ゼロからわかる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書き方(平成28年版)

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年末調整の重要資料の書き方を図解しました!

この記事では、勤め先から配られた年末調整の書類のうち、平成28年分と平成29年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(通称:マルフ)」について、誰でも簡単に書けるように徹底的に記入例を入れたりして、図解しています。

その他の書類は次の記事をご覧ください。

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何しろ、年末調整というのは、実質的には「書類の提出」しかすることがありません。

年末調整の仕組み

だからこそ逆に、書類を正しく書くことが重要になります。

なお、この記事では、「平成28年分」のマルフの書き方を中心にして、「平成29年分」のマルフの注意点も合わせて書いているので、どの年分のものなのか、ご注意ください。

1.『勤め先』の基本情報

(1)「    税務署長」

マルフ1

ここには、あなたの『勤め先』の所在地(住所)を担当(=所轄(しょかつ))している税務署長名を書きます。

ただし、印字されていればそのままにしておいて、よくわからなければ空欄のままでOKです。

『あなた』の住んでいる地域を所轄する税務署長名を書くのは誤りです。

なぜなら、この書類は、建前としては「勤め先の所轄税務署長」に提出する書類だからです。

しかし、実際には、出さないで勤め先で保管されます。

関連 扶養控除等申告書・住宅借入金等特別控除申告書の「税務署長」の欄は何を書く?

(2)「    市区町村長」

こちらは『あなた』の住んでいる市区町村長名を書いてください。よくわからなければ、空欄のままでもOKです。

こっちはなぜ『勤め先』ではなく『あなた』の住んでいる市区町村名を書くのかと言えば、この書類が「あなたの住民税」の計算のための資料でもあるからです。

住民税は「あなたの住んでいる市区町村」が計算をするので、建前上、この書類は市区町村長にも提出する必要があります。

しかし、この書類も実際には市区町村に出さないので、書いても書かなくても影響はありません・・・。

(3)「給与の支払者の名称(氏名)」

右に移ります。

マルフ1

会社なら会社名、個人事業者なら屋号やその個人の氏名を書きます。

(4)「給与の支払者の法人(個人)番号」

ここは、書いてはいけません。

勤め先が書く欄です。間違っても、自分の個人番号を書いてはいけませんよ。

(5)「給与の支払者の所在地(住所)」

会社の場合、本社とか支社とか営業所とかいろいろあると、どこの住所を書けばいいか迷いますが、基本的には「本社の住所」を書くべきです。

ここもまた、よくわからなければ空欄でもいいですし、勤め先が最初から印字している場合も多いです。

繰り返しになりますが、(1)~(5)は、間違っていても年末調整の計算自体に直接影響はありません。

わからなかったり、自信がなければ空欄で結構です。

2.『あなた』の基本情報

そのまま右に移ります。
マルフ2

(6)あなたの氏名

田中一郎さんなら、「田中一郎」と書いて、その上に「フリガナ」とあるので、「カタカナ」で「タナカイチロウ」と書いてください。

代理で他の人が名前を書いていいですか?という質問もよくありますが、本人が書きましょう。

(7)(印)

一般的には、シャチハタではないハンコ(印鑑)を押します。

これまた、本人がこの書類を書いたという証明のためにハンコを押しますので、シャチハタは避けた方が無難です。

ちなみに、よくある誤りが、1番右上のところにも押しちゃったパターンですね。

ここです。
マルフ3
・・・よく見てください。「給与の支払者受付印」ってありますよね。

「田中さん、あなた、いつから給料をもらう立場から『支払う方』になったの」って、ちょっとカッコ悪いですよね、この記事を読んだ方は、絶対にここにハンコを押さないように注意しましょう!

・・・あ、別にハンコを押しても無効になったりしませんので、もう押しちゃったら気にせず斜線でも引いて、出しておいてください。

(8)あなたの個人番号(マイナンバー)

勤め先の指示に従ってください。 

ここは、勤め先ごとに異なります。

例えば、既に別の手段でマイナンバーを集めている場合には、「書かないでください」と指示が出ることでしょう。

(9)あなたの住所又は居所

平成28年1月1日現在の住所を書きます。

また、平成29年分のマルフには、平成29年1月1日現在の住所を書きます。

しかし、この住所がくせもので、2種類ある人もいるでしょう。

まだ住民票を移していないとか、年末に引越しをする予定だとか、単身赴任などで異なる場合です。

  1. 住民票のある住所
  2. 実際に住んでいる住所

どっちを書くのが正解でしょうか?

