2017/11/299 Shares

医療費控除が受けられる歯の治療費まとめ

自分と家族のために医療費を支払って、それが原則10万円を超えると医療費控除を受けることができます。

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この医療費の範囲は、「医師または歯科医師」による「診療または治療」とされており、当然、「歯の治療費」も入ります。

これ以外にも歯の治療のための薬の購入費も含まれます。

でも、いざ、具体的に見てみると、これって入れていいのかな、ダメなのかな、と判断に迷うことも多いかと思います。

そこでこの記事では、歯に関するいろいろな費用と医療費控除の対象になるかどうかをまとめました。

大前提:「歯」と医療費控除の判断基準

医療費控除の対象になるかの判断基準は、結局のところ歯の治療目的かどうかです。

それ以外の目的、例えば、「予防目的」や「審美(しんび)目的(歯を美しく見せること)」の場合には、対象外となります。

医療費控除の対象の具体例(歯の治療目的)

1.虫歯・歯周病の治療費

 (1)「虫歯」の治療費:OK

保険診療・自費診療にかかわらず、対象となります。

虫歯の程度にもよりますが、虫歯の部分をけずって、穴をきれいにして材料をつめて元の形にする治療や、欠けた部分の型をとって、金属でつくり、元の形にする治療などがあります。

 (2)「歯周病」の治療費:OK

歯周病とは、細菌が原因の病気の一種ですが、歯と歯ぐき(歯肉)のすきま(歯周ポケット)から侵入した細菌が、歯肉の炎症を引き起こし、だんだんひどくなると歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてグラグラにさせてしまう怖い病気です。

歯周病になっている人はかなり多く、この治療費も当然、対象となります。

(3) 「抜歯」のための費用:OK


私も3本、「親知らず」を抜歯したことがあります。

親知らずは上手に出ることができなかったり、生えきれなかったりして、その隣の歯に悪影響を与えたりするため抜きましたが、これも治療ですので、対象となります。

また、親知らずではなくても、かみ合わせが悪くなる原因になっていたり、歯周病を広げないためにあえて抜歯するようなこともありますが、これらについてもやはり対象となります。

2.歯を失った時の治療費

(1)「ブリッジ」にかかった治療費:OK

なくなった歯の両隣の歯を削って支える台にして、義歯と連結(ブリッジ)して装着するための治療費も対象となります。

(2) 「インプラント」にかかった治療費:OK


インプラントは「人工歯根」を骨に埋めて人工の歯をかぶせて、噛む機能や審美性を回復させる治療方法です。

歯を抜くのと同じ程度の手術が必要で金額も高額です。

どちらかというと、審美目的よりは、歯を失ったことにより、他の歯への負担を減らすために治療目的で行われることが多く、たいていの歯医者さんでは「医療費控除の対象」とホームページなどでも記載しています。

(3) 「入れ歯(義歯)」の費用:OK

入れ歯も対象となります。

3.高額な治療費

(1)「金歯」や「金冠」などのつめものの費用:OK


保険診療の素材としては「銀」が一般的です。

「金」になると保険の対象外として自費診療になり、高額となります。

そのため、医療費控除の対象になるのか疑問もありますが、金については一般的に利用されている素材のため、対象になると明記されています(根拠:国税庁:金やポーセレンを使用した歯の治療費)。

(2)「セラミック」などによる治療費:OK


歯と同じ色になるセラミック(ポーセレン)についても高額な場合がありますが、金と同じく一般的に利用されている素材のため、対象になります(根拠:国税庁:金やポーセレンを使用した歯の治療費)。

(3)「インプラント」にかかった治療費:OK

「2.歯を失った時の治療費」でもご紹介しましたが、1本で数十万円するのがふつうで、医療費控除のハードルである10万円は軽く超えます。

医療費控除が受けられるということは、その人の年収にもよりますが、節税になる文だけ、治療を1~3割引で受けるのと同じです。

保険診療はすでに3割負担(7割引)など、割引がされたあとですが、自費診療の場合には、確定申告をすることによって実質的な割引を受けることができるといえます。

(5)歯科ローンの金利、分割払い・リボ払いの手数料:NG

金利や手数料や信販会社やクレジットカード会社に対する支払いの一部であり、医療費ではないため、対象外です。

(参考)歯のローン・クレジットカードについて

医療費控除は「支払った年」のものとなります。

しかし、高額な治療の場合、歯科ローンやクレジットカードで支払うことも多く、12月に治療をするような場合は、支払いが年をまたいでしまいます。

歯科ローンは、患者が支払うべき治療費を信販会社が立て替えて、その立替分を患者が後から分割払いで信販会社に返済していきます。

したがって、信販会社が立替払をした金額は、「その立替え払いをした年(歯科ローン契約が成立した時)」の医療費控除の対象になります(根拠:国税庁タックスアンサー)。

払った年ではなくて良いので、ちょっと例外的ですね。

なお、歯科ローンを利用した場合には、手もとに歯科医の領収書がないこともありますが、医療費控除を受けるときの添付書類には、歯科ローンの契約書の写しや信販会社の領収書を用意することになります。

クレジットカード払いも同様に「クレジットカード払い」の段階で支払ったことになるため、銀行口座から引き落とされる年ではなく、クレジットカード払いをした年でOKです。

 

4.治療を目的とした矯正歯科の費用

(1)発育段階にある子どもの矯正歯科の費用:OK

矯正は原則としてNGといわれますが、これはもともと「審美歯科」と呼ばれる「歯を美しく見せるため」に行われるもののことです(美容整形と同様にNGです)。

一方、発育段階にある子どもについては、成長を阻害(そがい)しないように、例外的に認められています(根拠:国税庁:歯列を矯正するための費用)。

(2)成人の噛み合わせを改善する治療の矯正費用:OK

成人矯正の方は、税務署によって微妙なところもあります。

そのため、実際に受けようとする場合には、「治療目的」であることがわかる診断書を出してもらうのが無難です。

ただ、診断書は数千円かかるので、控除される金額を見て考えた方がいいかもしれません。

5.通院のための交通費

(1)通院のための電車・バス代:OK


通院に必要な交通費も漏らさずに入れましょう。

(2)子どものために親が付き添って通院した場合の親の電車・バス代:OK

子どもの虫歯の治療や歯列矯正のために親が付き添う時は、親の分も忘れずに含めましょうね。

(3)通院のための車のガソリン代、駐車料金:NG

一方、車で通院した時のガソリン代、駐車料金は対象になりません。

なぜダメなのか?

例えば、通院のための「走行距離」を基にガソリンの消費量から換算したガソリン代はダメなの?って思いますよね。

駐車場代なんて、病院の駐車場名が入っていたらいいじゃない、とも思いますよね。

残念ながら、現在の税務署の取扱いでは「認めない」ルールになっています(根拠:国税庁:自家用車で通院する場合のガソリン代等)。

ガソリン代はともかく、病院の駐車場代まで認めないのはどうなのかな、といつも引っかかるところです。

6.治療のための医薬品の購入費用

(1)処方された歯痛止めなどの医薬品:OK

歯科医院で処方される代表的なものとしては、神経を抜いた後の痛み止めの薬などがあります。

(2)薬局・ドラッグストアで購入した歯痛止めなどの医薬品:OK

医薬品も治療目的であればOKです。

グレーゾーン「予防目的 VS 治療目的」の費用

(1)単なる歯ブラシ・歯磨き粉の購入費用:NG

「予防目的」で購入しても、医療費控除の対象とはなりません。

(2)単なる歯間ブラシ、デンタルフロスの購入費用:NG


同様に「予防目的」で購入しても、医療費控除の対象とはなりません。

(3)治療目的の歯ブラシ・歯磨き粉の購入費用:OK

一方、「治療目的」で特定の歯ブラシや歯磨き粉を購入するよう歯医者さんから指導を受ける場合もあるので、そういう場合には、堂々と医療費控除の対象にしましょう。

この場合、領収書では「保険外」として記載されていることが多く、領収書だけでは判断できないので、「治療用歯ブラシ」などとメモをしておくことをおススメします。

もちろん、ウソはダメです。

(4)単なる口腔内洗浄液(モンダミンなど)やキシリトール配合のガムの購入費用:NG

こちらも「予防目的」ですので、医療費控除の対象とはなりません。

(5)歯石・歯垢の除去費用:NG


原則として、虫歯や歯周病の予防目的で行われるので、NGです。

(6)歯周病治療の一環としての歯石・歯垢の除去費用:OK

しかし、予防ではなく、例えば歯周病の治療と一緒に行われるようなものは、治療に必要なものですので、認められています。

(7)PMTCの費用:NG

歯石・歯石の除去からさらに進んで、PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)というものをやっている歯科医院もあります。

