確定申告で医療費控除をする際には「医療費控除の明細書」という書類を作成する必要があります。
この記事では、簡単な作り方をご紹介します。
この書類は、1年間に支払った医療費を
- 個人別(本人・配偶者・子ども・親の別)
- 医療機関別(病院・診療所・薬局別)
に分けて入力したものです。
ちょっと面倒そうですよね。
でも安心して下さい。
国税庁のホームページでは「医療費集計フォーム」というExcelのテンプレートが公開されています。
このExcelに入力して、あとで「確定申告書等作成コーナー」でこのExcelデータを取り込むと、「医療費控除の明細書」が自動的にできます。
公式 国税庁「確定申告書等作成コーナー」
パソコンで確定申告書を作成する方は是非利用してみてください。
入力方法自体はそれほど難しくありません。
初めて入力する際には迷うことも多いので、この記事では「医療費集計フォーム」の入力方法について解説します。
令和6年分の確定申告も医療費集計フォームは変わっていないので、昨年と同じものが使えます。
医療費控除の確定申告書の作成方法については、下記の記事をお読みください。
作成方法 医療費控除の確定申告書の書き方と申請方法
もくじ
医療費集計フォームのダウンロード方法
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」の右にある「医療費集計フォーム」からExcelシートをダウンロードしてください。
「集計フォームのダウンロード」を選ぶとExcelがダウンロードされます。
「iryouhi_form_v3」というファイル名のExcelがダウンロードされます。
ファイル名は「令和*年 医療費明細」のように変更可能です。
公式 国税庁「確定申告書等作成コーナー」
医療費集計フォームに入力する内容
医療費集計フォームは、次の6項目について入力するようになっています。
- 医療を受けた人
- 病院・薬局などの名称
- 医療費の区分(4区分)
- 支払った医療費の金額
- 左のうち、補填(ほてん)される金額
- 支払年月日(任意)
このうち6番目の支払年月日は「任意」とあるように、医療費控除の明細書とは関係がありません。
入力不要です。
1番目から5番目までについて説明します。
(1) 医療を受けた人
その名のとおり病院で診療を受けた人、薬局で薬をもらった人の名前を記載します。
(2) 病院・薬局などの名称
診療を受けた病院名や薬をもらった薬局名を書きます。
医療費の領収書は
- 個人別(本人・配偶者・子ども・親の別)
- 医療機関別(病院・診療所・薬局別)
に分ける必要があります。
ここで注目したいのは通院費です。
例えば財務太郎さんは
- 千代田病院:JRと市バスの往復
- 千代田眼科:JRと市バスの往復
- 丸の内歯科と丸の内薬局:地下鉄の往復
で通院しているような場合には、まとめて記入してOKです。
- 人ごとに交通費の合計金額をまとめて入力OK
- 「医療費の区分」については「その他の医療費」を選択
とあります。
関連 医療費控除の対象になる交通費は?ガソリン代,タクシー代,電車代,バス代の判定と書類の書き方
(3) 医療費の区分(4区分)
「医療費の区分」は次の4つに区分されています。
- 診療・治療
- 医薬品購入
- 介護保険サービス
- その他の医療費
複数選択可能です。
例えば病院で診療を受けて、院内処方(病院内で薬をもらう方法)なら
「診療・治療」と「医薬品購入」の両方
が「該当する」になります。
公式 国税庁「病院から処方される医薬品を入力する場合の「医療費の区分」について」
介護保険サービスの中で医療費控除の対象になるものがあれば、
3番目の「介護保険サービス」
で「該当する」をチェックします。
介護保険サービスで医療費控除の対象になるものは、ふつう「領収書」に「医療費控除の対象」などと該当する旨が記載されています。
もし分からなければ、施設の方に確認しましょう。
電車やバスなどの「通院費」や「医療用器具の購入費用」は、
4番目の「その他の医療費」
で「該当する」をチェックします。
(4) 支払った医療費の金額
ここでは「支払った医療費の金額」の合計額をそれぞれ書きます。
私の場合は、医療費の領収書を
- 個人別(本人・配偶者・子ども・親の別)
- 医療機関別(病院・診療所・薬局別)
に分けます。
そして、それぞれホチキス止めして、1番上にある領収書に合計金額をメモして整理しています。
(5) 左のうち、補填(ほてん)される金額
医療保険金(入院給付金、手術給付金など)をもらった場合に記載します。
出産育児一時金(家族出産育児一時金)や高額療養費ももらっていれば記載します。
これらはお金をもらっているので、医療費控除の対象にならない部分です。
注意が必要なのは、「左のうち」と言っているように
左の「支払った医療費の金額」が限度
という点です。
(例)医療費が15万円で保険金が20万円
このとき、「15万円」が限度です。
保険金に20万円を入れると限度を無視して医療費全体から20万円を引く計算になってしまいます。
これでは本来医療費控除ができたはずの部分がなくなって損です。
15万円が上限なので、入力する際には「15万円」と入れれば正しくなります。
※そもそも差引0円の場合は、記載しないのもアリです。
なお、同じ病院で「保険金の対象の医療費」と「保険金の対象外の医療費」がある場合には、わかりやすくするために「行」を分けて入力することをおすすめします。
関連 入院・手術給付金は税金がかからない?医療費控除の計算の注意点
関連 もらった保険金は医療費全体からマイナスしない!医療費控除のおトク技
公式 国税庁「支払った医療費を超える補てん金」
入力方法のよくある質問
(1) Excelがよくわからないので紙で手書きしたい。
「医療費控除の明細書」のPDFでも公表されているので、手書きで記載して確定申告書と一緒に提出することもできます。
公式 国税庁「医療費控除の明細書(PDF)」
(2) 医療費が0円の子どもの通院費はどう入力する?