原則として、「実際に住んでいる住所」です。

あなたが平成28年(または平成29年)1月1日時点でどこに実際に住んでいるかを考えて書いて下さい。

これは住民税に影響があります。

もし、「住民票のある住所」の市区町村と「実際に住んでいる住所」の市区町村が同時にあなたに住民税を課税しようとしたら、「実際に住んでいる住所」の市区町村の方が優先されるルールになってます。

ただ、勤め先によっては「住民票のある住所」を書くように言っているところもあります。

「住民票のある住所」=「実際に住んでいる住所」にしておくのがベストですが、できない場合は、勤め先と相談してみても良いでしょう(単身赴任の方とか)。

(10)「配偶者の有無」

上の段のブロックの右上ですが、配偶者控除を受けられるかどうかは関係なく、配偶者がいれば「有」に「〇」をつけて、いなければ「無」に「〇」をつけます。
マルフ4
なお、独身の方には、毎年「無」に〇をつけるのがさみしい・・・と言われる箇所で、あえて「〇」をつけたくないという方もいます(まあそれもありでしょう)。

(11)「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」

基本的に、この欄は使いませんので、上の画像でも「×」をつけましたが、あえて「×」と書く必要はありません。

空欄のままでOKです。

念のため解説すると、もし、あなたが「2か所」で働いていて、メインの勤め先とサブの勤め先があったとします。

メインの勤め先で扶養控除などの所得控除が控除しきれない場合には、サブの勤め先でも「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」を提出することで、配偶者控除や扶養控除ができます。この書類を出したときに「〇」をつけます。
従たる給与申告書

・・・ただ、2か所で働いているとしても、なかなかこの手続きをする方は少なく、たいていは確定申告をしてます。

というわけで、基本的には使わない欄だと思います。

3.控除対象配偶者と控除対象扶養親族

スマホでも見えるようにしたいので、タテに画像を切り取ってます。
マルフ5

(12)控除対象配偶者

「配偶者控除」または「配偶者特別控除」の対象になる配偶者のことだけ書きます。

したがって、夫婦共働き、お互いにフルタイムの正社員で、明らかに配偶者(特別)控除が使えない場合には、配偶者のことを書く必要はありません(もちろん、書いたらダメというわけではありません)。

ただ、「共働きでも配偶者控除は使えるの?産休・育児休業中は節税のチャンス!」の記事に書いたように、今まで共働きだから書いていなかった場合、実は使えるのに書き忘れることもあるので、注意しましょう(平成28年分と平成29年分の書き方を間違えないように注意してください)。

仮に使える方がいる場合には、右の方に進んでください。

まず、平成28年分の場合には、配偶者が「昭和22年1月1日以前」の生まれの場合、「老人控除対象配偶者」という区分になります(平成29年分なら昭和23年1月1日以前生まれ)。
マルフ6
これは、配偶者の年齢が70歳以上の場合、配偶者控除が38万円から48万円にアップしますので、「〇」を書きます。

また、住所は同居しているなら「同上」、つまりあなた自身と同じ住所ということが分かるように書いておけばOKです。

マルフ7
1番間違えやすいのは、この「平成28年中の所得の見積額」です。

あくまで見込みなので、「配偶者控除で年収103万円超でないことを証明する必要はあるの?」の記事に書いたように、何か書類を出して証明する必要もありません。

収入から必要経費を差し引いた金額を書くのですが、パートなど給与の場合は、収入から65万円を引いた金額(マイナスなら0円)を書いておいてください。

例えば、

  • 年収129万円の見込み⇒所得64万円
  • 年収103万円の見込み⇒所得38万円
  • 年収70万円の見込み⇒所得5万円
  • 年収40万円の見込み⇒所得0円

と、65万円を引いた金額となります。

ただし、ネットビジネスをやっているような場合は、考え方が異なるため、「「所得の見積額」に年収を書くのはバツ!正しい計算方法と書き方をご紹介」をあわせてお読みください。

なお、平成28年分から「非居住者である親族」という欄が設けられたので、配偶者が日本にいない場合には、ここに「〇」をつけます。

(13)控除対象扶養親族

マルフ5

扶養親族は3パターンにわかれます。

【パターン1】 70歳以上の人を扶養している場合(老人扶養親族)

平成28年分では、昭和22年1月1日以前に生まれた人(70歳以上)が該当します(平成29年分では昭和23年1月1日以前生まれ)。

関連 年金をもらう父親・母親で扶養控除する場合の注意点と所得の見積額

(1)同居老親等

自分または配偶者の親・祖父母で、かつ、同居している場合は、「同居老親等」に「〇」をつけてください。ここだけ同居しているかが重要になってきます。ふつうの38万円ではなく「58万円」の控除になります。
マルフ8
「同居」については、病気の治療のために入院していて別居している場合は、その期間が結果として1年以上の長期になっても同居とみてくれます。しかし、老人ホームなどへ入所している場合は、同居しているとはいえません。

(2)同居老親等以外

扶養している人が親・祖父母以外だったあり、親・祖父母であっても別居の場合は「その他」に「〇」をつけます。ふつうの38万円ではなく「48万円」の控除になります。
マルフ9
別居していても仕送りをしているような場合には、親を扶養親族にできる場合があります(親の年金収入が158万円以下の場合など)。

【パターン2】 19歳以上23歳未満の人を扶養している場合(特定扶養親族)

