令和4年分の確定申告から申告書 A は廃止され、申告書 B に一本化されています。
A・Bという区分はなくなり、「所得税及び復興特別所得税の確定申告書」となりました。
したがって、用紙の種類で悩むことはなくなりました。
この記事は参考までにもう少し残しておきます。
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所得税の確定申告書の「第一表」と「第二表」には「A様式」と「B様式」があります。
税務署に申告書用紙が置いてあったり、国税庁のホームページからダウンロードできます。
でも「自分はどっちを使ったらいいんだろう」と思ったことはないでしょうか。
また、国税庁の確定申告書等作成コーナーで作った申告書を見て
「AじゃなくてBだけどこれでいいのかな?」
と思われた方もいるかもしれません。
結論としては
- A様式:よくあるものだけ集めたシンプル版
- B様式:すべての確定申告に対応した完全版
となります。
もしあなたが給料や年金だけで医療費控除をしたいという場合は「A」で十分です。
まあ「大(B)は小(A)を兼ねる」というか、そもそも「B」が本来の姿で簡単にしたものが「A」なので、どんなケースでも迷ったら「B」を使えば間違いありません。
一方、あなたが自営業・フリーランスで個人事業の確定申告をしなければならないときは「B」しか使えません。
この記事では確定申告書のA様式とB様式についてわかりやすく解説します。
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もくじ
確定申告書A様式とB様式の違いは?
所得税の確定申告書のうち「第一表」と「第二表」はA様式とB様式が用意されています。
A様式はシンプル版
A様式は「必要なものだけ残して余計なものは捨てたシンプル版」です。
所得税には10種類の所得がありますが、A様式を使えるのは次の4つの所得だけです。
○ | 給与所得:給料・賞与 雑所得:公的年金、講師料・原稿料などの副収入 配当所得:株式の配当 一時所得:生命保険の解約返戻金や損害保険の満期保険金など |
× | 事業所得、不動産所得、利子所得、退職所得、山林所得、譲渡所得 |
日本では「給料(給与所得)」や「年金(雑所得)」をもらっている方がほとんどです。
特に手書きで作成する場合には、余計な欄がない方が間違いも少なくなります。
過去の確定申告の状況から、必要なものだけ残したのがA様式なのです。
※厳密に言えば「予定納税がない」ことも条件の1つですが、ほとんどの方はないと考えます。
B様式は完全版
一方、B様式は「確定申告のすべてに対応した完全版」です。
先ほどのA様式と異なり、10種類すべての所得に対応しています。
○ | 給与所得、雑所得(年金等)、配当所得、一時所得、事業所得、不動産所得、利子所得、退職所得、山林所得、譲渡所得 |
× | なし |
特に自営業・フリーランスで個人事業の確定申告をする場合や、不動産のオーナーで賃貸収入について確定申告をする場合はB様式しか使えません。
A様式とB様式の選び方は?
A様式とB様式について、ざっくりまとめると次のとおりです。
給料・年金をもらう方 | 原則A様式 |
不動産の売却がある方 | B様式 |
株式投資の確定申告をする方 | B様式 |
自営業・フリーランスの方 | B様式 |
不動産オーナーの方 | B様式 |
ここから順番に解説していきます。
給料・年金をもらう方は原則A様式
(1) 医療費控除・住宅ローン控除だけならA様式で十分
会社員・公務員、パート・アルバイト、年金受給者の方は、基本的には「A様式」で対応可能です。
次の確定申告をするときによく利用されます。
(2) 配偶者控除・生命保険料控除を受けていなかった場合もA様式
年末調整で次の控除を受けていなかった場合も確定申告をすることで還付を受けることができます。
- 配偶者控除・配偶者特別控除
- 扶養控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 障害者控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除 など
(3) 2か所以上から給料をもらっている場合もA様式
パートやアルバイトで2か所以上から給料をもらっていて確定申告をする場合も、A様式で作成可能です。
勤め先が3か所あっても4か所あっても同じです。
関連 2か所から給料をもらっている人の年末調整・確定申告・住民税の注意点
(4) 雑所得になる副業ならA様式
会社の給料の他に副業をしていて収入を得ている場合も、事業所得にならないレベルなら雑所得なのでA様式で作成可能です。
給料・年金をもらう方でもB様式を使う場合
(1) 土地や建物を売った場合はB様式
土地や建物を売ったときには「譲渡所得(分離課税)」になります。
例えば自宅や駐車場の土地を売るような場合です。
A様式で対応している4つの所得(給与・雑・配当・一時所得)に該当しないため、B様式を利用します。
さらに第一表・第二表だけでなく「第三表(分離課税用)」も利用します。
(2) 株式投資について確定申告するならB様式
「源泉徴収ありの特定口座」を利用して株式投資を行っている場合は、確定申告をする必要はありません。
ただし、株式の譲渡損失を繰越す場合や「一般口座」「源泉徴収なしの特定口座」を利用している場合は確定申告が必要になります。
株式を売った場合は「譲渡所得(分離課税)」になるのでこちらも第一表・第二表だけでなく「第三表(分離課税用)」も利用します。
自営業・フリーランスならB様式
自営業・フリーランスで個人事業について確定申告をする場合は「事業所得」があるB様式を利用します。
給料や年金も別でもらっている場合も同様です。
全部まとめてB様式で確定申告書を作成します。
A様式は利用できません。
不動産オーナーの方もB様式
マンションや戸建て、駐車場などを賃貸している不動産オーナーの方もB様式しか利用できません。
こちらもA様式では対応していない「不動産所得」になります。
また、保有している不動産を売却した場合には、不動産所得ではなく「譲渡所得(分離課税)」になります。
第一表・第二表だけでなく「第三表(分離課税用)」も利用します。
国税庁の確定申告書作成コーナーで作ると全部B様式
たまに質問をいただきますが、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成すると、全ての確定申告書がB様式で作成されます。
公式サイトでは次のように説明されています。
所得税の確定申告書作成コーナーにおいては、ご利用になる全ての方について、確定申告書Bが表示(印刷・送信)されます。
確定申告書Bは、すべての所得・所得控除に対応する様式ですので、そのまま税務署に提出(送信)してください。
特に気にせずB様式のまま提出しましょう。
このブログでは国税庁の確定申告書等作成コーナーを使った方法をご紹介しているので、あわせてお読みください。
まとめ:迷ったらB様式
Aが先にあるのでわかりづらいですが、本来「B」の方が正式な確定申告書の様式で、Aはそれを簡単にしたものという位置づけです。
そのため、どっちを使ったらいいかわからないと思ったらB様式を選んでおけば間違いありません。
確定申告について知りたい方は、次のまとめ記事をお読みください。
2 件のコメント
e-taxで1月20日に確定申告済み。1月30日には還付金振込手続き開始との連絡が来ました。
e-taxに限りますね。
今年からe-taxで還付金振込状況を確認したり、税務署からのメッセージ確認するのに、いちいちマイナンバーカードが必須になって面倒くさくなりました。
また、9月からのマイナンバーカードで25%還元のために必要なマイキーIDの登録というのも、e-taxの手続き時に勧められたのでやってみましたが、パスワード登録がなんと、記号まで含めて登録する必要あり。これじゃ、とてもじゃないが、紙に書かないと覚えられません!!
セキュリティ強化と利便性の向上は相反することは理解していますが、なんとかならないものですかね。
>nakachanさん
こんばんは!neronaです^^
早いですね!今日振込ですね。
明日からはマイナンバーカードとiPhoneのe-Taxも本格始動なので
どうなることやらですが、セキュリティ強化すればするほど
紙の方が情報が漏れないという…