮しているため、少なくなるのです。

それを把握するために、「給与所得者の扶養控除等申告書」の情報を利用しています。

もちろん、扶養している人がいなければ、0人で1番左の金額を利用しますが、それでも、月に88,000円未満の場合には、源泉徴収される税金は0円です。

年末調整もふつうの人と同様にすることになります。

乙欄が甲欄より高いのは、税金のとりっぱぐれ防止!

一方、乙欄では0円はありません。

税額表

88,000円未満であっても、3.063%の税率をかけた金額を源泉徴収します。

10,000円であっても、306円の源泉徴収が行われることになります。

もし甲欄だけしかないと、月80,000円(つまり月88,000円未満)になるように2か所で働いたときに、いずれからも源泉徴収する税金が0円になります。

このまま確定申告をしないと、国は税金をとりっぱぐれるので、最低限約3%はサブからとりましょう、としています。

そして、年末調整の時も特に還付も徴収もなく、ただ、源泉徴収票をもらうだけです。

2か所以上から給与をもらうときは合算して確定申告

合算して年収103万円以下なら確定申告で還付も

2か所以上の給料を合算して年収103万円以下の場合には、本来払うべき所得税は0円です。

したがって、ちゃんと甲欄と乙欄に分けて正しく源泉徴収している場合には、乙欄の方で源泉徴収された所得税が払いすぎなので、還付されます。

そのため、確定申告は面倒ですが、やってみると還付されます。

合算して年収103万円超なら確定申告で納付も

一方、年収103万円超の場合は、確定申告をすることによって、源泉徴収された税金が少ないために、社会保険料控除や生命保険料控除などがなければ、足らない分を納付する可能性が多いでしょう。




2か所に間違って「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していませんか?

ところが、現実に多いのが2か所以上の勤め先に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している場合です。

これは本来なら間違いです。

この書類は、会社に入社したときや、年末調整のときに配られる書類です。

配偶者や扶養親族がいなくても書く必要があります。

問題は、2か所とも勤め先に出すと、いずれも「甲欄」で計算してしまうので、乙欄よりも低い金額または0円となってしまいます。

自分もよくわからないし、会社の方も「他にかけもちしてますか?」なんてことを聞かれずに、年末調整をして終わっている場合もあるかもしれません。

例えば、A社で年収120万円の人(1か所のみ勤務)は年末調整をして本来払うべき所得税が計算されます。

一方、A社で年収70万円、B社で年収50万円で合計120万円の人は、年末調整では正しい計算ができません。

その上、確定申告を自分でしないとなると、本来払うべき所得税の全部または一部を払わないままになってしまうという問題が起こります。

会社にバレるのは住民税

では、そのままでも大丈夫かというとそうではなくて、2か所以上で給料をもらっている場合には、住民税でばれることがあります。

税務署ではなく、「自分が住んでいる市町村」が気づくのです。

なぜなら、2か所の会社から年末調整の後に自分が住んでいる市町村に給料に関する情報がいきます。

市町村ではその情報をもとに住民税を計算して、原則として給料が多いメインの会社(例:A社の年収70万円、B社の年収50万円ならA社へ)に対して、「この人は、これだけ住民税を給料から天引きしてくださいね」という報告がされます。

そこには、A社だけでなく、B社分に対応する住民税も合算されていることが多いです。

その住民税の情報に基づいて、メインの会社(A社)は給与計算のときに住民税を天引きするのですが、年収70万円(※)くらいなのに、なんで住民税を払うんだろう?とさすがに疑問に思うかもしれません。

会社の給与計算の担当者が気づけば、ここで会社にバレる可能性があります。

※通常は年収93万円~100万円以上にならないと住民税が発生しません。

マイナンバーの導入で発見しやすくなった?

また、平成28年からマイナンバー制度がはじまりました。

マイナンバーの導入で見つかりやすくなるのが、この2か所以上から給与をもらっている人です。

「2か所の会社から、自分が住んでいる市町村に給料に関する情報がいく」と簡単に書きましたが、実際には、同姓同名の人や住所がハッキリ書いてなくてよくわからないなど、2か所以上の会社から給料をもらっていることを確認するには、結構手間がかかります。

これがマイナンバーを手掛かりにすれば、2か所以上の給料に関する情報が、1人のものであることが見つかりやすくなります。

結局、住民税からバレるわけですね。

所得税の確定申告はサブが20万円以下なら不要

さて、最後に確定申告の話になりますが、所得税の場合、サブの給料が年収20万円以下なら申告不要となる場合があります。

ただし、自ら医療費控除などで確定申告をする場合は、サブの給料もセットで確定申告が必須となります。

住民税に申告不要ルールはない

一方、住民税には、20万円以下なら申告不要というルールはありません。

別途、住民税の申告書を自分が住んでいる市町村に提出する必要があります。

まとめ

ここまで書いてきたことを、まとめると、次のとおりです。

  1. 「給与所得者の扶養控除等申告書」はメインの勤め先だけに出す。
  2. 「給与所得者の扶養控除等申告書」はサブの勤め先には出さない。
  3. メインの勤め先では年末調整をして、払いすぎた税金があれば還付される。
  4. サブの勤め先では、払いすぎた税金があっても還付されず、源泉徴収票をもらうだけ。
  5. すべての源泉徴収票を合算して確定申告をする。還付の場合も納付の場合もある。
  6. ただし、サブの年収が20万円以下なら所得税の確定申告は不要。
  7. 所得税の確定申告が不要だとしても、住民税の申告は必要。

このように、サブの勤務先でちゃんと源泉徴収と年末調整をしているか、そして、全部合算して確定申告しているかが、重要となります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました^^ この記事はお役に立てましたでしょうか。感想や質問、お気づきの点があれば、「お問い合わせフォーム」やコメント欄からお気軽にご連絡ください。なお、コメント欄は私の承認後に表示されます。税金計算や具体的な有利不利の判断についてはこちらから

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう