病気やケガによって受け取る
- 入院給付金
- 手術給付金など
の「給付金」は税金がかかりません(=非課税)。
ただし、医療費控除は注意が必要です。
入院や手術で「支払った医療費」について医療費控除をするときは
「支払った医療費」から
「その給付金」を差し引く
必要があるので注意しましょう。
もくじ
実は入院給付金は税金がかからない!
病気やケガをして給付金を保険会社から受け取ることがあります。
こうした給付金には税金がかからないようになっています。
そもそも多額の医療費もかかってつかってしまうのに、収入として給付金に課税すると酷(こく)だからです。
例えば次のような給付金が該当します。
- 入院給付金
- 手術給付金
- 通院給付金
- 疾病(災害)療養給付金
- 障害保険金(給付金)
- 特定損傷給付金
- がん診断給付金
- 特定疾病(三大疾病)保険金
- 先進医療給付金
- 高度障害保険金(給付金)
- リビング・ニーズ特約保険金
- 介護保険金(一時金・年金)
出典 生命保険文化センター「Q.入院給付金などには税金がかからない?また、医療費控除とはどんなもの?」
細かいことを言えば、給付金を受け取る人の条件もあります。
次のいずれかに該当する必要があります。
- 被保険者本人
- 被保険者の配偶者
- 被保険者の直系血族または生計を一にするその他の親族
ふつうは「本人」か「家族」が給付金を受け取るので問題ないかと思います。
参考
- 国税庁「がん保険の健康回復給付金」
- 国税庁「疾病により重度障害となった者以外の親族が保険金の支払を受けた場合」
- 国税庁「リビング・ニーズ特約に基づく生前給付金」
給付金と医療費控除の注意点
注意が必要なのは医療費控除です。
受け取った給付金は医療費から差し引く!
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が10万円(※)を超えた場合に、その超えた金額を控除できる制度です。
※所得200万円未満の場合は「所得×5%」を超えた場合
給付金をもらうような病気やケガをしたときは、多額の医療費がかかります。
そのため医療費控除ができる場合も多いでしょう。
しかし
- 医療費:医療費控除で節税できる
- 給付金:税金がかからない
だと良いとこどりになってしまいます。
そこで医療費控除の計算の際には、受け取った給付金を差し引くことで調整します。
もらったお金の分は、医療費控除ができないようにするわけですね。
計算式にすると次のような感じです。
- 控除額=(支払った医療費-受け取った給付金)-10万円※
※所得200万円未満の場合は所得×5%
給付金を全体の医療費から引かないように注意!
注意が必要なのは、給付金は「その給付の目的となった医療費の金額」が限度という点です。
具体例で確認しましょう。
病気Aで入院をして「20万円の医療費」を支払ったとします。
病気Aの入院に対して「給付金30万円」をもらった場合、医療費から差し引くのは30万円ではなく「20万円まで」です。
他に支払った医療費があっても、そっちからは引きません。
対象 | 支払った 医療費 |
受け取った 給付金 |
差引 |
病気A | 20万円 | 30万円 | 0円※ |
その他 | 15万円 | 0円 | 15万円 |
※マイナスの場合は0円
医療費は全体で35万円なので35万円から30万円を差し引く計算をしてしまいがちです。
しかし、ひもつきになっている医療費が限度です。
この他、高額療養費や高額介護サービス費で払戻しを受けた場合もひもつきになっている医療費から控除します。
確定申告で医療費控除をするには「医療費控除の明細書」という書類を作ります。
この中では「(4) 支払った医療費」を上限に「(5) (4)のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額」を入力しましょう。
(5)で「(4)のうち」と書いてあるのを「(4)を上限として」と読み替えましょう。
(4)の金額より(5)の金額が大きくなることはありません。
(5)の金額を「(4) 支払った医療費の額」より大きくすると、他の医療費も含めて引いてしまって損をしてしまいます。
関連 もらった保険金は医療費全体からマイナスしない!医療費控除のおトク技
出典 国税庁「支払った医療費を超える補てん金」
まとめ
今回は病気やケガに伴って受け取る給付金の話でしたが、保険会社からもらうお金の中には税金がかかるものもあります。
- 死亡保険金
- 満期保険金
- 年金保険金
などです。
もし税金がかかるか不安な場合は、まずは保険会社から届く給付金・保険金に関する書類を確認しましょう。
税金について取扱いが書かれていることが多いです。
それでも分からなければ、保険会社に確認しましょう。
ほとんどの保険については、保険会社が事前に税理士や税務署に税金がかかるかどうか確認してから商品を販売しているからです。
医療費の確定申告の方法については、次の記事をお読みください。