パート・アルバイトの場合、扶養控除申告書を勤め先に提出して、月88,000円未満なら税金は0円です。
月88,000円以上になると所得税が発生して、給料から天引きされます。
また、扶養控除申告書を提出していない場合、最低でも給料の3.063%相当の所得税が天引きされます。
この記事では
- 扶養控除申告書と源泉徴収税額表
- 扶養控除申告書の提出の有無による所得税の計算の違い
について説明します。
※「源泉徴収票」の見方を知りたい方は、下記の記事もあわせてお読みください。
関連 パートやアルバイトで年収103万円以下で働く場合の源泉徴収票の見方
もくじ
扶養控除申告書と源泉徴収税額表の見方
扶養控除申告書とは?
「扶養控除申告書」※とは、
あなたの税金を計算するのに必要な情報
を書いた書類のことです。
※給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
氏名・住所はもちろん、配偶者や扶養親族の有無などを書きます。
この書類を勤め先に提出しているかどうかで、天引きする所得税が変わります。
源泉徴収税額表とは?
給料から天引きする所得税は、
「給与所得の源泉徴収税額表」の「月額表」
という表を使って計算します。
この表は甲欄(こうらん)と乙欄(おつらん)の2つに分かれていて、天引きされる所得税の計算が異なります。
【ポイント】
- 提出している:甲欄
- 提出していない:乙欄
となります。
甲欄とは?月88,000円前後に注意
扶養控除申告書を提出している場合は甲欄を利用します。
月88,000円未満なら所得税0円
甲欄は細かく「扶養親族等の数」によって税額が変わります。
月額88,000円未満の場合、天引きされる所得税の金額は扶養親族等の数にかかわらず0円です。
※扶養親族等の数は、自分から見て配偶者控除や扶養控除の対象になる人が何人いるかで判断します。パートやアルバイトの方は0人が多いです。
正確には、「その月の社会保険料等」を天引きした後の給与がいくらかで表の1番左の「○○円以上○○円未満」に当てはめます。
月88,000円未満の場合は、ふつう社会保険料が天引きされないので、そのままの金額で判断すればよいでしょう。
※勤務時間などにより健康保険料・厚生年金保険料、雇用保険料を払う場合もあるので、これらの社会保険料を控除した金額で判断します。
【ポイント】
- 扶養控除申告書を提出
- 月給88,000円未満
両方の条件を満たしている方は、所得税が天引きされることはまずありません。
※もし天引きされている場合は勤め先に確認しましょう。
月88,000円以上なら所得税が天引きされる場合も
88,000円以上89,000円未満(扶養親族等の数0人の場合)になると、130円が天引きされます。
89,000円以上の場合も表を見ればいくら天引きすればいいか分かるようになっています。
<例> 扶養親族0人の場合
- 88,000円以上:130円
- 89,000円以上:180円
- 90,000円以上:230円
- 91,000円以上:290円
- 92,000円以上:340円
1年間で負担するかもしれない所得税をざっくり計算して、それを12で割って毎月天引きするようにしています。
最終的には「年末調整」で1年分の確定した収入をもとに再度計算します。
もし、天引きした分が多ければ還付するので、あくまで毎月の給料の天引き分は「仮の所得税」です。
関連 130万円と106万円の壁とは?パートで働く人が扶養内で働くために気をつけること
乙欄とは?最低3.063%の所得税が発生
一方、2か所以上で働いている場合には、考えが異なります。
1か所目は扶養控除申告書を提出して甲欄で計算するので先ほどと同様です。
しかし、2か所目以降は扶養控除申告書を提出できないので、乙欄を利用します。
乙欄の場合、月88,000円未満でも社会保険料を控除した後の金額に対して3.063%の税率をかけた金額を天引きします。
例えば80,000円なら、天引きする額は
- 80,000円×3.063%=2,450円
です。
<例> 扶養親族0人の場合
- 88,000円:2,695円
- 89,000円:2,726円
- 90,000円:2,756円
- 91,000円:2,787円
- 92,000円:2,817円
甲欄に比べて乙欄の方が天引きされる所得税が多くなります。
※上記の金額を超えて天引きされている場合は、何か間違っている可能性があります。
年末調整と甲欄と乙欄の違い
甲欄と乙欄は天引き(源泉徴収)される金額が異なるわけですが、年末調整でも取り扱いが異なります。
【ポイント】
- 甲欄:最終的に年末調整で税金の過不足を精算
- 乙欄:年末調整の対象にならない
もし2か所以上でパートやアルバイトを掛け持ちしている方は、原則として自分で確定申告をする必要があります。
2か所以上から給料をもらっている場合の年末調整や確定申告の方法については、次の記事を参考にしてみてください。
まとめ
扶養控除申告書を提出するかで天引きされる所得税の計算が異なります。
ふつうはパート・アルバイトを始めるときに勤め先から配布されるので、提出しましょう。
なお、源泉徴収票の見方を知りたい方は、下記の記事もあわせてお読みください。
8 件のコメント
>ななさん
こんばんは!neronaです。
大変申し訳ありません。具体的な税務相談は無料でも専門家しか行えません。
下記の記事を参考に税理士・税務署に確認をお願いいたします。
参考:税金に関する相談は税理士または最寄りの税務署へ
https://shokonoaruie.com/zeimusodan/
私は長年 専業主婦でした。今年5月にパートを始めましたが、研修日数5日で辞めました。6月から現職に就いていますが、前職のことは話していません(面接時に長年専業主婦だと言ってしまいました)。年末調整の時期です。現職に前職の源泉徴収票を提出しなければならないでしょうか?
来月の給料を計算したところアルバイトと夜勤の掛け持ちで165,920円稼げます。
それに3.063%かけて5,037円天引きされる計算であってますか?
また、扶養控除申告書をだして確定申告も自分でしないとダメですか?教えてください。
>しゅんせいさん
こんばんは。neronaです。
残念ながら税金の具体的な計算についてはどんな簡単なものについても
税理士以外が計算できないという法律があるため、私の方でお答えができません。
理由については次の記事に書いております。
https://shokonoaruie.com/2kasho-kyuyo/
また、確定申告が必要かどうかについても下記の記事にまとめております。
https://shokonoaruie.com/2kasho-kyuyo/
月に88000円以下だったら税金などのお金や親に負担をかけずに済むのですよね?
>藤澤さん
それは何とも言えません。税金は最終的には「1年単位」で考えますし、
そもそも「給料」かどうか、扶養控除申告書を出すかどうかで全く異なります。
(参考)
勤労学生控除と扶養控除は併用可能?学生の103万円と130万円の壁に注意
https://shokonoaruie.com/kinro-kojo/
二月分の給料が、3月に入ってきたとしたら、どちらの月に収入がカウントされるのですか?
>藤澤さん
こんにちは。neronaです。
ふつうは「3月」になります。ただし会社によっては「2月」にしているところもないとはいえないので、
詳細は次の記事をお読みください。
12月に給料を調整する人は要注意!給料の支払日が「翌月」の場合の年末調整
https://shokonoaruie.com/yokugetubarai/