医療費には歯の治療費や治療のための薬の購入費も含まれます。
医療費控除の対象になるかの大前提は、歯の治療目的かどうかです。
予防や審美(歯を美しく見せること)が目的の場合には医療費控除の対象外です。
この記事では、歯に関するいろいろな費用とそれが医療費控除の対象になるかをまとめました。
確定申告書の書き方は次の記事をお読みください。
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もくじ
医療費控除が受けられる歯の治療費
まず前提として自費診療でも治療目的なら医療費控除の対象です。
歯の治療は自費診療になっているものも多く、控除を受けられないと思っている方もいるのでご注意ください。
(1) 虫歯・歯周病の治療費
- 虫歯の部分をけずって穴をきれいにし、材料をつめて元の形にする治療
- 欠けた部分の型をとって金属でつくり元の形にする治療
- 歯周病の治療
などがあり、医療費控除の対象です。
(2) 抜歯のための費用
- 親知らずを抜く
- かみ合わせが悪くなる原因になる歯を抜く
- 歯周病を広げないためにあえて抜歯する
は治療のため医療費控除の対象です。
(3) 歯を失った時の治療費
- ブリッジ(なくなった歯の両隣の歯を削って支える台とし、義歯と連結して装着する方法)
- インプラント(人工歯根を骨に埋めて人工の歯をかぶせる方法)
- 入れ歯・義歯の費用
治療目的で行う場合はこれらの費用も医療費控除の対象です。
(4)高額な治療費
- 金歯や金冠などのつめものの費用
- セラミックなどによる治療費
自費診療で高額になる場合でも医療費控除の対象です。
根拠 国税庁「金やポーセレンを使用した歯の治療費」
(5) 治療のための医薬品の購入費用
例えば神経を抜いた後の痛み止めの薬があります。
ドラッグストアで購入した場合も領収書を残しておきましょう。
予防目的か治療目的か微妙な歯の治療費
一見すると予防目的のようでも、治療として行われて医療費控除の対象になるものもあります。
単純に費用の名前だけでは予防目的か治療目的か判断がつきにくいものをまとめました。
(1) 歯ブラシ・歯磨き粉の購入費用
- 歯ブラシ
- 歯磨き粉
- 歯間ブラシ
- デンタルフロス
- 口腔内洗浄液(モンダミンなど)
- キシリトール配合のガム
など日常的に利用するものは単なる「予防目的」のため、医療費控除の対象外です。
ただし「治療目的」で特定の歯ブラシを購入するよう歯医者から指導を受ける場合は医療費控除の対象です。
領収書では「保険外」として記載されていることが多く、領収書だけでは判断できません。
治療目的に該当する場合には「治療用歯ブラシ」などとメモをしておくことをおススメします。
(2) 歯石・歯垢の除去費用
歯石・歯垢の除去費用(スケーリング)は、原則として虫歯や歯周病の予防目的で行われるので医療費控除の対象外です。
しかし予防ではなく、歯周病の治療と一緒に行われるようなものは治療に必要なものですので対象です。
また、似たものでPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning・歯のクリーニングの一種)がありますが、一般的には「予防目的」のため医療費控除の対象外です。
(3) 唾液検査の費用
唾液検査は一般的には「予防目的」で行われるため医療費控除の対象外です。
ただし、治療の一環として唾液検査をする場合は対象となる可能性もあります。
審美目的か治療目的か微妙な歯の治療費
一見すると審美目的のようでも、治療として行われて医療費控除の対象になるものもあります。
単純に費用の名前だけでは審美目的か治療目的か判断がつきにくいものをまとめました。
(1) 矯正費用
「審美歯科」と呼ばれる「歯を美しく見せるため」に行われる歯列矯正は医療費控除の対象外です。
例外として医療費控除の対象になるのは次の2つです。
- 発育段階にある子どもの矯正歯科費用
- 成人の噛み合わせを改善する治療の矯正費用
根拠 国税庁「歯列を矯正するための費用」
特に「成人矯正」は審美目的と見られやすいことから、「治療目的」であることがわかる診断書を歯医者に出してもらうのが無難です。
ただし診断書は数千円かかることが一般的なので、控除される金額を見て考えた方がいいかもしれません。
(2) ホワイトニング
ホワイトニングは見た目をよくする審美目的で行われます。
似たようなものとして歯の表面を薄く削り、 そこにネイルチップのような薄い人工歯を貼り付ける「ラミネートベニア」があります。
いずれも一般的には医療費控除の対象外です。
(3) セレック
セレックとはセラミックを使った歯の修復方法です。
一般的には審美目的として行われるため医療費控除の対象外です。
ただし、虫歯の箇所を削ってセレックでつめものをするように治療目的の場合は医療費控除の対象となると考えます。
歯科医院への通院のための交通費
次の交通費も医療費控除の対象となります。
- 通院のための電車・バス代
- 子どもの治療で親が付き添って通院した場合の親の電車・バス代
一方、通院のための車のガソリン代、駐車料金は対象外です。
交通費の詳細については次の記事をお読みください。
歯のローン・クレジットカード払い
医療費控除は「支払った年」の医療費が対象になります。
しかし高額な治療の場合、歯科ローンやクレジットカードで支払うことも多く、12月に治療をすると支払いが年をまたぎます。
(1) 歯のローン払い
歯科ローンは、患者が支払うべき治療費を信販会社が立て替えて、その立替分を患者が後から分割払いで信販会社に返済していきます。
信販会社が立替払をした金額はその立替え払いをした年(歯科ローン契約が成立した時)の医療費控除の対象になります。
根拠 国税庁「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」
ただし、歯科ローンを利用した場合には、手もとに歯科医の領収書がないこともあります。
医療費控除を受けるときの添付書類は、歯科ローンの契約書の写しや信販会社の領収書でもOKです。
(2) 歯のクレジットカード払い
クレジットカード払いも同様に「クレジットカード払い」の段階で支払ったことになります。
銀行口座から引き落とされる年ではなくクレジットカード払いをした年の医療費になります。
(3) 歯科ローンの金利、分割払い・リボ払いの手数料
金利や手数料は、信販会社やクレジットカード会社に対する支払いの一部です。
これらは医療費ではないため、医療費控除の対象外となります。
まとめ
医療費控除が受けられる歯の治療費を見てきました。
ポイントは「治療目的」かどうかです。
目的を確認して計算しましょう。
確定申告書の作成方法については次の記事をお読みください。