毎年5月から6月になると住民税に関する情報がつまった「住民税決定通知書」をもらいます。
会社員・公務員なら5月または6月の給料支給時期に勤務先からもらいます。
一方、自営業やフリーランス、副業をしている場合は6月に市区町村から郵送で自宅に届きます。
- 会社員・公務員(特別徴収)⇒勤務先からもらう
- 自営業・フリーランス・副業(普通徴収)⇒市区町村から届く
住民税決定通知書はもらってもすぐに捨ててしまっていたり、保管していてもどう読めばいいかわからないという方も多いと思います。
しかし、住民税のチェックをする機会はこの住民税決定通知書が届いた時しかありません。
チェックしないで「損をした」ままになっているかもしれませんよ。
特に「ふるさと納税」と「住宅ローン控除」は住民税が安くなる仕組みです。
得をした気になっていたけど、実は何も得していない可能性もあるので確認しましょう。
この記事では住民税決定通知書がいつ届くのか、損をしないための見方についてご紹介します。
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もくじ
住民税決定通知書とは?
住民税決定通知書とは、各市区町村が住民税を計算した結果を教えてくれる書類です。
住民税は
- 都道府県:都道府県民税
- 市町村:市町村民税(東京23区は特別区民税)
の2つを合わせたものです。
様式は市区町村ごとに微妙に異なりますが
- 所得
- 所得控除
- 課税標準
- 都道府県民税・市区町村民税の税額
などの情報が記載されています。
▼会社員・公務員の住民税決定通知書の例
会社員・公務員の場合は、6月から翌年5月までに給与天引きされる住民税の各月の金額も記載されています。
住民税決定通知書はいつ届く?
市区町村ごとに異なりますが、一般的には
- 会社員・公務員:毎年5月中旬に勤め先に届く(勤め先からもらう)
- 自営業・フリーランス・副業:毎年6月上旬~中旬に直接自宅に届く
です。
もし会社員で副業(給料以外の不動産所得・事業所得・雑所得など)をしている場合は
「副業の分の住民税」だけ
別に自分で支払うことも可能です(普通徴収)。
この場合は
- 給料分(特別徴収):勤め先からもらう
- 副業分(普通徴収):自宅に届く
と2種類をもらいます。
年末調整や確定申告の情報が各市区町村に送られ、住民税が計算されます。
各市区町村が住民税を計算して発送するタイムラグがあるので、毎年5~6月頃に住民税決定通知書が届きます。
損をしないためのチェックポイント
住民税決定通知書が届いたから、次の部分を確認しましょう。
(1) 「給与収入」の金額は合っているか?
- 源泉徴収票の「支払金額」
- 確定申告書の「収入金額等 給与」
の欄を見て住民税決定通知書の「給与収入」と一致しているか確認しましょう。
特に
- 転職をした方
- 2か所以上で働いていて確定申告をした方
は合計した正しい金額になっているか確認しましょう。
(2) 所得控除は合っているか?
源泉徴収票や確定申告書と住民税決定通知書を比較して、所得控除の情報が住民税でも反映されているかチェックしましょう。
- 雑損:雑損控除
- 医療費:医療費控除
- 社会保険料:社会保険料控除
- 小規模企業共済:小規模企業共済等掛金控除(iDeCoなど)
- 生命保険料:生命保険料控除(最高7万円)
- 地震保険料:地震保険料控除(最高2万5千円)
- 障・寡・ひ・勤:障害者控除(同居特別53万円、特別30万円、一般26万円)・寡婦控除(26万円)・ひとり親控除(30万円)・勤労学生控除(26万円)の合計
- 配偶者:配偶者控除(最高33万円(70歳以上は最高38万円))
- 配偶者特別:配偶者特別控除(最高33万円)
- 扶養:扶養控除(一般33万円、老人38万円、特定・同居老人:45万円)
- 基礎:基礎控除(最大43万円)
所得税よりも控除額が少ないものがあります(赤い部分)。
そのため源泉徴収票の「所得控除の合計」より少なくなるのがふつうです。
ただし、あまりに少ない場合は漏れている可能性があるので1つずつ比較してみましょう。
(3) 扶養親族該当区分は合っているか?
源泉徴収票では「扶養親族がいる」のに住民税決定通知書には記載がなければ漏れている可能性があります。
注意が必要なのは「16歳未満の扶養親族」です。
所得税の計算には影響ありませんが、住民税の計算では必要な情報なので、漏れているときは勤務先に確認しましょう。
(4) ふるさと納税は行われているか?
ふるさと納税の結果については「税額控除額」の欄を見ましょう。
次のような感じです。
上の表の場合、市民税の「税額控除額」と県民税の「税額控除額」がふるさと納税で控除された部分の金額です。
ここに何も金額がない場合は、ふるさと納税が全くされていない可能性があります。
年末調整だけでワンストップ特例の申請をしていなかったり、確定申告をしていない場合に起こります。
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(5) 住宅ローン控除は行われているか?
住宅ローン控除についても確認しましょう。
所得税で還付しきれない場合は、住民税が安くなります。
市区町村によっては、住民税決定通知書の「摘要(てきよう)」欄に住宅ローン控除の金額が記載されていることもあります。
もしわからない場合は各市区町村に住宅ローン控除ができているか問い合わせてみましょう。
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住民税決定通知書を紛失したら再発行できる?
住民税の確認のほかにも、金融機関によっては住宅ローンの審査で利用する場合もあります。
紛失した場合は再発行できるのでしょうか?
勤め先が作成するものではないので、勤め先にお願いしても再発行はできません。
また、各市区町村でも調べたところ再発行していないことがほとんどでした。
住宅ローンの審査などでどうしても書類が必要な場合は、市区役所・町村役場の「課税証明書」や「所得証明書」を有料(1部300円前後)を発行してもらうのが一般的です。
このとき、どの書類が証明になるのか確認して、違う書類を発行しないように注意しましょう。
住民税決定通知書のよくある質問
(1) 源泉徴収票と住民税決定通知書の控除の合計が異なるのはなぜ?
一部の所得控除が、所得税(源泉徴収票)の所得控除よりも少なく設定されているからです。
そのため、源泉徴収票の控除の合計よりも「少ない」可能性があります。
(2) 今年は仕事をしていないのに住民税の納付書が来るのはなぜ?
住民税は「前年の年収」を基に計算されます。
今年の年収が0円でも、前年の年収があれば住民税の納付書が来ます。
(3) 所得税が0円なのに住民税が課税されるのはなぜ?
実は、住民税には「93万円の壁」「97万円の壁」「100万円の壁」があり、所得税が0円の場合でも住民税だけ課税される場合があります。
詳細は次の記事をお読みください。
関連 所得税が0円なのに住民税が課税されたのはなぜ?100万円,97万円,93万円の壁に注意
まとめ
住民税決定通知書は毎年5月~6月にもらえます。
住民税のチェックができるのはもらったときだけです。
分からないことがあれば、勤務先や各市区町村に確認しましょう。
大丈夫だと人任せにしていると、損をしていても誰も教えてくれませんよ。