2017/02/192 Shares

離婚後も住宅ローン控除はできる?自宅に住むか出るかで異なる取扱い

「住み続ける」か、「家を出るか」で全く異なる!

離婚

離婚という大きな決断をしたとき、税金の世界で重要になるのが「自宅」の取扱いです。

今回はその中でも、離婚後の住宅ローン控除について記事にします。

自宅に「夫」が住み続ける場合

家とローンが100%夫名義の場合

まずはわかりやすいパターンからいきます。

離婚と住宅ローン控除01

夫:100%夫名義の自宅に住み続け、住宅ローンを払い続ける

妻:離婚後、自宅を出る

住宅ローン控除は、「住宅ローンの名義人がその家に住むこと」が大前提となっています。

例えば、離婚により妻と子どもが自宅を出たとしても、「住宅ローンの名義人である夫」が「夫名義の家」に住み続ける場合には、従来どおり住宅ローン控除が引き続き可能です。

家が夫婦の共有の場合

難しいのが共有の場合ですが、例えば、夫婦で50%ずつ共有で住宅を購入・建築し、住宅ローンも連帯債務で借りていた場合、離婚による財産分与によって、「妻」から「夫」に対して「妻の50%の持分」を名義変更によって譲渡し、新たに住宅ローンを借りることがあります。

これにより、住宅ローンも自宅も100%夫の名義になります。

離婚と住宅ローン控除02

夫:50%夫名義・50%妻名義の自宅→財産分与で50%の持分を取得→100%夫名義の自宅に住み続け、住宅ローンを払い続ける

妻:離婚後、自宅を出る

すると、追加で取得した「50%の持分」についても、夫において住宅ローン控除ができるようになります。

これは、平成21年2月に国税不服審判所の裁決事例によって、それまでの取扱いがひっくり返され、国税庁のタックスアンサー(よくあるQ&A)でも次のように公表されています。

共有持分を追加取得した場合の住宅借入金等特別控除

【照会要旨】

離婚した前夫と、昨年、共有(各2分の1)でマンションを取得するとともに、それぞれ連帯債務者としてその取得に係る住宅借入金を借り入れ、同年分の確定申告で住宅借入金等特別控除の適用を受けました。その後、本年4月に前夫と離婚した際、財産分与により、前夫の共有持分を追加取得するとともに、新たに金融機関から借入れを行い、当初の連帯債務による借入金を全額返済しました。

 この財産分与で追加取得した共有持分についても住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできるのでしょうか

なお、財産分与により取得したものは上記のマンション以外にはなく、住宅借入金等特別控除に係るその他の要件は満たしています。

【回答要旨】

追加取得したマンションの持分について、併せて住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます

居住用家屋について、財産分与によりその共有持分を追加取得した場合には、住宅借入金等特別控除の適用に当たり、新たに家屋を取得したものとして、当初から保有していた共有持分と追加取得した共有持分のいずれについても、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます

したがって、共有持分の追加取得に係る一定の住宅借入金等の金額を有するなど、その他の要件を満たしている場合には、追加取得した居住用家屋の共有持分についても住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。

なお、住宅借入金等特別税額控除額が、当初確定申告で申告した内容と異なることから、本年分については年末調整で同控除の適用は受けられず、再度、確定申告が必要となりますのでご注意ください

(注) 居住用家屋の共有持分の追加取得であっても、追加取得時において自己と生計を一にし、その取得後も引き続き自己と生計を一にしている親族等からの取得は、住宅借入金等特別控除の対象とはなりません。

ただし、この取扱いにも書かれているように、年末調整で住宅ローン控除はできないので、再度、確定申告が必要となります。

なお、この取扱いは難易度が高いので、財産分与するときから、事前に税務署や税理士にご相談の上、どのように分けるのがよいのか、よくご検討ください。

自宅に「妻」が住み続ける場合

家とローンが100%夫名義の場合

夫が住宅ローン返済をする場合

逆に、「夫」が自宅(夫名義)から出た場合、夫自身は「家に住んでいない」ため、住宅ローン控除はできないでしょう。

離婚と住宅ローン控除03

住宅ローン控除には、「適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること」というように、「自分」がその家に住んでいることが大前提だからです。