子どもは自治体の助成で医療費が0円になっている場合があります(医療費全額が補てんされているケース)。
しかし通院費(電車・バス代など)は実費負担です。
もちろんこの通院費も医療費控除の対象です。
特に正解が公式見解であるわけではないので1つの例ですが、次のように1行で書けます。
- 医療を受けた人の欄:子どもの名前を書く
- 病院・薬局などの名称の欄:電車・バスなど交通手段を書く
- 医療費の区分(4区分)の欄:「その他の医療費」に「該当する」
- 支払った医療費の金額の欄:通院費の合計額
- 左のうち、補填(ほてん)される金額の欄:記載不要
- 支払年月日(任意)の欄:記載不要
(3) 同じ病院で異なる治療をした場合の保険金の取扱い
同じ病院で
- Aという治療(10万円)をして保険金(15万円)をもらった
- Bという別の治療もした(保険金はなし)
という場合は注意が必要です。
Aの治療費よりも保険金の金額が大きいので、全部1行で入力すると、Bの治療費の分までExcel上でマイナスしてしまいます。
この場合、Aは医療費控除の対象にならないので、治療費も保険金も何も入力しないのがいいでしょう。
(4)セルフメディケーション税制も使える?
使えません。
セルフメディケーション税制を利用したい場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」の中で直接入力するところがあります。
(5) 医療費の領収書は提出する?
「医療費控除の明細書」を提出し、医療費の領収書は手元で5年間保管します。
医療費の領収書を確定申告書と一緒に税務署に提出する必要はありません。
医療費の集計ができたら確定申告書を作ろう!
医療費控除の確定申告書の作成方法については、下記の記事をお読みください。
作成方法 医療費控除の確定申告書の書き方と申請方法
8 件のコメント
集計フォームをパソコンから入力しましたが…
スマホで確定申告して送信した際には、入力した集計フォームを一緒に送ることができませんでした。
ネットで集計フォームだけ送ることできますか?
それともやはり集計フォームだけ印刷かけて郵送しなければなりませんか?
ご返答宜しくお願いします。
>高木さん
こんにちは。neronaです。
>ネットで集計フォームだけ送ることできますか?
残念ながらできません。
>それともやはり集計フォームだけ印刷かけて郵送しなければなりませんか?
これもイレギュラーなことをしているので残念ながらわかりません。
必ず税務署に状況を説明して、対応方法をご確認ください。
ごめんなさい…無知なもので原因がよくわからないのですが…
やはり、国税庁からの申告フォームで普通は、医療集計フォームが添付できると言うことなんですかね…
私のスマホはiPhoneなのですがクラウドが容量いっぱいで取り込めず送れなかったと言うことなのでしょうか…⁇
>高木さん
残念ながら私自身がパソコンで申告してるのとAndroidユーザーのため、iPhoneによるスマホ申告がどうなっているかわからないところです。
お役に立てず申し訳ありません>_<
はじめて医療費控除を申請します。
領収書(家族合わせて80枚ほど)が多いので集計フォームを利用しようと思います。集計フォームはスマホでは見づらいのでパソコン利用になりますか?そうなるとマイナンバーカードを利用したスマホ申告はできないのでしょうか?
もう一つ質問です。保険の補填がないなら医療機関ごとに合算してもいいですか?整形外科に何度も通っていて数百円の領収書がたくさんあります。
宜しくお願いします。
>みゆさん
こんばんは。neronaです。
集計フォームを使うならパソコンですね。
ただ、最後の質問にあるように「医療機関ごとに合算可能」なので、
おそらく80回入力する必要がなくてスマホでいけると思いますが、
いかがでしょうか?
方針としては
【1】まずは領収書を「医療機関別」「個人別」に集計
【2】数がそれほど多くなければスマホ申告でまとまりごとに入力
【3】数が多い場合は集計フォームを利用してパソコン申告
この場合はスマホ申告にはなりません。
ではないかと思われます。
ご参考まで^^
医療費集計フォームの記入内容を削除、追加する方法をご教授願います。
>海老原規郎さん
こんにちは!neronaです。
ご質問の意図がわからないので合っているか分かりませんが、
記入内容の削除は「デリートキー」で消せます。
「追加」は何を追加されたいのでしょうか?
私が作ったフォームではないのでわかりませんが、例えばセルの挿入などはしない方が
無難と思われます。