これは自費診療になるので、1万円前後かかります。専門の機器を使って歯を磨き上げ、フッ素コーティングをするものであり、「予防目的」として、医療費控除の対象外です。

(8)「唾液検査」の費用:微妙

唾液検査というのは、虫歯リスクを把握し、歯の予防計画を立てるために行うものが多いため、予防目的であり、残念ながら対象外といえます。

ただし、治療目的で唾液検査をするのであれば対象となる場合もあると考えられます。

このあたりは、税務署に質問してもなかなか回答がもらえないかもしれません。

グレーゾーン「審美目的 VS 治療目的」の費用

(1)審美目的の矯正費用:NG

芸能人は歯が命、というコピーのCMが昔ありましたし、将来の就職や結婚を考慮して見た目を美しくする目的で行われるものをいいます。

医療費控除はあくまで「治療」のために行われたものを対象にするため、原則として矯正費用は対象となりません。

そのため、例外として矯正費用の対象になるのは、既に紹介したように次の2つが挙げられます。

  • 発育段階にある子どもの矯正歯科費用:OK
  • 成人の噛み合わせを改善する治療の矯正費用:OK

また、「治療」と名前がついているものも多いのですが、ホワイトニングの目的は見た目をよくする審美目的のため、原則として対象外となります。

(2)単に歯を白くするためのホワイトニング・ラミネートべニア:NG

ラミネートベニアというのも見かけますが、歯の表面を薄く削り、 そこにネイルチップのような薄い人工歯を貼り付ける方法です(要するに、「歯のネールアート」)。これまた、治療というよりは、審美目的と言わざるを得ないです。

(3)審美目的のセレック治療:NG

セレックというのは、「セラミック」を使った治療法ではありますが、通常、1回目「歯を削る⇒型を取る」⇒2回目「セットする」と2回通院が必要なところが、「歯を削る⇒セレックで作成⇒その日のうちにセット」と1回の通信で可能です。

歯と同じような色で隙間なくできるため、審美目的としては有名です。

(4)治療目的のセレック治療:OK

私も現在このセレック治療をやってますが、審美目的ではありません。

「隙間なく」できるということの重要性は、「次の虫歯になる可能性を最大限減らす」という点にあります。

つまり、自分の一生のうちの歯の治療の回数を減らすことが、80歳になっても歯を残すことにつながります。そういう目的で使うのであれば、セレックであっても医療費控除の対象となります。

よくわからないもの

医療費控除の取扱いをみると、「一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なものは医療費控除の対象になりません。」とあり、あんまり高額すぎるとダメと書かれているのですが、どういうものが具体的にダメなのかは、はっきりとはわかりません。

例えば、「現在、金やポーセレンは歯の治療材料として一般的に使用されているといえますから、これらを使った治療の対価は、医療費控除の対象になります。」とあっても、じゃあ、一般的に使われていればいいのか、というのも変な話です。

多くの人が医療費控除の対象にしている「数十万円もするインプラント」は一般的に支出される水準なのか?

「3万円~6万円くらいするセレック」は一般的に支出される水準なのか?

どうなんでしょうかね。

心配な方は、あらかじめ税務署に確認するのも1つですが、おそらく、担当者によって回答はバラバラだと思います。

「医療費の領収書」を残しましょう!

最後になりましたが、確定申告で医療費控除を受ける方は、平成28年分までは確定申告書を「書類」として提出する際に「医療費の領収書」も原本を提出していました。

しかし、平成29年分からは原則として原本は提出せずに手もとで5年間保管することになりました。

とはいえ、やはり医療費の領収証自体は重要なので、なくさないように保管しておきましょう。

関連 「医療費控除の明細書」を領収書に替えて提出に!29年分の確定申告の注意点

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