平成28年分の場合は、平成6年1月2日以後平成10年1月1日以前生まれの人が該当するので、「〇」をつけます(平成29年分は平成7年1月2日以後平成11年1月1日以前生まれの人が該当)。
マルフ10
ちょうど大学生にあたる年齢のため、控除もふつうの38万円ではなく「63万円」と手厚くなっています。

逆に言えば、扶養親族になるためには、アルバイトなどで年103万円を超えないように注意する必要があります。

親が知らないうちにがんばってしまっている可能性もあります。

【パターン3】 パターン1・2に該当しない16歳以上の人を扶養している場合(一般の控除対象扶養親族)

「38万円」の控除となります。

平成28年分の場合、平成13年1月1日以前生まれの人が該当します(平成29年分の場合、平成14年1月1日以前生まれの人)。

その他の条件は、配偶者控除と同じです。

特に、「平成28年(平成29年)中の所得の見積額」は、注意してくださいね。

なお、子どもの年齢が0歳以上16歳未満の場合も書く欄がありますが、後で出てきますので、もう少しお待ちください。

4.障害者、寡婦・寡夫、勤労学生

(14)障害者

「障害者控除」を受ける場合に、記載する欄です。

『あなた』自身になんらかの障がいがあり場合には、「本人」欄に「〇」をしてください。

例えば、障がいの程度が重度までいかない場合は、「一般の障害者」となります。
マルフ11
配偶者控除の対象となる『配偶者』になんらかの障がいがある場合には、「控除対象配偶者」欄に「〇」をしてください。

例えば、同居していて障がいの程度も重度の場合には、「同居特別障害者」となります。
マルフ12
扶養控除の対象となる『自分の親・祖父母、子・孫』などになんらかの障がいがある場合には、「扶養親族」欄に「〇」をしてください。このとき、人数も書きましょう。

マルフ13

関連 療育手帳で障害者控除を受けるための扶養控除等申告書の書き方

(15)寡婦(かふ)・寡夫(かふ)

「寡婦控除」や「寡夫控除」を受けるために記載する欄です。

この2つは、あまり知られていないので、かなりマイナーな控除で、使えるのに使っていない場合も多いため、別の記事で詳細を書かせていただきました。

関連 寡婦(かふ)控除って何?シングルマザー(母子家庭)は要チェック!

関連 シングルファザー(父子家庭)が忘れがちな寡夫控除

結論としては、「〇」をつけるだけですが、条件がややこしいので記事をご確認ください。
マルフ14

(16)勤労学生

「勤労学生控除」を受けるために記載する欄です。

勤労学生は、「小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、大学の学生、国や地方公共団体、学校法人などが設立した専修学校、各種学校、または職業訓練学校のうち一定の要件を満たす学校の学生」を対象とした制度です。

学校の証明書を提出する必要があります。

多くの場合は、大学生本人がアルバイトをしている場合でしょうか。

ざっくり言うと、1年間のアルバイト代が130万円以下が条件です。

給与所得控除65万円、「勤労学生控除38万円」、さらに誰でも使える基礎控除38万円が差し引けるので、所得税は0円になります。

ただし、これで誤解があるのが先ほどご説明した「扶養控除」との関係です。

自分の子どもが大学生でアルバイトをしていて、年収130万円以下であっても、勤労所得控除があるから扶養親族にもなれそうな気がしますが、判定上は勤労学生控除を考慮しないので、130万円-65万円=所得65万円>38万円となり、扶養親族の条件である所得38万円を超えてしまうため、扶養控除(特定扶養親族なら65万円)が使えません。

単に所得税が大学生本人にかからないだけです。

したがって、アルバイトをするにしても年収130万円以下におさえるのが無難と言えます。

なお、学生といっても、年齢制限はないので、退職して失業手当を受けている中高年の方で、職業訓練を受けていれば、この制度の適用を受けられる場合もあるので、ご確認ください。

関連 勤労学生控除と扶養控除は併用不可!本当の103万円の壁は学生にあり

5.他の所得者が控除を受ける扶養親族等

マルフ15
夫婦共働きで16歳以上の扶養親族がいた場合、「あなた」の扶養にするか、「妻(または夫)」の扶養にするか、というときに、「あなた以外=妻(または夫)」の扶養にするときに書いてね、ってところなんですが、あえて書く必要はありません。

6.16歳未満の扶養親族(住民税)

これで最後です。

マルフ16

平成28年分は、平成13年1月2日以後に生まれた親族(ふつうは自分の子ども)がいる場合には、ここに記入します(平成29年分は平成14年1月2日以後に生まれた親族)。

ここは、「住民税に関する事項」とあるように、所得税ではなく、「住民税」の計算のために書きます。

例えば、平成28年7月に生まれた子どもがいる場合も、ここに忘れずに追加しましょう。

最後に

以上です。お疲れさまでした。

平成28年分と平成29年分を比較して、漏れがないか、もう一度確認してみましょう。

今年の年末調整の準備はできましたか?

⇒ 平成28年版*年末調整で失敗しないための特集

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