例えば、妻が子どもを引き取る場合、学校などの生活環境を変えたくないと思って夫名義の自宅に住み続け、夫は家を出るということがあります。

夫に離婚の原因があると、夫が養育費・慰謝料代わりに住宅ローンを支払い続け、住宅ローンの返済が終わったら夫から妻に名義変更することで合意したりします。

夫:離婚後、自宅を出る→住宅ローンを払い続ける

妻:100%夫名義の自宅に住み続ける

しかし、夫は「住まない家」のために住宅ローンを負担をし、固定資産税やマンションなら管理費などを払ったりする上に、自分が「住む家」の家賃を負担するため、2重の負担になります。

その結果、住宅ローン返済が滞って、金融機関が競売にかけたことで、妻も子どもも家を出ていかなくてはならないケースも実際にはあります。

税金の前に、自宅の取扱いについては、離婚トラブルの専門家に相談した方が無難でしょう(私は専門家ではないので、これ以上のコメントは差し控えます)。

※自宅に妻と子どもを残す「単身赴任」の場合は、住んでいなくても住宅ローン控除ができるという例外があるので、離婚の場合も必ずしも住んでいなくてもいいのではないかという疑問もあるかと思います。

しかし、単身赴任の例外は、「やむを得ない事情(例:単身赴任)が解消した後は、自宅にまた戻る場合」という条件付きとなっています。

一方、離婚した場合、その後、夫が自宅に戻ってくることは考えがたいところです。

したがって、現在のルールの中では、夫が家から出る場合に、住宅ローン控除は原則どおり認められないと考えられます。

妻が住宅ローン返済をする場合

もう1つあるのが、「夫」から「妻」に財産分与をする場合です。

夫:離婚後、自宅を出る→妻に財産分与

妻:100%妻名義に→自宅に住み続け、住宅ローン返済

この場合は、「住宅ローンの名義人である妻」が「自宅(妻名義)」に住んでいるため、妻が住宅ローン控除できます

離婚と住宅ローン控除04

国税庁のタックスアンサー(よくあるQ&A)でも次のように離婚後に住宅を財産分与で取得した場合の取扱いが公表されています。

財産分与により住宅を取得した場合

【照会要旨】

Aは離婚をし、財産分与によりAの前夫B所有の住宅(住宅ローン付、築後4年5か月)を取得しました。

  • Bの家屋に係る債務…700万円
  • Aが家屋に係る債務の返済に充てるためにC銀行から借り入れた借入金…700万円
  • 上記借入金の償還期間…15年

この場合、Aは住宅借入金等特別控除の適用を受けることができますか。

【回答要旨】

居住要件等その他の要件を満たしていれば、Aは住宅借入金等特別控除を受けることができます

住宅借入金等特別控除の対象となる既存住宅の取得の要件として、贈与によるもの及びその既存住宅を取得する時においてその取得をする者と生計を一にしており、その取得後においても引き続き生計を一にする親族等からの既存住宅の取得は、この控除の対象にならないこととされています(租税特別措置法第41条第1項、租税特別措置法施行令第26条第3項)。

照会の場合には、Aは前夫から財産分与により取得したものであり贈与による取得ではなく(したがって、前夫は譲渡所得の申告が必要となります。)、また、既に離婚していることから生計を一にする親族等からの既存住宅の取得にも該当しません

細かいことを言えば、「家族から贈与でもらった家」は住宅ローン控除の対象外となっているのですが、離婚後の財産分与は「他人」から「譲渡」で住宅を購入したことになるので、OKとわざわざ書かれています。

ただ、この場合は、妻において住宅ローンの返済が可能かどうか、という問題があります。

2.家が夫婦の共有の場合

これは、先ほど「自宅に「夫」が住み続ける場合」で「夫」が「妻の持分」を取得する場合の逆パターンで、「妻」が「夫の持分」を取得する場合ですね。

夫:離婚後、自宅を出る

妻:50%夫名義・50%妻名義の自宅→財産分与で50%の持分を取得→100%妻名義の自宅に住み続け、住宅ローンを払い続ける

結論は、同様で、追加で取得した「50%の持分」についても、妻において住宅ローン控除ができるようになります。

最後に

以上、一般的なケースをもとに、住宅ローン控除ができるかどうかを見てきました。

いずれも、個別の事情によっては、上記と異なる結論になるケースも考えられます。

普通の住宅ローン控除と違って難易度が高く、簡単に答えが出せるものではないため、事前に税務署や税理士に相談の上、進めていただくことをおすすめします。

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